石油週間展望=NY原油は70ドル模索も、チャート悪化で景気減速懸念優勢

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [11月20日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     11 月  13 日〜 11 月 17 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   79,000    79,000(13)    79,000(13)   79,000       ±0
灯  油  先限   78,000    78,000(13)    78,000(13)   78,000       ±0
原  油  先限   67,390    69,050(14)    65,520(17)   65,520     -1,820
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                                        11 月 13 日〜 11 月  17 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値      安 値     終 値   前週末比
  NY原油  1 月限      77.18    79.65(14)    72.37(16)  76.04      -1.11
ブレント原油  1 月限      81.43    83.97(14)    76.60(16)  80.61      -0.82
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17日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 150.57 前週末比 0.80円の円高
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油12月限は8日の安値74.91ドルで、
1.618倍押しの74.24ドルを達成したとみるかどうかかなり微妙なところ。
13日の新月前に早めの底入れの可能性も出てきているが、もうひと下げの「最後っ
屁」があるかもしれないとした。

【NY原油は70ドル模索の可能性も】
 ニューヨーク原油は結局、もうひと下げの「最後っ屁」が筆者の想定以上に大きなも
のとなった。12月限は20日に納会するため、1月限が指標限月となるが、16日に
は72.37ドルまで下落した。本稿執筆時の17日午後には73ドル台前半で推移し
ている。10月6日の安値78.93ドルから10月20日の高値88.37ドルまで
の上げ幅の1.618倍押しに当たる73.94ドルを既に割り込んでいるため、2倍
押しの70.53ドルが次の下値メドとなる。
 別の尺度では、8日の安値74.92ドルから14日の79.65ドルまでの上げ幅
に対する1.618倍押しが71.87ドル、2倍押しが70.03ドルとなるため、
さらに底割れすれば70ドル台を維持できるか否かが焦点となろう。

 材料的には、下落する時の常套文句である景気減速懸念が再び優勢となった。後述す
るように、国際エネルギー機関(IEA)などが強気の需給見通しを発表しても高値を
維持できずに崩れる展開となっている。
 今週発表された10月の米消費者物価指数、10月の米小売売上高、週間の米新規失
業保険申請件数などで、インフレ率鈍化、消費停滞、雇用悪化などが示されたとの弱気
の見方が優勢となり、現状は原油の独自のファンダメンタルズが重要視されていない状
況だ。加えてチャート悪化により、買い方の投げが出尽くしてしまわないとなかなか反
転は難しい状況となっている。
 今後反転の転機になる可能性があるものとしては、26日に開催予定の石油輸出国機
構(OPEC)プラス合同閣僚委員会(JMMC)、あるいは前回の当欄でも指摘した
原油価格の急落よる米国政府の戦略石油備蓄(SPR)の前倒し買い付けの可能性など
が挙げられよう。今月は27日が満月であり、満月底になるシナリオもありそうだ。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はさらに上昇傾向。3万5000ドル
の節目を伺う展開。
 ドルインデックスは高値から大きく崩れる展開。一時103ポイント台もあったが、
直近は104ポイント台前半で推移している。
 原油相場にとってはどちらも追い風と言えるが。

【世界石油需要の伸びを上方修正=IEA】
 14日の国際エネルギー機関(IEA)の月報では、2023年、2024年ともに
世界石油需要の伸びが上方修正された。まず2023年の世界石油需要の伸びは前年比
日量240万バレルと、前月の同230万バレルから上方修正された。うち同180万
バレルの伸びは中国の増加分になるという。これにより同年の世界石油需要は同1億0
200万バレルに増加する見込み。
 また2024年の世界石油需要の伸びも同93万バレルと、前月の90万バレルから
上方修正された。これにより同年の世界石油需要は同1億0293万バレルと過去最高
になる見込み。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油先限は17日の急落で、ボリンジャーバンドの−2シグマ(6万6190円
辺り)を再び割り込んだ。
 ガソリン先限は名目値で7万9000円の横ばい。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油1月限は16日の大陰線で72.16ドルまで急落。下降中のボリ
ンジャーバンドの−2シグマ(72.53ドル辺り)を試す展開となっている。

<当面の予定>
20日【経済】独生産者物価指数 2023年10月(連邦統計庁)
   【経済】英住宅価格指数 2023年11月(ライトムーブ)
   【経済】米景気先行指数 2023年10月(カンファレンスボード)
   【納会】米WTI原油 2023年12月限(NYMEX)

21日【経済】米中古住宅販売統計 2023年10月(全米不動産協会)
   【工業】米週間石油統計(API)

22日【経済】チェーンストア販売統計 2023年10月(日本チェーンストア協会)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米耐久財受注 2023年10月速報値(商務省)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2023年11月確報値(ミシガン大)
   【経済】米FOMC議事録公表 10月31日-11月1日(FRB)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

23日【休日】勤労感謝の日
   【経済】ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2023年11月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2023年11月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2023年11月速報(Markit)
   【休日】米サンクスギビングデー

24日【経済】消費者物価指数 2023年10月(総務省)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 11月12日-11月18日(財務省)
   【経済】景気動向指数 2023年9月改定状況(内閣府)
   【納会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油2023年
             12月限(東京商品)
   【経済】独国内総生産 2023年7-9月期確報(連邦統計庁)
   【経済】独景況感指数 2023年11月(ifo)
   【商品】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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