【前週のレビュー】ニューヨーク原油は、このまま戻せばチャート上は目先の押し目底 を付けた可能性が出て来るが、予定通りカナダとメキシコに対する25%の輸入関税が 2月1日からいよいよ実施されるか否かに注目したいとした。 【NY原油3月限は70ドルの節目維持が焦点】 ニューヨーク原油は3日に一時急伸したが上げ幅を維持できず崩れて、結局これがダ マシに終わる形で、その後は安値を更新する展開となっている。直近の安値は6日の 70.43ドル。チャートの下値メドは70ドルの節目、それは昨年9月10日の安値 63.65ドルから今年1月15日の高値79.39ドルまでの上げ幅の61.8%押 し(69.87ドル辺り)に近い。その辺りで強く支持されるか否かが目先の焦点とな りそうだ。 材料的には、2月1日から実施予定されていたトランプ政権のカナダ、メキシコ、中 国からの輸入品に対する高関税賦課が注目された。結局、発表にタイムラグはあった が、前二者の25%の輸入関税は3月1日からに実施延期、中国の10%の輸入関税は 実施された。これに対して中国も報復として米国に石炭と液化天然ガスに15%、原油 に10%の関税を課すとしている。 高関税賦課は国内価格の上昇につながるため強気の反応が見られる一方、今後の需要 低迷や貿易摩擦に対する懸念も強く、値動きが二転三転して高下する場面もあっだ。そ の後の値動きを見ると、後者の弱気の見方が優勢になっている。 他の産油国側のニュースとしては、3日に石油輸出国機構(OPEC)プラスの共同 閣僚監視委員会(JMMC)がオンライン会議が開催されたが、協調減産は2026年 末の実施を確認し、自主減産の減産幅の減少(つまり増産)も従来通り4月から漸次実 行することを確認した。トランプ大統領は「要請」は無視されたようだ。 なお、2月10日からの週は、米エネルギー情報局(EIA)、OPEC、国際エネ ルギー機関(IEA)の月報が3本発表されるため、需給緩和が再び意識される可能性 もあるため注意したい。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は引き続き4万4000ドル台後半の 高値もみ合いとなり、過去最高値を伺う水準にある。 ドルインデックスは2月に入り、一時109ポイント台までドル高に振れていたが、 その後に崩れて直近は107ポイント台中盤で推移。 【サウジ、3月のアジア向けOSPを大幅引き上げ】 サウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコは5日、主要油種であるアラブ・ラ イト原油の3月アジア向け公式販売価格(OSP)について、価格フォーミュラである オマーン・ドバイ原油の平均価格に対するプレミアムを2.40〜3.90ドルと大き く引き上げた。 これはインドや中国などこれまでロシアからの供給を拡大させていた国が、バイデン 前政権の置き土産となる米国の対ロ制裁強化により、供給を中東産にシフトさせている ことが背景にある。なお、プレミアムは2022年11月以来の高水準となっている。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である7月限は引き続き1月中旬の高値から下落トレンドとなり、 7万円の大台も大きく下回った。ボリンジャーバンドの−2シクマ(6万7400円辺 り)と-1シグマ(6万9040円辺り)の間で下落のバンドウォークが続いている。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル】 ニューヨーク原油3月限は引き続き下落トレンドとなっている。3日の戻りも21日 移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(74.39ドル辺り)に跳ね返され た。目先は70ドルの節目で維持されるか否かが焦点。 ブレント原油4月限も下落トレンドが続くなか、1月末までは何とか維持していた 75ドルの節目を割り込んできた。ボリンジャーバンドの−2シクマ(73.80ドル 辺り)も下向きになりつつある。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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