[今日の視点]貴金属=金が上昇、プラチナは下落

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
 貴金属は、金が上昇して寄り付く見通し。金はニューヨーク高と円安を受けて買い優
勢となろう。プラチナ系貴金属(PGM)はプラチナがニューヨーク安を受けて軟調と
なろう。
 午前8時10分現在の現物相場は前営業日の引け時点と比べ、金は1.98ドル高の
2035.58ドル、銀が4セント安の2221セント、プラチナが23.21ドル安
の880.70ドル、パラジウムは48.59ドル安の895.29ドル。
 午前8時10分現在のドル・円相場は1ドル=148.04/06円で、前営業日の
大引け時点から0.07円の円安。
 先限の寄り付き目安は、金が9690円前後、銀は106.2円前後、プラチナは
4250円前後、パラジウムは4600円前後。
【NY金は米国債の利回り上昇に上値を抑えられる】
 金はきのうの海外市場では、押し目を買われたが、ドル安が一服すると、上げ一服と
なった。
 金は米国債の利回り上昇に上値を抑えられた。欧米の金融当局者が利下げに対する慎
重な姿勢を示した。欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は、ECBは利下
げに忍耐強く取り組むべきとの認識を表明した。米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ
総裁は、連邦準備理事会(FRB)は年内に2〜3回の利下げを実施する公算が大きい
との見方を示した。
 米国の商業用不動産に対する懸念が欧州に飛び火し、ドイチェ・ファンドブリーフバ
ンク(PBB)の社債が急落した。同行は引当金を積み増したと予定外の発表を行っ
た。米格付け会社ムーディーズが格付けをジャンク級に引き下げた米地銀NYCBはニ
ューヨーク市場で一時14%安となったが、買い戻されて下げ一服となった。
 イスラム組織ハマスは、エジプトやカタールなど4カ国が提示したパレスチナ自治区
ガザにおける休戦案への回答として、135日間にわたる3段階の休戦を提案した。し
かし、イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ガザでの完全勝利は手の届く
ところにあると述べ、イスラム組織ハマスが提示した休戦案を拒否する姿勢を示した。
一方、米軍は、イラクで親イラン勢力「神の党旅団(カタイブ・ヒズボラ)」の司令官
を殺害したと発表した。米国防総省はヨルダンで米兵3人が死亡したドローン攻撃にカ
タイブ・ヒズボラが関与したとみている。
 中東の緊張の高まりや米地銀ショックなどは金の支援要因だが、欧米の利下げ観測の
後退を受けて金ETF(上場投信)から投資資金が流出し、上値を抑える要因になっ
た。
 銀はきのうの海外市場では、ドル安一服や金の上げ一服を受けて反落した。
【NYプラチナは中国経済の先行き懸念やドル安一服が圧迫】
 プラチナはきのうの海外市場では、中国経済の先行き懸念やドル安一服を受けて売り
優勢となった。
 プラチナは中国経済の先行き懸念やドル安一服が圧迫要因となった。中国の株式市場
が混乱する中、中国証券監督管理委員会(証監会)の易会満主席を交代させる人事を決
定した。交代する呉清氏は銀行業界のベテランで、2000年代半ばにトレーダーに対
する締め付けを主導したことから「ブローカー殺し」の異名を取る。一方、欧米の金融
当局者が利下げに対する慎重な姿勢を示すと、米国債の利回り上昇が再開し、ドル安が
一服した。
 パラジウムは2018年8月以来の安値892.00ドルを付けた。米連邦準備理事
会(FRB)の利下げ観測後退によるドル高が圧迫要因になった。自動車販売で電気自
動車(EV)の比率が上昇していることもパラジウムの下げ要因である。ただJPXパ
ラジウム先物の取組高は0枚で取引されていない。
<今日の予定>
・国際収支(経常収支) 2023年12月(財務省)
・中国消費者物価指数 2024年1月(国家統計局)
・中国生産者物価指数 2024年1月(国家統計局)
・米新規失業保険申請件数(労働省)
・米卸売在庫 2023年12月確報値(商務省)
MINKABU PRESS 東海林勇行

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