<金> NY金12月限は2750ドル前後での高下が続いていたが、トランプ氏が大統領選 に再選するとドルを買う動きが膨らみ値を崩し、2660.7ドルまで急落。ただその 後は米連邦公開市場委員会(FOMC)において追加利下げが決定されたことで買い戻 す動きが見られている。 ただ、NY金が今後、堅調な値動きでこれまでのような上伸力を示すことは予想しが たい。トランプ氏が大統領に就任した後は移民排斥の動きが労働力の縮小を促しかねな いうえ、中国からの輸入品に対する関税が引き上げられるようであれば物価が上向く可 能性が高まるからだ。 米国では求人件数が減少するなか雇用情勢の軟化が警戒されているが、その一方で賃 金が上昇するなか旺盛な個人消費が続きこれが米国の経済成長を促している。 今回のFOMCでは追加利下げが実施されたが、トランプ政権による政策の影響でイ ンフレ率の上昇や人手不足の進行が見られるようであれば、追加利下げ見通しが後退す る一方で高金利環境の長期化に伴う米経済不安が高まると予想される。 CMEのFedwatchによると12月FOMCでの追加利下げを見込んでいる比 率は7日時点では71%となっており、追加利下げ観測が強い様子を示しており、これ がNY金の下支え要因となってきそう。 11月に入ってから重要イベントが続き、これに伴い大きく高下した後で材料織り込 み感が強まるなか、インフレ率の再燃が警戒されることに上値を抑制されながらも追加 利下げ期待および追加利下げが実施されなかった場合の米経済への影響に対する警戒感 から、NY金12月限は2700ドル割れでは押し目買い喚起され、下値の堅い展開を 想定する。 <銀> NY銀12月限はNY金に連動して値位置を切り下げた後、3100セント割れに抵 抗を見せて切り返している。ただ、安全資産としての役割の乏しさが引き続き上値圧迫 要因となっており、史上最高値近辺で推移しているNY金とは異なり、頭の重さを窺わ せる足取りが続いている。 トランプ政権が再誕生することにより懸念されるインフレの再燃も銀市場において直 接的な材料となる可能性は薄く、金に連動しての高下が続くことになりそう。 <白金> NY白金1月限は10月30日から31日にかけて1060ドル台から1000ドル を割り込む水準まで大きく値を落とした後は、一時的に970ドル台まで値を落とす動 きを見せながらも、1000ドル前後の値位置を維持する足取りが続いている。 金に連動して値を落としながらも独自の手がかり難の状態のなかでの高下が続いてい る。NY金は米ドルの足取りに連動しての高下が想定されるが、金が大きく崩れない限 り75日移動平均線が通る983ドル前後で打診買いがあり、底堅く推移すると予想。 <パラジウム> NYパラジウム12月限は続落し、これまで下値支持線となってきた1050ドルも 割り込んでいる。頭の重い足取りを演じているパラジウムとの値開きが意識されるなか での頭重い動きとみられるが、20ドル程度までその差が縮小しているため、今後は下 げ渋ることになるとみる。 MINKABU PRESS
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