ドル円は155円に向けての上値追い続く パウエル発言は利下げ期待の後退を追認=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円は155円に向けての上値追い続く パウエル発言は利下げ期待の後退を追認=NY為替概況

 きょうもNY為替市場はドル買いの動きが続き、ドル円は155円に向けての上値追いが続いた。中東情勢は依然として混沌としているものの、米株式市場の下げが一服し、米国債利回りも上昇していることがドル円の下値をサポートしている。

 午後にパウエルFRB議長のパネル討論会での発言が伝わり、最近のインフレ指標から判断して、利下げに必要な確信を得るのにはより長い時間がかかる可能性が高いとの認識を示した。市場の利下げ期待の後退を追認する内容であったこともドル円をサポートしている。

 途中に瞬間的に円高が強まる場面が見られ、154円ちょうど付近まで急速に下落する場面が見られた。介入への警戒感が強まる中、敏感に反応していたようだ。ドル円はここ数日の急速な上昇で、過熱感を測るテクニカル指標であるRSIが買われ過ぎの水準である70を上回るなど過熱気味の雰囲気も強まっている。

 いつ財務省が介入を実施してもおかしくはない状況ではあるが、明日かワシントンでG20とG7の財務相・中央銀行総裁会議が開催されることもあり、様子を見ているのかもしれない。歴史的な円安水準が続く中で、為替に関する協議も予想され、過度な変動への対応を各国が容認すれば、介入実施の可能性もあるのかもしれない。

 ユーロドルも上値の重い展開が続いており、1.06ドル台前半での推移。年内にFRBが利下げを行わないというシナリオのもとでは、ユーロドルは1.05ドル以下まで下落する可能性があるとの指摘が出ている。想定外の米インフレ上昇により、年内のFRBの利下げをもはや予想していないという。市場はFRBの利下げ開始がECBよりも遅れることを織り込んでいるが、その先がまだあるという。

 ポンドドルも上値の重い展開。英中銀の利下げ期待がポンドの上値を圧迫している一方、FRBの利下げ期待は後退しており、ポンドドルを圧迫しているようだ。

 この日は12-2月の英雇用統計が発表になっていたが、ILO失業率は4.2%まで上昇し、英雇用の悪化を示唆し、雇用者数も予想外の減少となった。英中銀の利下げ期待を正当化する内容ではあるものの、週平均賃金が思ったほど鈍化していないことから、市場を迷わせているようだ。週平均賃金(除く賞与)は前年比6.0%と前回からは鈍化していたものの予想は上回った。これを受けて短期金融市場では8月の英中銀の利下げ期待を後退させている。

 ただ、インフレが2%を下回り、その状況下で賃金が決定されると期待されている年後半には決定的な下落が予想されるとの見方も出ていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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