プラチナ週間展望=調整局面、米大統領就任を控えて利食い売り

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [1月20日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年 10 月限  1 月 14 日〜 1 月 17 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          13,674    13,736 (14)   13,514 (16)     13,612          -63
  銀           154.0     156.0 (16)    152.0 (15)      155.0         -0.7
 プラチナ       4,784     4,804 (14)    4,605 (17)      4,605         -169
 パラジウム     4,700     4,700 (14)    4,700 (14)      4,700            0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        16  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2) 2,750.9     +35.9   | ドル・円    155.69      2.65 円高
  銀       ( 3) 3,172.5     +41.1   | 日経平均  38,451.46       -738.94
 プラチナ   ( 4)   948.4     -47.7   | NY原油 ( 3)  77.85         +2.10
 パラジウム ( 3)   956.90    -11.50  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 16日
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【前週のレビュー】
 プラチナは中国の景気刺激策に対する期待感が支援、とした。
 プラチナはドル高を受けて売り圧力が強まると、利食い売り主導で調整局面を迎え
た。現物相場は11月25日以来の高値967.40ドルを付けたのち、上げ一服とな
った。プラチナ先限は円高も圧迫要因となり、6日以来の安値4624円を付けた。一
方、パラジウムの現物相場は12月13日以来の高値966.62ドルを付けた。
 トランプ次期米大統領の経済チームは、関税を月ごとに徐々に引き上げる案を検討し
ている。段階的に引き上げることで交渉力を高め、インフレ高進を回避する狙いがある
という。次期米大統領は、メキシコとカナダが米国への不法移民や麻薬の流入対策を進
めない限り、就任後直ちに両国製品へ25%の関税を課すと述べていた。メキシコのシ
ェインバウム大統領は、移民や治安、中国を巡る問題で米国との協力に真剣だという姿
勢を証明できる具体的な措置を打ち出した。一方、カナダ政府は次期米大統領がカナダ
産の製品とサービスに関税をかけた場合、米国からの輸入品最大1500億カナダドル
相当に対抗措置を取る可能性があるとした。カナダのトルドー首相はフリーランド副首
相の辞任後、各方面からの支持を失い、辞任を表明している。20日の米大統領の就任
後の動きを確認したい。
 12月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は25万6000人増加し、事前
予想の16万人増を上回った。失業率は4.1%と前月の4.2%から低下した。時間
当たり平均賃金は前月比0.3%、前年比3.9%それぞれ上昇した。予想外に堅調な
内容となり、リスク回避の動きが出た。ただ米生産者物価指数(PPI)や米消費者物
価指数(CPI)でインフレの落ち着きが示されると、米国債の利回りが低下した。
12月の米PPIは前月比0.2%上昇と事前予想の0.3%上昇を下回った。前月は
0.4%上昇。モノの価格の上昇がサービス価格の横ばい推移に部分的に相殺されたこ
とで、予想よりも緩やかな上昇率にとどまった。前年比では3.3%上昇し、前月の
3.0%上昇から伸びが加速し、上昇率は2023年2月以来最大となった。前年のエ
ネルギー製品の価格低下が計算から除外されたことが背景にある。米CPIは前年比
2.9%上昇と前月の2.7%から伸びが加速し、7月以来の大幅な伸びを記録した。
ただコアCPIは前年比3.2%上昇と前月の3.3%上昇から伸びが鈍化した。12
月の米小売売上高は前月比0.4%増加した。11月のデータも上方改定され、米連邦
準備理事会(FRB)が今年の利下げに慎重となる可能性を改めて示唆した。ただ事前
予想の0.6%増を下回った。ウォラー米FRB理事はインフレは引き続き緩和し、F
RBは予想よりも早くより速いペースで利下げする可能性が高まるとの見方を示した。
【NYと南アのプラチナETF残高が減少】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12月9日のロンドンで18.46ト
ン、16日のニューヨークで33.82トン(前週末34.39トン)、南アで
10.77トン(同10.83トン)に減少した。またパラジウムETFの現物保有高
はロンドンで3.86トン、ニューヨークで12.11トン(同12.11トン)、南
アで0.24トン(同0.24トン)と変わらずとなった。ニューヨークのプラチナE
TF残高が減少した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告による
と、1月7日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万7847枚
(前週5656枚)、パラジウムの売り越しは9114枚(同8671枚)に拡大し
た。
【関税や環境規制、中国攻勢で自動車業界の行方を確認】
 ミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(民主党)は、トランプ次期米大統領
が表明したメキシコとカナダへの追加関税は米自動車産業に打撃を与え、自動車価格の
上昇を招くほか、中国の利益となる可能性があると警告した。関税賦課によりサプライ
チェーン(供給網)が損なわれるほか、生産ラインが停滞し「米・カナダ両国で雇用が
減少する」と指摘した。一方、調査会社ガートナーは、自動車ブランドが過剰生産能力
と価格競争に苦しむなか、欧州と北米で複数の自動車工場が閉鎖または売却される可能
性があると指摘した。自動車メーカー各社は排ガス規制や関税に直面し、欧米で生産能
力を削減する可能性が高いと指摘した。中国の電気自動車(EV)メーカーは、ソフト
ウェアと電動化での優位性から支配的地位を強くすると予想した。
当面の予定(イベント・経済統計)
20日 ●米国(ルーサーキング牧師の誕生日)
    機械受注 2024年11月(内閣府)
    独生産者物価指数 2024年12月(連邦統計庁)
21日 英雇用統計 2024年12月(国立統計局)
    独景況感指数 2025年1月(ZEW)
22日 米景気先行指数 2024年12月(カンファレンスボード)
23日 貿易収支 2024年12月速報(財務省)
    日銀金融政策決定会合(24日まで)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
24日 消費者物価指数 2024年12月(総務省)
    総裁記者会見(日本銀行)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年1月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年1月速報(Markit)
    米消費者信頼感指数 2025年1月確報値(ミシガン大)
    米中古住宅販売統計 2024年12月(全米不動産協会)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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