ドル円、一連のイベントで152円に引き続き155円に抵抗帯を形成=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、一連のイベントで152円に引き続き155円に抵抗帯を形成=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル買いが再び強まる中、ドル円は154円台での底堅い推移が続いている。ただ、155円には慎重も見られているようだ。きょうはウィリアムズNY連銀総裁の発言が伝わりドル買いを誘った。総裁は「利上げ基本シナリオでないが、指標が正当化するならあり得る。利下げの緊急性は感じていない」と語っていた。可能性は低いとしながらも利上げに言及したことに敏感に反応していたようだ。

 ただ、前日のG7および日米韓の財務相会合を受けて、市場は財務省による介入への意識を高めている。G7声明では「2017年5月の為替相場についてのコミットメントを再確認する」との文言を踏襲した。為替の過度な変動や無秩序な動きは経済金融に悪影響との文言。

 財務省が実弾介入を実施してくるかは未知数だが、前日の一連の動きで152円に引き続き、今度は155円に心理的抵抗帯を形成させたことは間違いなさそうだ。また、協調介入への思惑も一部では出ているようだ。ただ、為替操作国認定を行っている米国が参加するとは考えられず、日韓での協調介入なら可能性があるとの見方も出ている。ただ、今回はドル資産を売らなければならないので、韓国の効果は未知数。ユーロ圏や英国が参加してくれれば、インパクトはかなりありそうだが、双方ともインフレは今後低下して行くとの見通しを立てており、ECBは6月利下げのコンセンサスを形成している状況。ここで自国通貨を押し上げてもあまり意味がなく、可能性は低いと思われている。

 事実上、日本が単独介入を実施し、ドル円が下落したとしても、一時的に終わるというのが市場の共通認識になっている。結局、米インフレが落ち着きを示し、FRBの利下げサイクルが可視化できるまでは潮の流れは変わらない。155円への警戒感はあるものの、市場は下値を拾っているようだ。

 ユーロドルはNY時間に入って再び戻り売りに押された。ロンドン時間に1.0690ドル付近まで買い戻され1.07ドル台回復を試す動きも見られていたものの、上値を抑えられた。きょうも複数のECB理事の発言が伝わっていたが、6月利下げでコンセンサスを固めているようだ。

 一方、6月に利下げを開始するものの、その後は市場が期待しているほどのペースで利下げを実施できないのではとの見方も出ている。理由はFRBの利下げの遅延で、ECBがFRBとデカップリングして利下げを進めることはないと主張している。本日はホルツマン・オーストリア中銀総裁の発言が伝わっていたが、「FRBが利下げを躊躇すれば、ECBの利下げ幅は制限される」と述べていた。その場合、今年のECBの利下げは限定的なものに留まるという。

 ポンドドルも上値重い展開が続き、1.24ドル台前半に下落。今週発表の英経済指標を受けて市場は英中銀の利下げ期待を後退させており、8月か9月の利下げ開始が短期金融市場でのコンセンサスとなっている。ただ、5月か6月との見方も根強い。年内にも実施されると見られている英総選挙を考慮しているという。

 ベイリー英中銀総裁は前日に、英インフレは今後急速に低下するとの楽観的な見方を示した。英中銀は第2四半期に目標の2%を下回り、その後、年後半に再び3%に向かって上昇すると予想している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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