NY時間の終盤に入って、ダウ平均の下げ幅が1600ドルを超える中、円高の動きも見られている。ドル円はドル買いの動きに下値を支えられていたが、さすがに維持できずに104円台前半に値を落とす動きも見られた。 きょうのNY市場は、米株が再び急落するなどリスク回避の雰囲気が強まっているものの、為替市場はドル買いの反応が見られている。ドル円は上値こそ重いものの、一時105円台まで買い戻される場面も見られた。週初までとは違った印象も見受けられる。 前日は、トランプ大統領の新型ウイルス感染への経済対策への期待が高まり、ドル円も106円近くまで買い戻される場面が見られた。大統領は11月の大統領選挙までの給与税の免除を共和党議員に打診していた。しかし、きのう予定していた会見に大統領は姿を見せず、具体的なアナウンスも無かったことから、市場は再び失望感に包まれた。 ドル円も戻り売りに押されたが、下値も固くなって来ているのか、買い戻しの動きが見られた。きょうも米株式市場でダウ平均は一時1600ドル超の急落となり、目まぐるしい値動きが続いているが、米国債利回りは上昇し、全体的にドルがしっかりとしていることから、ドル円は下値をサポートされている。ポジションがだいぶ整理されたのか、週初とは違い底堅さを見せ始めているようだ。 ユーロドルは再び1.12ドル台に下落。市場は再びリスク回避の雰囲気に包まれ、アジア時間にユーロドルは買い戻しも見られていた。しかし、先週までのような力強さはなく、上値に重さも感じられた中、今度はリスク回避の雰囲気にドル買い・ユーロ売りの反応が見られている。 一部からは、このところの急上昇で、ユーロキャリー取引の巻き戻しが急速に進み、ユーロショートがだいぶ解消されたとの声も聞かれる。これ以上の上値追いはリスクだという。この日、金融緩和余地はFRBよりもECBのほうが小さいとは言え、本格的な景気後退となれば、米経済よりも欧州経済のほうが影響は大きい。 また、新型ウイルス感染に関して、ドイツのメルケル首相が、感染が国民の70%にまで広がる可能性があるとの認識を示したことも驚きとして受け止められている模様。感染拡大を遅らせて医療提供者に過大な負担がかからないよう対処する方針だとした。ドイツでこれまでに確認されている感染者は1300人に急増している。 ポンドドルは売り優勢となっており、1.28ドル台前半まで下落。この日は英中銀と英財務省のコラボが見られた。英中銀は緊急の大幅利下げを発表し、政策金利を0.5%引き下げている。一方、スナック財務相が発表した予算案は予想以上の内容ではあった。ポンドドルは英中銀の緊急利下げで売りが強まり、一時1.2830ドル近辺まで急速に下落したものの直ぐに切り返した。0.5%と下げ幅は大きかったものの、緊急利下げ自体はある程度想定されていたことでもあり、材料出尽くし感のショートカバーを呼び込んだ節もある。 一方、その後に公表された英予算案を受けて、ポンドは買いの反応が見られていた。次第にドル買いが優勢となったことで、上値は重くなったものの、概ね市場の反応は好印象だったようだ。しかし、市場が注目していた財政規律の点では不信感の声も聞かれる。スナック財務相は財政規則に固執していると主張していたが、それは見当違いで、明らかに拡大解釈との指摘も聞かれた。予算は過度に楽観的な成長予測に基づいており、ウイルス対策と英中銀の利下げも反映していないという。 現在進行中の財政フレームワークの見直しにより、財政政策のスタンスは公的債務を削減することに焦点を当てることから遠ざかっており、最終的にはより高い債務負担を強いられるという。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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