【これからの見通し】米雇用統計後の値動きでドル売り圧力の根強さ示される 先週末の米雇用統計では雇用者数の増加が市場予想を上回った。市場は素直にドル買い、米債利回り上昇に反応をみせた。しかし、その動きは長続きせずに、ドル安や米債利回り低下へと押し戻されて週末を迎えた経緯がある。市場にはドル売り圧力の根強さが印象付けられる格好となった。 先週末の米株は強い米雇用増で売りが広がったあとは、買い戻されており、ほぼ前日終値水準で引けていた。週明けのアジア市場では中国・香港株が堅調に推移している。米株の下げ渋りが好感されたことに加えて、中国でのゼロコロナ政策緩和の動きが期待されている。ドル円相場が134円台で方向感なく揉み合うなかで、ユーロドルやポンドドル、豪ドル/ドルなどその他主要通貨に対してはドル売りが優勢になっている。それに伴ってクロス円も円安方向へ傾斜している。 今週は金曜日の米生産者物価指数(11月)が最新の米インフレ動向を知る上で重要な材料となる。現時点での市場予想は前年比+7.2%と前回10月の+8.0%からの伸び鈍化が見込まれている。食品やエネルギーを除いた前年比でも+5.9%と前回の+6.7%からの伸び鈍化が見込まれている。週末イベントを控えて、しばらくはドル売りの流れが続く公算が高いだろう。もちろん、調整の動きも散見されるのであろう。 きょうこの後の海外市場で発表される経済指標は、トルコ消費者物価指数(11月)、フランス・ドイツ・ユーロ圏、英国、米国などの非製造業PMI確報値(11月)、ユーロ圏小売売上高(10月)、カナダ住宅建設許可(10月)、米製造業新規受注(10月)、米耐久財受注(確報値)(10月)、米ISM非製造業景気指数(11月)など。非製造業系のセンチメント指標が目立っている。 発言イベント関連では、先週末から米金融当局者がブラックアウト期間に入っており、来週の米FOMC会合までの金融政策や経済見通しに関する発言は手控えられる。ビルロワドガロー仏中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、ウンシュ・ベルギー中銀総裁など一連のECB高官の講演が予定されている。 minkabu PRESS編集部 松木秀明
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