<金> NY金期近2月限は2600ドルを下値支持線にしてのもちあいが続いている。 12月に入り、米公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が浮上しているこ とが引き続き買い支援要因となっている。CMEのFedwatchでは、12月FO MCでの追加利下げを見込む比率が70%を超えており、追加利下げが既定路線になっ ているとみられる。 しかし、米経済指標は依然として強気な内容が目立っており、米連邦準備理事会(F RB)のパウエル議長は利下げまでに時間的な余裕がある、として継続的な利下げに対 しては慎重とも受け止められる見解を示している。 実際、トランプ政権が発足した後のインフレ率の上昇が警戒される状況に変わりはな い。1月下旬に発足が見込まれるトランプ新政権下では60%とされる中国からの輸入 関税引き上げを始め、それ以外の国からも10〜20%程度の輸入関税引き上げを公約 として掲げている。 輸入関税の引き上げによる直接的な物価の上昇、国内生産強化に向けた動きに伴う労 働力需要の高まり、さらに賃金の上昇を促す可能性を考慮すると、インフレが再燃する リスクが見込まれるためFRBは追加利下げに対しては慎重な姿勢を取らざるを得ない のが実情とみられる。 最も注目されるのは現地6日に発表される雇用統計で、ハリケーンと大規模なストの 影響でわずかなにとどまった10月の非農業部門雇用者数の伸びを今回の発表では上回 ってくることが予想されるが、同時に賃金の上昇率も前月を上回ってくるようであれば 来年1月以降の追加利下げ期待が後退し金市場の圧迫要因になってきそうだ。 目先は12月追加利下げ期待が手掛かりとなり、引き続き2600ドルを下値支持線 にしてのもちあいが想定されるものの、雇用統計次第では上下に振れる可能性がある点 に留意しておきたい。 <銀> NY銀3月限は3200セント前後まで浮上したところで頭打ちとなっている。追加 利下げ観測に伴うドル売りの動きが買いを支援しながらも、金の頭重い動きを受けて伸 び悩んでいる。 中国の景気不安は一段落しているものの、1月下旬に発足するとみられるトランプ新 政権による関税引き上げ措置が中国経済に与える影響が警戒される。 また、金の頭重い足取りも上値抑制要因だけに3200セントを抵抗線として意識し ながら頭重い展開になるのではないか。 <白金> NY白金1月限は供給不足観測を手掛かりにして浮上しながらも960ドルに達する と反落に転じており、上値の重さを窺わせる足取りとなっている。 中国景気に対する不安感は一段落したとはいえ、トランプ新政権の発足はこれからで あり、今後も欧米諸国の中国製品離れの動きが続くようであれば中国経済に対する不安 が再燃する恐れがある。そのため工業用としての白金需要期待が一方的に高まる可能性 は低く、需給面は強気が見込まれながらも引き続き960ドルに近づくと上値が重くな る足取りが予想される。 <パラジウム> NYパラジウム3月限は1000ドル前後で高下しながら緩やかに値位置を落としつ つある。依然として独自の手がかりに乏しいなか、白金との比価に基づいて高下してい る。同値圏での高下を継続となるか。 MINKABU PRESS
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