ドル円、一時151円台に上昇も150円台に伸び悩む=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、一時151円台に上昇も150円台に伸び悩む=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は戻り売りに押され150円ちょうど付近まで一時伸び悩んだ。本日は円安の動きも加り、ドル円は朝方のNY市場で一時151円台に急上昇していた。

 前日は韓国の突如の非常戒厳令の発動で、市場も驚かされ、ドル円も一時148円台まで下落していたが、非常戒厳令が短時間で解除されたことから、ひとまずドル円は買い戻しが強まった格好。それでもなお韓国への不安が残る中で、日銀が12月利上げを見送るのではとの観測が強まり、円安を助長していたようだ。

 短期金融市場では、日銀が12月に利上げを行う確率を30%程度と、前日の55%付近から低下させている。また、ここに来て日米の金利差も再び拡大し始めており、ドル円をサポートしている模様。

 ただ、この日発表になった11月のISM非製造業景気指数が予想を下回ったことでドル売りの反応も見られ、ドル円も戻り売りが強まった。ISM指数は予想を下回り、3カ月ぶりの低水準となったが、需要と雇用が落ち着きを取り戻したため、週初に発表された製造業の8カ月連続の縮小領域を示す指数と併せて、今年の最終段階における成長鈍化を示唆していた。
 
 大統領選の動きもひとまず消化し、市場は今月のFOMCに注目を集めている。FOMC委員は12月利下げの選択肢をオープンにしており、金曜日の米雇用統計で落ち着いた雇用が示されれば、追加利下げへの期待が高まりそうな状況ではある。本日は午後にパウエル議長が討論会に出席し、「時間をかけて中立金利に向かう軌道にある。中立金利水準を探る中、慎重になる余地がある」と述べていた。概ね予想通りでもあったことから、反応は限定的。

 ユーロドルは、一時1.04ドル台に値を落としたものの、NY時間に入って買い戻しも見られ、1.05ドル台での推移となった。ただ、依然として上値が重い状況に変化はない。本日はラガルドECB総裁が欧州議会で証言を行っていたが「中期見通しは下振れリスクに支配されている」と述べ、景気の先行き不安に言及している。来週のECB理事会を控えて、総裁の発言は理事会までしばらく限定的になりそうだが、市場では0.25%ポイントの利下げは確実視しているものの、大幅引き下げについては可能性が低いと見ている。ただ、選択肢から外されたわけではない。

 市場では、今回のECBの利下げサイクルのターミナルレート(最終到達点)は、来年の7月までに1.75%との声が出ている。しかし、それは現段階ではやや積極的過ぎるとの声も一部では出ている。

 フランス議会でバルニエ政権の内閣不信任案が可決し、政権は崩壊した。ただ、こちらも概ね予想通りで、ユーロドルの反応は一時的に留まった。

 ポンドドルはNY時間に入って買い戻しの動きが見られ、1.27ドル台に戻す展開。本日の21日線が1.27ドルちょうど付近に来ており、その水準回復を試す動き。ただ、上値では戻り待ちの売りオーダーも多数観測されている状況。

 ロンドン時間に英FT紙がベイリー英中銀総裁の講演を伝えていたが、総裁は来年の4回の利下げを示唆した。「インフレが予想よりも早く緩和しており、経済見通しが裏付けられれば、来年4回の利下げを想定している」と述べている。

 総裁は「インフレは英中銀当局者が1年前に予測した以上のペースで減速した」と指摘。「様々なインフレシナリオが考えられるが、英中銀の最新の金融政策報告で示された中央値予測によれば、漸進的な利下げを目指すことが示唆されている」とも述べた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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