【来週の注目材料】前回はサプライズな雇用の伸び、今回は弱め?=米雇用統計

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【来週の注目材料】前回はサプライズな雇用の伸び、今回は弱め?=米雇用統計

 5日に6月の米雇用統計が発表されます。
前回5月の雇用統計は非農業部門雇用者数が4月の+16.5万人、市場予想の+18.2万人を大きく上回る+27.2万人となりました。平均時給は前月比+0.4%と4月の+0.2%、市場予想の+0.3%を超え、前年比も+4.1%と4月の+4.0%、市場予想の+3.9%を超える伸びとなりました。
 一方失業率は4.0%と市場予想及び4月の3.9%を上回りました。失業率が4%に乗せるのは2022年1月以来です。

 非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、4月は前月比変わらずとさえなかった建設業が+2.1万人となり、財部門の+2.5万人を支えました。非住宅部門の建設が主体となっています。
 民間サービス部門は+20.4万人の好結果。同部門が20万人の大台を超えたのは昨年5月以来1年ぶりでした。教育・医療サービスがヘルスケア部門の増加を支えに+8.6万人と4月の+10.6万人には届かないものの高い伸びを維持。4月は冴えなかった娯楽・接客業が+4.2万人とまずまず。単体で1200万人超の雇用者のいるレストラン・バーなどの飲食部門が+2.46万人で全体を支えました。比較的景気に敏感な小売業が+2.3万人、運輸倉庫が+2万人となっており、こちらも好結果です。

 一方失業率の計算で利用される家計調査ベース(非農業部門雇用者数と平均時給は事業所調査ベース)では、就業者数が前月から40.8万人減少し、失業者数が15.7万人増加する形で失業率の悪化が見られました。特に若年層(16歳から24歳)の失業率が9.2%と前月の8.2%から大きく悪化しています。
 
 関連指標をみていきましょう。
まずは週間ベースの新規失業保険申請件数。雇用統計と調査対象期間のかぶる12日を含んだ週の結果は、5月の21.6万件に対して6月は23.9万件とやや悪化しました。

 6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は100.4と5月の101.3から悪化。予想の100.0は上回りました。ただ労働関連の数字は改善されており、雇用が十分にある(Plentiful)との回答は38.1%で5月の37.0%を上回り、職を見つけることが困難(Hard to get)との回答は14.1%と5月の14.3%を下回っています。

 その他、今週発表される関連指標をみていきます。

 まず1日発表の6月米ISM製造業景気指数。
前回5月は48.7と4月の49.2から悪化。市場予想は49.5への改善でした。
新規受注が4月から3.7ポイント悪化して45.4となっています。2022年6月以来の下落幅でした。
ただ雇用に関しては51.1と4月の48.6から2.5ポイント上昇し、好悪判断の境となる50を上回りました。
今回の予想は49.2と前回から改善見込みです。新規受注の改善予想などが支えになっています。ただ、雇用に関しては前回から悪化の見込みです。

 3日に発表される同非製造業景気指数は前回53.8と4月の49.4から大きく改善。市場予想の50.8も超えて、2023年8月以来の高水準となりました。製造業における生産にあたる事業活動が61.2と4月から10.3ポイントの大幅な上昇。上昇幅は2021年3月以来の大きさ、水準は2022年11月以来の高水準となります。4月かなり弱かった雇用は47.1と4月の45.9から改善も、小幅にとどまり、50も下回っています。
今回の予想は52.5と前回から若干の鈍化も50超えを維持する見込みです。

 その他は2日に5月のJOLTS求人件数、3日に6月のADP雇用者数が発表されます。ADPは16.3万人と5月の15.2万人から上昇見込みです。

 こうした状況を受けて今回の予想ですが、非農業部門雇用者数が+18.8万人と一気に伸びが鈍化する見込みです。水準的にはごく普通ですが、前回が強かっただけに鈍化という印象が強くなります。失業率は前回と同じ4%、平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.9%と5月の+0.4%、+4.1%から伸びが鈍化見込みです。

 全般に決して弱い数字ではありませんが、前回強めの数字が複数見られたこともあり、予想前後であれば雇用市場の好調さが一服という印象。9月の利下げ開始に向けた市場の期待を支える形となりそうです。

 予想通り、もしくはそれよりも弱い結果でドル売りの材料という印象です。

MINKABUPRESS 山岡

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