<金> NY金12月限は10月6日に1823.5ドルまで値を落とした後、急速に値位置 を切り上げたが、20日に2009.2ドルまで浮上した後は上げ一巡からもちあいに シフトし、23日以降は1970〜2000ドルのレンジ内での高下となっている。 米長期債の金利上昇を受けて大きく売り込まれた直後にイスラエルとハマスの軍事衝 突が発生したことで安全資産としての金需要が意識されるとともに、これまでの下落に より高まっていた売り警戒感から反動高に転じたが、2000ドルの節目に達したこと で上げ一巡感が強まっている。 同時にパレスチナの緊張が高まる以前に支配的だった米高金利環境の長期化観測に対 する意識が再び強まっていることも上値を抑制する要因になっている。 これまでのところ、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長は、今後の金融政策は慎 重に決定していく意向を明らかにしており、直近の米公開市場委員会(FOMC)では 金利が据え置かれるとの見方が強いが、米経済指標は依然として強気を維持している。 度重なる利上げにより住宅ローン金利が上昇しているにもかかわらず、新築住宅の販 売が好調だったことが明らかとなった。好調な住宅販売に加え、26日に発表された米 国の第3四半期国内総生産(GDP)も事前予想を上回る強気なものだった。 米国ではタイトな雇用情勢が続くなか、人手不足解消のために賃金を引き上げ、賃金 引き上げ分を価格に転嫁することでまかなうという流れを受けて物価高が続いている。 賃金の上昇により、消費者は引き続き旺盛な消費活動を見せている。 また、パレスチナ情勢の悪化に対する警戒感から原油が高止まりしていることも、今 後の物価を支える要因になってくると見られ、米国のインフレ率がFRBが目標とする 2%に到達するまでに長い時間を要することが見込まれる。 この物価高予想はFRBにとって追加利上げを実施する根拠にはなるが、その一方で 度重なる追加利上げの影響で利払い支出が増加した結果、米国の財政悪化は進んでい る。米財政悪化に対する警戒感が深まりを見せるなか、金には逃避買い需要が見られて いることがサポート要因。 強弱材料が入り混じる状態であり、NY金12月限は引き続き2000ドル前後の値 位置を維持したうえでの高もみ継続が想定される。 <銀> NY銀12月限はNY金の急伸に連動して上昇した後は軟化に転じている。金とはこ となり、パレスチナ情勢不安や米財政悪化に備えた安全な投資先としての需要が細いこ とが背景と見られる。 強気な米経済や金の底堅い足取りはNY銀市場の下支え要因ながら、安全資産として の弱さから金に比して頭の重い足取りとなりそう。 <白金> NY白金1月限はじり高となり10月2日から6日にかけての急落時に記録した下げ 幅を相殺している。 世界的な供給不足が警戒される状況ながら、米国の高近隣環境の長期化とこれを受け たドル高止まり観測が重石となっている。 下げ幅相殺で買い一巡感が強まると見られることもあり、900ドル前後でのもちあ いへシフトするのではないか。 <パラジウム> NYパラジウム12月限は23日に1088ドルまで下落。この水準を離れた後も 1150ドルが上値抵抗線として意識される頭重い足取りが続いている。 独自の材料に欠ける状況だけに浮上となるきっかけも限られている。21日移動平均 が交わる1160ドルを上値抵抗線にしての下値低迷継続か。 MINKABU PRESS
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