ドル円は154円ちょうど付近まで戻す 米雇用統計を受けたドル売りは一服=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円は154円ちょうど付近まで戻す 米雇用統計を受けたドル売りは一服=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は買い戻しが入り154円ちょうど付近まで戻している。先週の米雇用統計を受けたドル売りは一服していたが、ドル円は先週の急落からの値ごろ感の買い戻しが出ていた。先週の米雇用統計はFRBにとって歓迎すべき兆候を示しており、非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく下回ったことのほか、特に賃金の伸びが引き続き鈍化していることは心強い内容ではあった。

 また、米雇用統計発表後で反応は鈍かったが、ISM非製造業景気指数が判断基準の50を下回り、2022年以来の縮小圏に低下していた。サービス業の減速が示唆されており、米雇用統計でも特にレジャー・接客部門の就業者数が4月は5000人増に留まっていた。米企業の1-3月期決算でもマクドナルドやスターバックスのような企業は春以降、米消費者の財布の紐が固くなっていることに揃って言及している。 

 FRBが特に懸念していたサービス業のインフレが今後、落ち着いて来るのではとの期待感もあり、短期金融市場ではFRBが秋以降利上げを開始し、年内2回の利下げでコンセンサスを形成しようとしている。米大手証券からは、環境がそろえば、7月利下げ開始の可能性もあるとの見方も出ていた。

 その意味では来週の米インフレ指標は、かなり重要なポイントとなりそうだ。

 きょうもユーロドルはリバウンド相場を継続し、1.07ドル台後半まで一時上昇する場面が見られた。先週の米雇用統計が雇用の冷え込みを示したことで、ユーロドルは200日線を一旦上抜き、1.08ドル台を回復していた。しかし、200日線を超えると戻り待ちの売りも多く観測され、1.07ドル台に伸び悩んでいた。ただ、下押す動きもなく、本日も1.08ドルちょうど付近に来ている200日線を試す動きが続いている。

 本日はECB理事のシムカス・リトアニア中銀総裁の発言が伝わっていたが、6月を皮切りに年内3回の利下げを見込んでいると語っていた。概ね基本シナリオに沿って進んでおり、予想外の事態がなければ、ECBは金融政策を緩和する余地があるとの認識を示している。4回目については確信が持てないとしている。

 市場でも年内3回の利下げがコンセンサスとなっており、6月、9月、12月の理事会で0.25%ポイントずつの利下げを想定している。

 ポンドドルもリバウンド相場を継続。本日は1.25ドル台後半まで一時上昇し、200日線を上抜ける動きが出ている。先週末は一旦1.26ドル台に急上昇していたが、200日線付近まで押し戻されていた。明日以降の動きが注目される。

 今週9日木曜日に英中銀金融政策委員会(MPC)が予定されている。政策は据え置きが確実視されているが、市場では英中銀の早期利下げ期待が高まっている。8月以降との見方が多いものの、もし英中銀が6月利下げの可能性も示唆した場合、ポンドはネガティブな反応を強める可能性があるとの指摘が出ている。一部では、英中銀は今週のMPCで6月利下げの基礎を固める可能性があるとの見方もここに来て高まっているようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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