【前週のレビュー】NY原油11月限は6日の81.50ドルから9日の高値87. 24ドルの上げ幅の78.6%押しを既に下回っていることで、全値押しの81.50 ドルが次の下値メド。15日の新月の時間帯に底入れすると見れば、営業日でない15 日の前後の2営業日として12〜13日、16〜17日辺りとなるとした。 【NY原油は拡大波なら100ドルが上値目標に】 ニューヨーク原油は結局、全値押しまで下げず、前回の当欄で記した新月の底入れの 時間帯の最も早い12日に底入れしてそのあと急反発している。前回の当欄では、イス ラエルとハマスの戦闘激化による地政学的リスクの拡大をやや過小評価していたきらい があり、これが反省材料だ。 今後の上値メドだが、11月限は20日に納会するため12月限が指標限月となるが 9月28日の戻り高値の92.48ドル。期近のつなぎ足ベースでは11月限が付けた 95.03ドルとなる。12月限ベースで全値戻しを明確に突破して拡大波となった場 合は、前述の92.48ドルから5日の80.61ドルまでの下げ幅の1.618倍戻 しの100.17ドル辺りまで上値余地が拡大する。水準的には11月限の95ドル達 成時と同様にかなり区切りの良い水準となる。現状からまだかなり値幅があるが、29 日の満月(これも営業日ではない)の前後の時間帯に天井を付けると見れば、日柄的に は十分達成可能な水準だろう。 材料的には、イスラエルとハマスの戦闘激化が引き続き注目される。焦点はガザの空 爆からイスラエル軍による地上侵攻のタイミングに移っている。シュルツ独首相、バイ デン米大統領、スナク英首相が相次いでイスラエルを訪問して、相変わらずのイスラエ ル寄りのスタンスだが、ガザの医療施設の空爆などでアラブ側の反発は強まっており、 すでに中東の米軍基地などへの攻撃も報じられている。当面はイスラエルとハマスだけ でなく、中東地域全体の軍事的ニュースに神経質になりそうだ。 ただ目先の米金利の上昇傾向には注意したい。19日に10年債利回りが一時5%大 に乗せて、約16年ぶりの高水準を更新した。これが重要視されると利食い売りなど相 応の修正安となるパターンも考えられる。 独自要因としては、米エネルギー省が戦略石油備蓄(SPR)用に12月と1月に合 計600バレルの原油を買い付ける意向を示した。ただ希望価格が79ドル以下と現状 の水準からはかなり割安となっており、このまま相場の高止まりが続くと、実際に買い 付けを実施されるのか不透明と言わざるを得ない。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は10月には3万3000ドルの節目 で下値支持、3万4000ドルの節目が上値抵抗とした展開が続いているが、直近は高 値から崩れて3万3000ドル台前半をうかがう展開。 ドルインデックスはこのところ105ポイント台後半から106ポイント台前半で高 値もみ合いの様相となっている。 【米国在庫、原油だけでなく石油製品も減少】 米国内の目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報で、原油在庫は前 週比449万1000バレル減の4億1975万バレルと、前週の増加から一転して再 び減少して4億2000万バレル割れ。加えてニューヨーク原油の受渡場所であるオク ラホマ州クッシング在庫もは同75万8000バレル減の2101万バレルと引き続き 低水準となった。 さらに原油だけではなく、石油製品在庫も減少していた。ガソリン在庫は同237万 バレル減の2億2330万バレル。留出油は同318万バレル減の1億1377万バレ ルとなった。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油先限は戻り歩調が続き、ボリンジャーバンドの1シグマ(7万2690円辺 り)を上回った。 ガソリン先限は17日に名目値で7万5000円まで下落。引き続きボリンジャーバ ンドの−2シグマ(7万0450円辺り)と−1シグマ(7万5800円辺り)の間で 下落のバンドウォークとなっている。 【NY原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油12月限は戻り歩調継続。とくに21日平均線でもあるボリンジャ ーバンドの中心線(86.09ドル辺り)を抜けたあとに上げ足を加速させた。19日 には高値で1シグマ(89.04ドル辺り)を試した。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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