<金> NY金4月限は上値探りの足取りが続き、一代の高値を更新する場面がたびたび見ら れている。 週明けの10日に2938.1ドルまで値を伸ばし、翌11日に2968.5ドルを 付けて一代の高値を更新。12、13日は一代高値更新には至らなかったものの、13 日は2957.50ドルで取引を終え、終値ベースでの高値を記録した。 NY金の上伸の背景は米トランプ政権による関税政策を受けた米中貿易戦争の激化に 対する警戒感が挙げられる。 米国はこれまでのところ中国からの輸入に対する関税引き上げを発表したほか、アル ミ・鉄鋼の輸入関税、さらには相互関税の導入検討を指示するなど、次々と関税の引き 上げ策を発表している。 これに対し中国は対米報復関税を設定しているが、関税引き上げの対象国が増加する なか、米国とこれらの国々との貿易戦争の激化が警戒されるほか、関税引き上げ対象と なった国々の経済面への影響懸念が逃避買い需要を呼ぶ要因になっている。 一方の米経済指標は、1月の消費者物価指数(CPI)、1月生産者物価指数(PP I)は共に事前予想を上回る強気な内容であり、インフレ率の上昇傾向が明らかとなっ た。 また1月の米雇用統計も、非農業部門雇用者数の増加幅は前月を下回ったが、賃金の 上昇でインフレ圧力が根強く残る状態が続いている。 この環境下、輸入関税の引き上げは今後さらにインフレが加速化する可能性が高いこ とを示しているが、金市場にはインフレ率の上昇を受けた追加利下げ観測の後退以上に 今後の関税政策の行方や米景気の見通し、他国との外交関係に対する不安感から安全な 資産を求める動きが見られている。 また、インフレヘッジとしての役割も金の需要を高める一因となっているだけに、今 後もNY金4月限は一代の高値更新の可能性を含めながら2900ドル台での高下が続 きそうだ。 <銀> NY銀3月限は、NY金が一代の高値を更新するなど強い足取りを見せているにもか かわらず、これに追随するほどの動意は見られず3300セント前後で高下する動きを 見せている。 安全資産やインフレヘッジとしての役割に乏しいことが上値抑制要因となる一方、金 が高値圏で高下し続けていることが下値をサポートする材料になっている。 強弱材料に挟まれるなか、引き続き3300セント前後での高下になると予想され る。 <白金> NY白金4月限は今月3日に大きく値を崩した後は、NY金の力強い足取りを手掛か りにして上値を探る動きが続いていたが、13日の取引で1063.80ドルまで上昇 し、直近の高値を更新した後は反落に転じている。 米国の追加利下げの後退がこの日、値位置を落とす要因となったが、安全資産やイン フレヘッジとしての需要が見られる金とは異なる需要環境が重石になっているだけに、 今後の上げ余地は限られそう。 NY金の底固い足取りに下支えられるなか1040ドルを前後する足取りにシフトす ると思われる。 <パラジウム> NYパラジウム4月限は1000ドル前後での小動きが続いている。独自の材料に乏 しいなか、白金との値開きが意識されている。白金の伸び悩みが見込まれるが、白金よ りも下ザヤとなり、価格が逆転した形となっているため、その修正に向かい、白金にサ ヤ寄せする可能性がある。 MINKABU PREESS
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