ドル円は156円台前半に戻す 円安が押し上げ=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドル円は156円台前半に戻した。ドル自体は方向感のない展開となっていたが、円安の動きがドル円を押し上げていたようだ。米株式市場が大幅高となったほか、下げて始まった米10年債利回りも前日付近に戻す中、ドル円も買い戻しが優勢となった。 今週のインフレ指標でFRBの利下げ期待が復活しているが、力強い雇用や底堅い個人消費から、インフレの先行きについては慎重な見方も根強い。「来月の米CPIも落ち着いた内容となれば、追加利下げが再び選択肢として浮上する可能性はあるが、現段階ではそれを確認する必要がある」といった声も聞かれる。 一方、日銀が来週の決定会合で追加利上げを行うとの見方が強まっている。植田総裁や氷見野副総裁も講演で利上げを議論すると述べ、それと伴に観測報道も広がっており、9人の委員の過半が追加利上げを支持との報道も流れていた。 短期金融市場では来週の利上げの確率を85%近くに高めている一方、今週の動きで利上げはほぼ織り込み済みといった雰囲気もあるようだ。当日は次のヒントを探る会合になるのかもしれないが、日銀がタカ派な利上げ姿勢になる可能性は低く、強い円高の反応は期待しにくいといった声も聞かれる。 ただ、今回は「総裁や副総裁が講演などを通じて事前に市場に織り込ませ、当日は変なサプライスを起こさない」という、中央銀行のあるべき賢明なオペレーションになるのかもしれない。 ユーロドルはロンドンフィキシングにかけて一時1.0330ドル近辺まで買い戻される場面が見られたが、フィキシングを通過すると直ぐに戻り売りが入り、1.02ドル台に伸び悩んだ。やはりが重い印象。 市場は今月30日のECB理事会で0.25%ポイントの追加利下げが実施されると見込んでいる。ただ、ECBは慎重な利下げ路線は継続すると見られている中、アナリストは今後開かれる理事会ごとに0.25%ポイントの通常利下げが行われると見ているようだ。 ユーロ圏経済は低迷しており、インフレはECBの目標である2%にほぼ到達している。そのためECBはこれまでのインフレから景気に意識をシフトさせている。現在の中銀預金金利は3.00%だが、ターミナルレート(最終到達点)は1.75%と見ているようだ。それには今月を含めてあと5回の利下げを実施する必要がある。 ポンドドルは上値の重い展開。NY時間に入って1.22ドル台に買い戻されたが、維持できていない。英中銀の利下げを市場は十分に織り込んでいないとの指摘もある中、市場が利下げ予想を見直せば、ポンドはさらに下落との指摘も出ている。そのような中、目先は1.20ドルの心理的節目が視野に入りそうだ。 本日は12月の英小売売上高(数量ベース)が発表になっていたが、前月比で予想外の減少となっていた。今回の数字は来月の英中銀の利下げ観測を裏付ける内容との指摘も聞かれる。クリスマスから新年にかけての個人消費はお祭りムードとは程遠いものだったようで、今回のデータの方向性は12月にカード消費の伸びが横ばいだったという数字など、他の証拠と一致していると述べている。 英中銀が2月の金融政策委員会(MPC)で利下げを行うかどうかは、今回のデータが最終的な判断材料となるわけではないが、追加利下げを支持する証拠は幾重にも積み重なっているという。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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