<金> NY金4月限は5日に2906ドルに達し、指標限月として史上最高値を更新。翌6 日には反落に転じ、2876.7ドルで取引を終え、高値圏での高下が続いている。 トランプ新政権による関税発動は、現時点では対中国の10%に限られており、コロ ンビア、メキシコ、カナダなど関税賦課の対象とされた国々との間では交渉が成立した ことで関税の発動は見送られるか先延ばしされており、関税引き上げ懸念は後退してい る。 しかしながら、中国は米国に対する報復関税を設けているうえ、今後も同様に関税賦 課をカードにしての取引が続けられることが見込まれるため、米中間の貿易摩擦激化懸 念が完全に払拭されたわけではない。 また、中国からの輸入に対し公約通りの水準まで関税が引き上げられた場合、インフ レ再燃懸念の強まりは免れることができないと見られる。 一方でトランプ政権は移民排斥の動きを強めており、これが米雇用情勢の引き締まり を促す可能性が高い。7日に発表される1月雇用統計が目先の再注目要因だが、今回の 報告で米雇用情勢緩和の動きが見られたとしても将来的な雇用引き締まりの可能性に対 する意識が高まると予想される。 輸入関税の引き上げと雇用情勢の引き締まりは、米追加利下げ観測を後退させる要因 ながら、同時にインフレヘッジとしての金需要を高める要因になる。 また、輸入関税の引き上げが先延ばしされるようであればインフレ再燃懸念が後退す ると同時にドル売り傾向が強まるため、金にとっては買い支援要因になり得る。 米新政権の関税政策を巡り、様々な見方が浮上しているものの、関税が引き上げられ ても据え置かれても金にとっては買い支援材料視されやすい環境が続くと予想され、4 月限は再度、2900ドル台に達する可能性を含むなか、堅調地合いが続きそうだ。 <銀> NY銀3月限は5日の取引で3321.50セントまで値を切り上げたが続く6日に は反落に転じている。3215セントで切り返すなど下落に対する抵抗を見せている。 独自の需給要因よりも金との連動性が意識されるなかでの推移が続いているが、NY 金の高止まりが見込まれるだけにこれに追随しての3200セント台での高下が続くこ とになるのではないか。 <白金> NY白金4月限は今月3日の取引で大きく値を落とし一時は1000ドルを割り込み ながらも切り返し6日の日中取引終了時点では1020ドル台を回復している。 懸念されていた米新政権による関税発動も現時点では限られた状態にあり、工業用と しての白金需要不安は緩和している。 引き続きNY金が堅調な足取りが意識されるなかで、1000ドル台を維持しての高 下が想定される。 <パラジウム> NYパラジウム3月限は今月3日に軟化に転じて以降、軟調地合いを継続しており 6日の日中取引終了時点では1000ドルを割り込んでいる。 独自の手掛かりに乏しい一方で白金との値開きが意識されるところ。本来ならばパラ ジウムが割高となるのが適当と考えられるだけに、値開き修正のための買い戻しが入る 可能性がある。 MINKABU PRESS
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