ドル買い優勢の中、ドル円は155円台に戻す=NY為替概況 きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となる中、ドル円は155円台に買い戻された。前日は中国のディープシーク社の最新AIモデルのニュースで、エヌビディア<NVDA>を含むハイテク企業の優位性に疑念が生じる可能性が広がり警戒感が広がった。米株式市場ではIT・ハイテク株が急落する中、リスク回避の円高から、ドル円も一時153円台に下落。 ただ、トランプ大統領の発言で、鳴りを潜めていた関税の話題が再び浮上。トランプ大統領は、外国製半導体チップと鉄鋼、医薬品に近く関税を適用する方針を明らかにした。一方、円の方は関税が話題に上っている割には株式市場が落ち着いていることから、リスク回避の円高は後退。ユーロ円やポンド円といったクロス円も底堅く推移している。 きょうからFOMCが始まり、明日の現地時間午後に結果が公表される。今回は政策に変更はないと見られており、いつも通りにパウエル議長の会見に注目が集まりそうだ。12月のFOMCで公表された委員の金利見通し(ドット・プロット)は今年2回の利下げ予想だった。 しかし、その後に発表された米雇用統計が強い内容だったことで、一部からは年内の追加利下げを疑問視する声も出ている。ただ、その後のインフレ指標が落ち着いた内容だったことから、利下げなしへの過度な観測は緩んでいる状況。そのような中、パウエル議長がどのようなヒントを示すか注目される。 ユーロドルは1.04ドル台前半に下落。前日は1.05ドル台を一時回復していたが、1.05ドル台での上値抵抗も強く、維持できていない。目先は本日1.03ドル台半ばに来ている21日線まで戻す展開となるか注目される。 ECBは今週木曜日の理事会で利下げを実施する見通しの一方、FRBは明日のFOMCで利下げを一時停止することがユーロドルを上値を重くしているとの指摘が出ている。また、今週木曜日に発表される米欧のGDPでは、ユーロ圏が米国と比較して大幅に鈍化している可能性があり、これはインフレ圧力の抑制に繋がることから、ECBに追加利下げを行う理由を与えると指摘。米国とユーロ圏の成長格差と、FRBとECBの見通しの相違がドル高・ユーロ安の持続を示唆していると引き続き考えているという。 ポンドドルも戻り売りが優勢となり、一時1.24ドル台前半に下落。本日は英小売業協会(BRC)が1月の物価指数を公表していたが、食品価格は前月比で0.5%上昇し、前年比では1.6%上昇した。 英中銀は2月6日に金融政策委員会(MPC)を開催し、0.25%ポイントの利下げが見込まれている。インフレの上昇は英中銀の利下げ計画を複雑にし、利下げペースの鈍化につながる可能性があるとの指摘も出ている。 1月1日にエネルギー価格の上限が引き上げられたため、エネルギーコストが上昇。また、雇用主の国民保険料の引き上げや最低賃金の引き上げにより、雇用コストを増加させている。これらの措置により、企業が価格を引き上げ、インフレが加速する可能性がある。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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