貴金属4品週間見通し=金は雇用統計次第ながら高値圏での高下が続く

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金2月限は4日に2152.3ドルと過去最高値まで値を伸ばし、その後、反落
に転じたが2030ドルを割り込むと押し目買いが喚起され、2050ドル前後を維持
する底堅い足取りとなっている。
 金の強地合いを支えているのは米利下げ着手の可能性、利下げ着手や米財政悪化に対
する警戒感を背景としたドル離れの動きや、地政学不安だ。
 米利下げ着手については、10月の消費者物価指数(CPI)でインフレ緩和傾向が
示されたこと、さらに、雇用統計の発表を受けてタイト感が後退すると同時に人手不足
が賃金上昇を招きこれが物価高を消化するという流れの変化を強く意識させたことによ
ってその可能性がさらに強く意識されるようになった。
 それだけに8日発表の雇用統計での増減の程度が注目されるところで、雇用情勢のよ
り一層の緩和が示されるようであれば、過去最高値に近い水準を目指す可能性が高ま
る。
 また、米経済指標の弱気な内容やこれまでの追加利上げを受けた利払い支出による財
政の悪化は米利下げ観測だけでなく、ドルに対する信認低下を招くと同時に安全資産と
して金を求める動きを強めている。
 世界的に中央銀行が金を積み立てる動きが強まっていることがワールド・ゴールド・
カウンシル(WGC)によって報告されているが、利下げ着手の見通しが強まるようで
あれば更にドル離れの動きが拡大しかねない。
 10月下旬に859トン台を記録していたSPDRの金ETF残高は11月17日に
は880トン台まで回復し、その後も細かな増減がありながらも880トン前後を維持
しており、金への投資意欲の根強さを窺わせている。
 CMEのFedウォッチでは既に来年3月の利下げ着手を見込む比率が52%に達し
ていることが示されるなど利下げ着手が織り込まれるなか、NY金2月限は雇用統計
次第では再び強含む可能性を保持した状態で2050ドル前後の値位置で高下すること
になりそう。
<銀>
 NY銀3月限はNY金の足取りとは異なり4日に2634セントの高値まで浮上した
後は続落にて11月24日から12月4日にかけて記録した上げ幅を相殺している。
 安全な投資先として金に需要が見られる一方、米景気不安は工業用としての銀需要減
少懸念を強めたものと見られる。
 チャート面で下げ一巡感が強まる値位置に達していることや、金の底堅い足取りに支
えられそうで、2400セント前後での高下にシフトしそうだ。
<白金>
 NY白金1月限は7日の取引で反発に転じ18ドル超の上げ幅を記録したが、4日以
降の急落後だけにその修正による反動という側面もある。
 依然として独自の買い支援要因に乏しい状況のなか、金と同様に安全資産としての役
割が意識されていることも買い戻されたが一因と見られる。8日のアジア時間外取引で
続伸となり、919ドル台まで戻り高値を更新し、920ドル台回復も有り得そうだ。
ただし930ドル台に向かうには買い材料不足だ。
<パラジウム>
 パラジウム3月限は、12月4日に過去最高値を更新した金やこれに追随した他貴金
属とは異なり12月4日にかけて下落して926.5ドルと一代の安値を更新。その
後、買い戻されたものの1000ドルに近づくと売り直される頭の重いし足取りとなっ
ている。
 NY白金の取組減少に追随し市場から資金を引き上げる動きが見られていると予想さ
れ、NY金との連動性の乏しさからも低迷場面が見込まれる。
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