<金> NY金2月限は昨年12月30日に2608ドル台まで値を落とし、2600ドルに 接近したが、その後は反発に転じた。しばらく2650ドル前後での高下が続いた後、 8日、9日と大きく値を伸ばして2690ドル台に達している。 昨年末までは輸入関税の引き上げを公約として掲げるトランプ氏が大統領選に勝利し たことで物価上昇に対する警戒感が強まったことや、移民排斥の動きによる米雇用情勢 の引き締まりが見込まれるなか、インフレの加速化とこれに伴う米連邦準備理事会(F RB)による追加利下げ後退観測が重石となっていた。 特に12月開催の米公開市場委員会(FOMC)で2025年の追加利下げ回数の見 通しが前回までの4回から2回に引き下げられたことが意識され、これがNY金市場の 上値抑制要因になっていた。 しかし、米追加利下げが先延ばしされることで、高金利環境のもと根強いドル買いの 動きを刺激することになると同時にドル高傾向を支えることになると同時に、外貨準備 としてドル資産を保有する中央銀行による資産防衛のための金購入の動きが強まること が見込まれる。 また、依然としてくすぶる中東情勢不安やロシアとウクライナの戦闘状態は地政学不 安を深め、これが安全資産としての金需要を支えることになりそうだ。 一方の米国内においても、輸入関税の引き上げによって物価高が促進されるようであ れば、物であるためインフレヘッジとしての役割を持つ金に対する需要も刺激されると 見られる。 すでにトランプ新政権によるインフレ加速化懸念を受けて12月12日の2760ド ルから12月末にかけて2600ドルひと桁台まで値を落としたことで米新政権発足に 伴うマイナス要因は織り込んだ感が強いなか、金の持つ安全資産やドル高に対する資産 防衛手段、そして地政学不安に対する安全資産としての役割が意識され、2700ドル 台に向けた堅調地合いを維持することになりそうだ。 <銀> NY銀3月限は3100セントを上値抵抗線とする足取りが続いていたが9日の取引 で金に追随高となり終値ベースで3101.5セントを記録した。 ただ今月6日から8日にかけてのもちあい圏を大きく上放れるものではなく、手がか り難のなかNY金の堅調に追随する程度の足取りとみられる。 金に比べるとインフレヘッジ、安全資産としての役割に乏しいだけに上値は重い。ま た、中国の景気刺激策が期待されているとはいえ、米国で中国からの輸入製品に対する 関税が大きく引き上げられるようであれば中国経済に対する不安感が強まると同時に、 銀の工業用需要見通しも弱気となる可能性がある。 金の堅調な足取りが見込まれることが買い支援要因ながら昨年12月13日の高値3 163セントが目先の上値抵抗線として意識される頭重い足取りが見込まれる。 <白金> NY白金4月限は980ドル超えを示現したものの、その後は伸び悩んでいる。NY 金の堅調に連動した買いが見られる一方、安全資産としての役割が金に比べると弱いな か勢いに欠ける足取りにとどまっている。 独自の需給要因を手がかりにした上昇ではないだけに上値は重く、980ドル前後で の高下が続くと予想される。17日に中国国内総生産(GDP)の中国の複数の経済指 標の発表があり、次の方向性を示す可能性はある。 <パラジウム> NYパラジウム3月限はじり高での推移が続いており、白金と比べるとNY金の上昇 との連動性も薄い状態が続いている。NY白金を50ドル程度下回る価格帯であり、割 安感が強いながら買いのきっかけに乏しいため、同様にじり高程度で運ばれるのでは。 MINKABU PRESS
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