石油週間展望=70ドル台を維持できるか否か、EIAなど3本の月報に注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [2月10日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     2 月 3 日〜 2 月 7 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   87,000    87,000( 3)    86,000( 4)   86,000     -1,000
灯  油  先限   88,000    88,000( 3)    88,000( 3)   88,000        ±0
原  油 7月限   69,290    70,250( 4)    67,000( 7)   67,720     -1,920
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                                        2 月 3 日〜 2 月 6 日
<海外原油> 週間4本値 始 値  高  値      安 値     終 値   前週末比
  NY原油  3 月限     74.14    75.18( 3)    70.43( 6)  70.61      -1.92
ブレント原油  4 月限     76.79    77.34( 3)    74.10( 6)  74.29      -1.38
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7日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 151.72 前週末比 2.96円の円高
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油は、このまま戻せばチャート上は目先の押し目底
を付けた可能性が出て来るが、予定通りカナダとメキシコに対する25%の輸入関税が
2月1日からいよいよ実施されるか否かに注目したいとした。

【NY原油3月限は70ドルの節目維持が焦点】
 ニューヨーク原油は3日に一時急伸したが上げ幅を維持できず崩れて、結局これがダ
マシに終わる形で、その後は安値を更新する展開となっている。直近の安値は6日の
70.43ドル。チャートの下値メドは70ドルの節目、それは昨年9月10日の安値
63.65ドルから今年1月15日の高値79.39ドルまでの上げ幅の61.8%押
し(69.87ドル辺り)に近い。その辺りで強く支持されるか否かが目先の焦点とな
りそうだ。
 材料的には、2月1日から実施予定されていたトランプ政権のカナダ、メキシコ、中
国からの輸入品に対する高関税賦課が注目された。結局、発表にタイムラグはあった
が、前二者の25%の輸入関税は3月1日からに実施延期、中国の10%の輸入関税は
実施された。これに対して中国も報復として米国に石炭と液化天然ガスに15%、原油
に10%の関税を課すとしている。
 高関税賦課は国内価格の上昇につながるため強気の反応が見られる一方、今後の需要
低迷や貿易摩擦に対する懸念も強く、値動きが二転三転して高下する場面もあっだ。そ
の後の値動きを見ると、後者の弱気の見方が優勢になっている。
 他の産油国側のニュースとしては、3日に石油輸出国機構(OPEC)プラスの共同
閣僚監視委員会(JMMC)がオンライン会議が開催されたが、協調減産は2026年
末の実施を確認し、自主減産の減産幅の減少(つまり増産)も従来通り4月から漸次実
行することを確認した。トランプ大統領は「要請」は無視されたようだ。

 なお、2月10日からの週は、米エネルギー情報局(EIA)、OPEC、国際エネ
ルギー機関(IEA)の月報が3本発表されるため、需給緩和が再び意識される可能性
もあるため注意したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は引き続き4万4000ドル台後半の
高値もみ合いとなり、過去最高値を伺う水準にある。
 ドルインデックスは2月に入り、一時109ポイント台までドル高に振れていたが、
その後に崩れて直近は107ポイント台中盤で推移。
【サウジ、3月のアジア向けOSPを大幅引き上げ】
 サウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコは5日、主要油種であるアラブ・ラ
イト原油の3月アジア向け公式販売価格(OSP)について、価格フォーミュラである
オマーン・ドバイ原油の平均価格に対するプレミアムを2.40〜3.90ドルと大き
く引き上げた。
 これはインドや中国などこれまでロシアからの供給を拡大させていた国が、バイデン
前政権の置き土産となる米国の対ロ制裁強化により、供給を中東産にシフトさせている
ことが背景にある。なお、プレミアムは2022年11月以来の高水準となっている。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である7月限は引き続き1月中旬の高値から下落トレンドとなり、
7万円の大台も大きく下回った。ボリンジャーバンドの−2シクマ(6万7400円辺
り)と-1シグマ(6万9040円辺り)の間で下落のバンドウォークが続いている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油3月限は引き続き下落トレンドとなっている。3日の戻りも21日
移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(74.39ドル辺り)に跳ね返され
た。目先は70ドルの節目で維持されるか否かが焦点。
 ブレント原油4月限も下落トレンドが続くなか、1月末までは何とか維持していた
75ドルの節目を割り込んできた。ボリンジャーバンドの−2シクマ(73.80ドル
辺り)も下向きになりつつある。

<当面の予定>
10日【経済】国際収支(経常収支) 2024年12月(財務省)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 2025年1月(財務省)
   【経済】景気ウォッチャー調査 2025年1月(内閣府)

11日【休日】建国記念日
   【工業】米週間石油統計(API)
   【工業】短期エネルギー見通し・月報(EIA)

12日【経済】マネーストック 2025年1月(日本銀行)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米消費者物価指数 2025年1月(労働省)
   【経済】米財政収支 2025年1月(財務省)
   【工業】米週間石油統計(EIA)
   【工業】石油輸出国機構(OPEC)月報

13日【経済】企業物価指数 2025年1月(日本銀行)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】ユーロ圏鉱工業生産 2024年12月(EUROSTAT)
   【経済】独消費者物価指数 2025年1月確報(連邦統計庁)
   【経済】英国内総生産速報値 2024年10-12月期(国立統計局)
   【経済】英貿易収支 2024年12月(国立統計局)
   【経済】英鉱工業生産指数 2024年12月(国立統計局)
   【経済】英製造業生産指数 2024年12月(国立統計局)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米生産者物価指数 2025年1月(労働省)
   【工業】国際エネルギー機関(IEA)月報

14日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 2月2日-2月8日(財務省)
   【経済】ユーロ圏国内総生産 2024年10-12月期改定(EUROSTAT)
   【経済】米小売売上高 2025年1月(商務省)
   【経済】米輸出入物価指数 2025年1月(労働省)
   【経済】米鉱工業生産・設備稼働率 2025年1月(FRB)
   【経済】米企業在庫 2024年12月(商務省)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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