石油週間見通し=NY原油は70ドル模索、チャート悪化で景気減速懸念優勢

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油12月限は8日の安値74.91ドルで、
1.618倍押しの74.24ドルを達成したとみるかどうかかなり微妙なところ。
13日の新月前に早めの底入れの可能性も出てきているが、もうひと下げの「最後っ
屁」があるかもしれないとした。

【NY原油は70ドル模索の可能性も】
 ニューヨーク原油は結局、もうひと下げの「最後っ屁」が筆者の想定以上に大きなも
のとなった。12月限は20日に納会するため、1月限が指標限月となるが、16日に
は72.37ドルまで下落した。本稿執筆時の17日午後には73ドル台前半で推移し
ている。10月6日の安値78.93ドルから10月20日の高値88.37ドルまで
の上げ幅の1.618倍押しに当たる73.94ドルを既に割り込んでいるため、2倍
押しの70.53ドルが次の下値メドとなる。
 別の尺度では、8日の安値74.92ドルから14日の79.65ドルまでの上げ幅
に対する1.618倍押しが71.87ドル、2倍押しが70.03ドルとなるため、
さらに底割れすれば70ドル台を維持できるか否かが焦点となろう。

 材料的には、下落する時の常套文句である景気減速懸念が再び優勢となった。後述す
るように、国際エネルギー機関(IEA)などが強気の需給見通しを発表しても高値を
維持できずに崩れる展開となっている。
 今週発表された10月の米消費者物価指数、10月の米小売売上高、週間の米新規失
業保険申請件数などで、インフレ率鈍化、消費停滞、雇用悪化などが示されたとの弱気
の見方が優勢となり、現状は原油の独自のファンダメンタルズが重要視されていない状
況だ。加えてチャート悪化により、買い方の投げが出尽くしてしまわないとなかなか反
転は難しい状況となっている。
 今後反転の転機になる可能性があるものとしては、26日に開催予定の石油輸出国機
構(OPEC)プラス合同閣僚委員会(JMMC)、あるいは前回の当欄でも指摘した
原油価格の急落よる米国政府の戦略石油備蓄(SPR)の前倒し買い付けの可能性など
が挙げられよう。今月は27日が満月であり、満月底になるシナリオもありそうだ。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はさらに上昇傾向。3万5000ドル
の節目を伺う展開。
 ドルインデックスは高値から大きく崩れる展開。一時103ポイント台もあったが、
直近は104ポイント台前半で推移している。
 原油相場にとってはどちらも追い風と言えるが。

【世界石油需要の伸びを上方修正=IEA】
 14日の国際エネルギー機関(IEA)の月報では、2023年、2024年ともに
世界石油需要の伸びが上方修正された。まず2023年の世界石油需要の伸びは前年比
日量240万バレルと、前月の同230万バレルから上方修正された。うち同180万
バレルの伸びは中国の増加分になるという。これにより同年の世界石油需要は同1億0
200万バレルに増加する見込み。
 また2024年の世界石油需要の伸びも同93万バレルと、前月の90万バレルから
上方修正された。これにより同年の世界石油需要は同1億0293万バレルと過去最高
になる見込み。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油先限は17日の急落で、ボリンジャーバンドの−2シグマ(6万6190円
辺り)を再び割り込んだ。
 ガソリン先限は名目値で7万9000円の横ばい。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油1月限は16日の大陰線で72.16ドルまで急落。下降中のボリ
ンジャーバンドの−2シグマ(72.53ドル辺り)を試す展開となっている。


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