金・銀週間展望=堅調、インフレ懸念やドル安で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [2月17日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年 12 月限  2 月 10 日〜 2 月 14 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          14,058    14,522 (13)   13,981 (10)     14,405        +370
  銀           156.2     158.0 (13)    154.0 (12)      158.0        +2.0
 プラチナ       4,727     4,810 (14)    4,691 (10)      4,778         +47
 パラジウム     4,800     4,800 (14)    4,800 (14)      4,800        -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        14  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 4)  2,900.7    +13.1   | ドル・円    152.49      0.77 円安
  銀       ( 3)  3,285.5    +41.2   | 日経平均  39,149.43       +362.41
 プラチナ   ( 4)  1,019.2     -1.6   | NY原油 ( 3)  70.74         -0.26
 パラジウム ( 3)  1,009.30  +26.90   |* ドル・円は15時45分現在、原油は 14日
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【前回のレビュー】
 金は米中の貿易戦争に対する懸念が支援要因、とした。
 金はインフレ懸念やドル安を受けて買い優勢となった。現物相場は史上最高値
2942.04ドルを付けた。金先限は上場来高値1万4522円を付けた。
 1月の米消費者物価指数(CPI)は前年比3.0%上昇した。前月比では0.5%
上昇し、2023年8月以来の大幅な伸びを記録した。事前予想は前年比2.9%上
昇、前月比0.3%上昇。米生産者物価指数(PPI)は前年比3.5%上昇した。前
月の3.3%上昇から伸びが加速し、事前予想の3.2%上昇も上回った。米連邦準備
理事会(FRB)の利下げ観測が後退したが、インフレ懸念が強い。一方、1月の米雇
用統計によると、非農業部門雇用者数は14万3000人増と前月の25万6000人
増から伸びが鈍化し、事前予想の17万人増も下回った。ただ失業率は4.0%と昨年
5月以来の低水準にある。米新規失業保険申請件数は前週比7000件減の21万
3000件となった。事前予想は21万5000件。2月初めの労働市場が安定してい
たことを示唆した。
 トランプ米大統領は鉄鋼とアルミニウムに対する関税を25%へ大幅に引き上げ、主
要供給国であるカナダ、メキシコ、ブラジルなどへの適用除外措置と無関税枠を撤回し
た。各国から反発する声が上がっており、貿易戦争に対する懸念が強い。また米大統領
は13日、米国の輸入品に関税を課している全ての国に「相互関税」を課すと発表し
た。ただ今回の指示は具体的な導入に至るものではなく、代わりに貿易相手国が米国製
品に課している関税の調査開始を指示するもの。対応策の策定まで数週間から数カ月か
かるとみられている。
【金ETF残高は減少】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は13日時点で
1056.47トンとなり、前週末比4.05トン減少した。米国で4.30トン、英
GBSで0.03トン減少、英ETFSで0.24トン、南アで0.03トン増加し
た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月4日時点
のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは30万2508枚となり、前週の29万
9409枚から拡大した。今回は新規買いが1万8129枚、新規売りが1万5030
枚出て、3099枚買い越し幅を拡大した。
 イスラム組織ハマスはイスラエルが停戦合意に違反しているとして、15日の人質の
解放を延期した。トランプ米大統領は、ハマスが15日の正午までに人質を全員解放し
なければ、停戦合意は破棄され地獄を見ることになると警告した。またイスラエルのネ
タニヤフ首相は、ハマスが15日正午までに人質を解放しなければ、ガザ停戦は終了
し、イスラエル軍はハマスが敗北するまで攻撃を再開すると述べた。ハマスは13日、
イスラエルとの拘束者の交換を含め、ガザ停戦合意を今後も予定通り履行していくと表
明した。ただネタニヤフ首相とトランプ米大統領による脅しと威嚇は拒否するとした。
一方、トランプ米大統領は、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナでの戦
争終結に向けた交渉を直ちに開始することで合意したと明らかにした。米国とロシアの
当局者が14日にミュンヘンで会談すると明らかにした。ウクライナも招待されている
という。ウクライナの停戦交渉の行方も当面の焦点である。
【銀は金堅調やドル安が支援】
 銀の現物相場は利食い売りが出る場面も見られたが、金堅調やドル安を受けて押し目
を買われた。ただ米大統領の関税発表で貿易戦争に対する懸念が残ることが上値を抑え
る要因である。各国との交渉の行方を確認したい。
 13日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比264.78
トン増の1万3654.26トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)
の建玉明細報告によると、2月4日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
5万0361枚となり、前週の4万4368枚から拡大した。新規買いが新規売りを上
回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
17日 ●米国(大統領の日)
    国内総生産 2024年10-12月期1次速報 (内閣府)
    ユーロ圏貿易収支 2024年12月(EUROSTAT)
18日 キャッシュレートターゲット公表(オーストラリア準備銀行)
    英雇用統計 2025年1月(国立統計局)
    独景況感指数 2025年2月(ZEW)
    米製造業景況指数 2025年2月(ニューヨーク連銀)
    対米証券投資 2024年12月(財務省)
19日 機械受注 2024年12月(内閣府)
    貿易収支 2025年1月速報(財務省)
    中国住宅価格指数 2025年1月(国家統計局)
    政策金利公表(NZ準備銀行)
    英消費者物価指数 2025年1月(国立統計局)
    米住宅着工・許可件数 2025年1月(商務省)
    米FOMC議事録公表 1月28日-29日(FRB)
20日 独生産者物価指数 2025年1月(連邦統計庁)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米製造業景況指数 2025年2月(フィラデルフィア連銀)
21日 消費者物価指数 2025年1月(総務省)
    英小売売上高 2025年1月(国立統計局)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年2月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年2月速報(Markit)
    米消費者信頼感指数 2025年2月確報値(ミシガン大)
    米中古住宅販売統計 2025年1月(全米不動産協会)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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