石油週間展望=NY原油は81.50ドルが焦点、中東リスクでの戻りは短命

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [10月16日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     10 月 10 日〜 10 月 13 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   78,000    78,000(10)    76,000(12)   76,000     -2,000
灯  油  先限   77,000    77,000(10)    75,000(12)   75,000     -2,000
原  油  先限   65,920    69,520(13)    65,920(10)   69,520     +3,600
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                                        10 月 9 日〜 10 月 13 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値      安 値     終 値   前週末比
  NY原油 11 月限      85.25    87.83(13)    82.31(12)   87.69    +4.90
ブレント原油 11 月限      86.45    91.00(13)    85.18(12)   90.89    +6.31
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13日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 149.70 前週末比 0.81円の円安
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【前週のレビュー】NY原油は満月天井の様相。9月28日の95.03ドルの一代高
値から13ドル弱も暴落。次は200%押しの81.34ドル辺りがより近い下値メド
とした。

【NY原油11月限は81.50ドル維持が焦点】
 ニューヨーク原油11月限は、イスラエルとハマスの戦闘激化で週明けとなる9日の
アジアの時間帯にギャップを開いて急騰して、結果的に6日の81.50ドルが押し目
底となった。前回の当欄で予想していた200%押しにほぼ近い水準。加えて6日は下
弦の月であり、満月天井から押し目底は下弦と分かりやすい展開となった。しかしその
後は今回の下落幅の38.2%戻しを達成後にその反発幅の大半を失う展開となってい
る。

 アジアの時間帯にギャップを開いて急騰した例としては、最近では昨年2月のロシア
のウクライナ侵攻時、今年4月のサウジアラビアの自主減産発表時が思い出される。前
者はその後もさらに数カ月上昇相場が続き、100ドル台に定着する展開となったが、
後者はすぐに騰勢が収まり結果的にそれ以上の急落相場が続いた。今回はすでに上げ幅
の大半を失っており、後者の展開となる可能性もある。

 チャート的に目先の下値メドは、前述の81.50ドルから9日の高値87.24ド
ルの上げ幅の78.6%押しをすでに下回っていることで、全値押しの81.50ド
ル。それを明確に割り込むと、80ドルの節目、さらに161.8%押しの77.95
ドルまで視野に入る。全値押し水準を維持できれば、ダブルボトムで上げやすくなる
が。
 なお次の新月は15日。しかしこれは営業日ではないため、新月の時間帯に底入れす
ると見れば、前後の2営業日として12〜13日、16〜17日辺りとなる。

 材料的には、イスラエルとハマスの戦闘激化が中東の地政学的リスクとして急浮上し
てきたが、原油供給面から見ると、他の産油国が攻撃に巻き込まれない限りさらに囃さ
れる可能性は低いだろう。現に急騰幅の大半を失っている。
 基本的にはサウジとロシアを中心とした石油輸出国機構(OPEC)の供給引き締め
や欧米のロシア産締め出しによる需給タイト感と、経済統計や金利から見た金融市場サ
イドからの需要懸念のせめぎ合いという構図に変化はないだろう。それに今後は厳冬な
どの季節要因が波乱材料となる可能性はあるが。

 独自要因としては、後述するように、国際エネルギー機関(IEA)と石油輸出国機
構(OPEC)がそれぞれ最新の月報を発表したが、見方の異なった内容となった。一
方が消費国、他方が生産国を代表する機関と見れば理解できないわけではないが。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は3万3000ドルの節目で支持され
て反発したものの、3万4000ドルの節目が上値抵抗となりそうな形となっている。
 ドルインデックスはこのところ107ポイント近辺の高値からの反落基調となってい
たが、12日には105ポイント台を維持して急反発して再び106ポイント台に乗せ
てきた。

【2024年の世界石油需要見通し、IEAとOPECで予想に食い違い】
 統計物を見ると、国際エネルギー機関(IEA)と石油輸出国機構(OPEC)の直
近の月報で、2024年の石油需要見通しが大きく異なっている。
 OPEC月報では、2023年の世界石油需要を前年比日量240万バレル増の同1
億0210万バレル、2024年の世界石油需要を同220万バレル増の1億0430
万バレルとなった。
 IEA月報では、2023年の世界石油需要を同230万バレル増の同1億0190
万バレル、2024年の世界石油需要を同90万バレル増の1億0280万バレルとな
った。
 このようにOPECは来年も世界石油需要が今年並みに伸びることを予想しているも
のの、IEAは来年はブレーキがかかるとみている。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油先限はボリンジャーバンドの−2シグマ(6万6420円辺り)割れから急
反発して、直近は−1シグマ(6万8490円辺り)を上回って来た。
 ガソリン先限は名目値でさらに7万6000円まで下落。ボリンジャーバンドの−2
シグマ(7万4170円辺り)の上側で下落のバンドウォークとなっている。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油11月限は週明けの戻りは短命に終わり、ボリンジャーバンドの−
1シグマ(84.98ドル辺り)を上抜けずに急落。再び−2シグマ(81.74ドル
辺り)が視野に入っている。目先は6日の安値81.50ドルを維持できるか否かが注
目される。

<当面の予定>
16日【経済】鉱工業生産指数 2023年8月確報(経済産業省)
   【経済】小売業販売額 2023年8月確報(経済産業省)
   【経済】ユーロ圏貿易収支 2023年8月(EUROSTAT)
   【経済】住宅価格指数 2023年10月(ライトムーブ)
   【経済】米製造業景況指数 2023年10月(ニューヨーク連銀)
17日【経済】第3次産業活動指数 2023年8月(経済産業省)
   【経済】独景況感指数 2023年10月(ZEW)
   【経済】英雇用統計 2023年9月(国立統計局)
   【経済】米小売売上高 2023年9月(商務省)
   【経済】米鉱工業生産・設備稼働率 2023年9月(FRB)
   【経済】米企業在庫 2023年8月(商務省)
   【経済】米対米証券投資 2023年8月(財務省)
   【工業】米週間石油統計(API)
18日【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】中国国内総生産 2023年7-9月期(国家統計局)
   【経済】中国小売売上高 2023年9月(国家統計局)
   【経済】中国鉱工業生産 2023年9月(国家統計局)
   【経済】ユーロ圏消費者物価指数 2023年9月確報(EUROSTAT)
   【経済】英消費者物価指数 2023年9月(国立統計局)
   【経済】英小売物価指数 2023年9月(国立統計局)
   【経済】英生産者物価指数 2023年9月(国立統計局)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米住宅着工・許可件数 2023年9月(商務省)
   【経済】米地区連銀経済報告・ベージュブック(FRB)
   【工業】米週間石油統計(EIA)
19日【経済】貿易収支 2023年9月速報(財務省)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 10月8日-10月14日(財務省)
   【経済】中国住宅価格指数 2023年9月(国家統計局)
   【経済】ユーロ圏国際収支 2023年8月(ECB)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米製造業景況指数 2023年10月(フィラデルフィア連銀)
   【経済】米景気先行指数 2023年9月(カンファレンスボード)
   【経済】米中古住宅販売統計 2023年9月(全米不動産協会)
20日【経済】消費者物価指数 2023年9月(総務省)
   【経済】独生産者物価指数 2023年9月(連邦統計庁)
   【経済】英小売売上高 2023年9月(国立統計局)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
   【納会】米WTI原油 2023年11月限(NYMEX)
   【商品】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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