【前週のレビュー】一触即発のイスラエルとイランを中心とした中東情勢が引き続き注 目される。ニューヨーク原油はこれで天井なのか、さらに高値更新があるのかが目先の 焦点となるが、16日の上弦辺りに押し目底があって、24日の満月に向けて天井を形 成するような上昇相場を予想したいとした。 【NY原油は高値更新の可能性も乱高下しやすい】 ニューヨーク原油5月限は22日に納会を迎えるため、6月限が指標限月となるが、 19日にイスラエルがイランの施設に対してミサイル攻撃を行ったと報じられ、アジア 時間帯に急騰したことで、18日の81.06ドルが目先の押し目底になる可能性が高 まっている。前回の当欄で押し目底のタイミングと指摘した16日の上弦から2営業日 遅れとなった。したがって、目先は24日の満月に向けて天井を形成するような上昇相 場を予想したい。差し当たりは12日に付けた一代高値86.97ドルが上値目標とな る。なお、急騰後の6月限の高値は85.64ドルだが、本稿執筆時の19日午後時点 には83ドル台後半と既に2ドル近く高値から崩れて激しい値動きとなっている。 材料的には、目先イスラエルとイランの交戦状態がどこまで激化するかあるいは沈静 化するのかに一喜一憂しそうな展開が続くことが予想される。ニュースごとに2〜3ド ル乱高下することも十分にあり得るので注意したい。 直近の報道では、米CNNがイラン中部のイスファハンの上空で爆発する物体の映像 を放送しているが、イランメディアはイスファハンの北西部にある軍事基地近くで3回 の爆発音がしたが、無人機による攻撃とみられるとしている。なお周辺の核関連施設へ の被害は出ていないという。 今後、原油相場にとって、世界の原油の約20%(日量約2000万バレル)が通過 するホルムズ海峡閉鎖で供給がストップするのが最悪のシナリオとなるが、そこまで行 かなくても両国が交戦状態が続けば、今後の相場水準は80ドルを地相場に上振れた場 合に100ドル台に乗せるようなイメージで考えたい。 ロシア・ウクライナの軍事衝突に関しては、ウィリアム・バーンズ米中央情報局 (CIA)長官が18日、米国が軍事支援をしなければ、ウクライナが年末までに敗北 する危険性が非常に高いとして、ウクライナ支援法案の通過を促した。米国は近日中に 約610億ドルのウクライナ支援を含む法案の米下院での採決を控えている。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は高値から反落する傾向となり、19 日のアジアの時間帯に崩れたが3万7000ドル台後半は維持している。 ドルインデックスは106ポイント台に乗せて、大勢ドル高傾向は続いている。 ともに原油にとっては逆風と言える動きだ。 【米国は原油在庫が4週連続増加も石油製品在庫は減少=EIA週報】 米国に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報では、原油在庫が前 週比273万5000バレル増の4億5999万バレルと、4週連続で増加していたも のの、石油製品在庫はガソリンが同115万4000バレル減の2億2738万バレ ル、留出油が同276万バレル減の1億1497万バレルと、ともに減少していた。特 に今後、需要期を迎えるガソリンの減少傾向が今後も続くのか否かに注目したい。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油の6番限である9月限は直近の一代高値からの反落も21日移動平均線でも あるボリンジャーバンドの中心線(7万8660円辺り)に支持される形で上伸して、 いったん下回っていた8万円台を再び回復した。 ガソリン先限は名目値で8万3000円の横ばいが続いている。 【NY原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油6月限は18日に81.06ドルまで崩れたが、チャートにはまだ 表示されていないが、19日のアジアの時間帯の急伸で高値で85ドル台まで戻してお り、81ドルの節目とボリンジャーバンドの−1シグマ(81.38ドル)に支持され て押し目底を付けたことになりそうだ。 MINKABU PRESS
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