ドル円は一時148円台に急落 韓国大統領が突如、非常戒厳を宣布=NY為替概況 きょうのNY為替市場、韓国の尹大統領が現地時間の深夜に突如、非常戒厳を宣布したことを受け、前半はリスク回避の雰囲気が強まった。韓国の不安定な動きに本来なら円安シナリオとも考えられるが、円高が加速しつつある中で、本日の為替市場はリスク回避の円高で反応した。 ドル円は一時148円台に急落したが、韓国の国会が非常戒厳を解除するよう要求する決議案を可決したことや、この日発表の米求人件数が底堅い米労働市場を示唆したこともあり、ドル円は149円台に戻している。しかし、150円まで買い戻そうという動きまではない。なお、尹大統領は非常戒厳を解除すると述べ、僅か数時間の非常戒厳となった。投資家を驚かせ、韓国ウォンも売りが強まっていたが、影響は限定的だった。 明日はパウエルFRB議長の討論会への参加が予定されている。本日も複数のFOMC委員の発言が伝わっていたが、12月利下げの選択肢をオープンにしている。市場も利下げの確率を70%超で見ており、金曜日の米雇用統計が予想を上回る強い内容でない限り、12月利下げの可能性はさらに高まりそうだ。 ユーロドルは買い戻しが優勢となり、1.05ドル台に上昇。ただ、仏政治が流動化していることが重石となる中、上値の重い展開に変化はない。来週はECB理事会が予定され、市場では0.25%の利下げ確実視しているものの、一部で出ている大幅利下げについては可能性は低いと見ているようだ。 本日はタカ派のホルツマン・オーストリア中銀総裁の発言が伝わっており、来週の理事会で金利が引き下げられるとしても小幅に留まるとの見方を示した。「追加利下げの可能性はゼロではないが、大幅なものではなく、これまでのデータではその可能性は低い」と強調している。 なお、マクロン大統領は、バルニエ内閣は明日予定されている国民議会(下院)での不信任投票を乗り切れるとの見解を示し、この発言を受けてユーロに買いが見られていた。 右派の国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏が左派連合と手を組んで内閣打倒を目指すと見られているが、マクロン大統領は訪問中のリヤドで、RNが不信任案を支持することは耐え難いほど皮肉な投票行為だとし、「彼らが左派連合の動議に賛成票を投じるとは考えられない」と述べた。 ポンドドルも一時1.26ドル台後半まで買い戻された。ただ、21日線の下での推移が続いており、10月からの下げトレンドに変化はない。 英国家統計局(ONS)は、新しい労働市場調査への切り替えが再び延期される可能性があると警告した。英中銀では雇用データの正確性に対する懸念が深まる可能性が高い。ONSは2025年半ばに新しい労働力調査に移行する予定だったが、現在の品質上の懸念を考慮すると、それはありそうもないとし、2027年までかかる可能性があると述べた。移行スケジュールに関して春に最新情報を提供する予定だという。 また、主要調査の記入を世帯に義務付けることについて政府と協議中であることも明らかにしている。回答率の向上と偏りの低減を目的として、より短い調査のテストと調査員の増員を行っていることも付け加えた。 ONSは回答率の急落により、失業率、雇用、経済活動の推定値の正確性に対する懸念が高まったことを受け、昨年に調査を一時的に中断した。これにより、英中銀が労働市場のひっ迫度を評価することが難しくなり、金利見通しが不透明になっている。ここ数週間、英中銀からの批判が強まっている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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