【NY金市場は下値堅い足取りが続くも注目される中国の需要】 NY金6月限は4月12日に2448.80ドルの一代の高値を記録した後、軟化し た。上値を抑制される一方では2300ドルを割り込むと買い戻される下値堅い足取り が続いている。 米国での利下げ着手観測の強まりや、中国の不動産不況に対する警戒感からの需要不 安、ドル堅調を受けて転売が優勢となったことが軟化の背景となった。 その後、米経済指標からは旺盛な個人消費の様子を窺わせる内容が明らかになる一方 で、3月雇用動態調査(JOLTS)の求人件数は事前予想の868万6000件を下 回る848万8000件と2021年2月以来の低水準にとどまった。 また、3月の非農業部門雇用者数の増加幅が前月を下回ったうえ賃金上昇率も前月以 下に留まるなど、これまで底堅さを見せていた米雇用市場が軟化傾向にあることが示さ れている。 4月末から5月に開催された米公開市場委員会(FOMC)では金利の据え置きが決 定される一方、米国債保有額の圧縮を進める量的引き締め(QT)ペースの緩和が決定 された。 ただ、同時に2%という物価目標への進展は見られず、ディスインフレの動きが停滞 している状況が声明文で示されたことで、今回のFOMCがハト派な印象を与えながら も依然としてインフレに対する警戒感が根強い様子も同時に示されている。 金市場においては米国で利下げが着手されるようであればドル売りの動きが広がるこ とが強気材料視される一方、利下げ着手が先延ばしされるようであればドル高が重石と なる。 その一方でこれまでのようにドル高に伴う外貨準備価値の低下を受けた公的機関の需 要が見られる可能性が高いことや、高金利環境の長期化に伴う米経済への影響から安全 資産としての需要が膨らむことが予想されるなど、どちらの政策が実施されても強気材 料視されやすい状況が続いている。 このような中で注目されるのが、中国の金需要は上海先物取引所(SHFE)の金の 出来高は、5月の労働節の連休を経て取引が再開された6日以降は10万枚台での推移 が続いており、金が過去最高値を更新し続けた4月に記録した70万枚に迫る勢いは落 ち着いた感がある。 それでも時おり20万枚台を記録する場面も見られており、金の需要が停滞したとは 言えない状況にある。昨年同月も20万枚台での推移が続いていただけに、今後、出来 高が縮小傾向を見せるようであれば中国の金需要が一巡した可能性が高まる点に注意が 必要だろう。 4月の金価格の需要が公的機関に加え、中国の需要が主要因となっていただけに、中 国の需要が落ち着けば再び高値を目指す可能性は低下する。 とはいえ、米国の金融政策がどのような方向に向かおうと金にとっての買い支援要因 となりやすい状況が続いているだけに金の下値は強く、NY金6月限は2300ドルを 下値支持線にしての高下が続くのではないだろうか。 MINKABU PRESS
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