【来週の注目材料】今回は波乱含みか=米雇用統計 7日に1月の米雇用統計が発表されます。1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は4会合ぶりに政策金利を据え置き。FOMCの声明で「失業率はここ数カ月間、低水準で安定しており、労働市場の状況は引き続き堅調」と示されるなど、米雇用市場の底堅さが印象的となっており、金利据え置きにつながりました。今後の利下げがゆっくりしたものになるとの見方が広がる中、雇用が好調さを維持できるかが重要なポイントとなります。 前回12月の雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が+25.6万人と、2024年3月以来の強い伸びとなりました。市場予想の+16.4万人を大きく超え、2カ月連続での20万人超えの増加となっています。失業率は4.1%と市場予想及び11月の4.2%から低下しており、こちらも強い数字でした。なお。失業率関連の数字は過去5年分の改定が入っています。 非農業部門雇用者数の内訳を確認しましょう。 財部門は製造業が-1.3万人と雇用減になりました。8月、9月、10月と3カ月連続で雇用が減少した後、11月は+2.5万人となり、いったん持ち直しましたが再びのマイナス圏です。 サービス部門は前回-2.9万人と弱かった小売業が+4.3万人と好結果になりました。直近冴えない数字が目立つ運輸・倉庫も+1.0万人とまずまずです。このところ常に強いヘルスケアを中心とした教育・医療部門が+8.0万人と好調さを維持。レストランなど接客・娯楽業が+4.3万人とこちらも前回の好調さを維持しています。その他、対事業所サービスが+2.8万人、銀行など金融業が+1.3万人といずれも好結果となっています。レストランに加え、景気動向に敏感な小売りや運輸業といったところの雇用の伸びはかなりの好印象となりました。 関連指標も見ていきましょう。 週間ベースの新規失業保険申請件数は、雇用統計の計測週である基準日12日を含んだ週の数字をみると、12月が22.0万件、1月が22.3万件とほぼ同水準です。 1月28日に発表された1月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数は、全体が市場予想の105.7に対して104.1とやや弱い数字。内訳のうち雇用部門をみると、雇用が十分になるとの回答から、雇用が困難であるという回答を差し引いた数字が、11月の22.2に対して、12月は16.2と一気に悪化しました。 来週これから発表される関連指標を確認しましょう。 3日にISM製造業景気指数が発表されます。前回は市場予想を大きく超える49.3と昨年3月以来の高水準となりました。内訳のうち先行指標と呼ばれる新規受注が52.5と節目の50を超え、前回の50.4も超える強い数字となりました。今回は前回の49.3を超える50.0が見込まれています。 4日に12月の米雇用動態調査(JOLTS)が発表されます。最も注目度の高い求人件数をみると、前回11月分は770万人程度の予想に対して809.8万人の好結果。今回は少し減少も800万件前後が見込まれています。 5日のADP雇用者は前月比+15.0万人と、11月の+12.2万人から伸びが強まる見込みです。同日のISM非製造業景気指数は54.3と前回の54.1とほぼ同水準が見込まれています。もっとも前回は市場予想及び10月分を上回る好結果でした。 こうした状況を受けて今回の雇用統計ですが、非農業部門雇用者数が+16.5万人と一気の鈍化見込みです。失業率は4.1%で維持される見込みです。前回が強かった分の反動という面が大きいことや、直近2回の強さを考えると水準的にはそれほど弱くなく、予想通りだとすると3カ月平均で21.6万人になる点から、予想前後であればドルを支える材料となりそうです。 ただ、今回に関しては非農業部門雇用者数などの年次改定が入ります。そのため毎年1月分は予想からかなりの乖離を見せます。昨年2024年1月分は予想の+18.5万人に対して+35.3万人のサプライズな好結果。2023年も予想の+18.9万人に対して+51.7万人となっています。今回も予想から大きく乖離して伸びているようだと、ドル高の勢いが加速する可能性があります。
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