石油週間展望=NY原油は70ドル台突破が焦点、関税懸念も供給不安も浮上

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
          [3月31日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     3 月 24 日〜 3 月 28 日
         始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   88,000    88,000(24)    86,000(24)   88,000        ±0
灯  油  先限   88,000    88,000(24)    88,000(24)   88,000        ±0
原  油 8月限   65,000    67,050(28)    64,130(24)   66,700     +1,670
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                                        3 月 24 日〜 3 月 28 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油  5 月限     68.35    70.22(26)   67.95(24)  69.36       +1.08
ブレント原油  5 月限     72.21    74.20(28)   71.80(24)  73.63       +1.47
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28日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 150.66 前週末比 1.16円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限は戻り基調。チャート上は、1月15日の
高値76.57ドルから3月5日の安値64.85ドルまでの下げ幅の23.6%戻し
の67.62ドルをすでに上回っていることで、次は38.2%戻しの69.33ド
ル、69.33ドルを上回ると、70ドルの節目、そして半値戻しの70.71ドルが
次の上値目標となるとした。

【NY原油5月限は70ドル台から上を目指すか否か】
 ニューヨーク原油5月限は日足が日替わりで陽線と陰線を繰り返しているが、全体と
して戻り基調を継続して、ここまでの高値は26日の70.22ドルと、一時70ドル
台に乗せた。そのあと27日は終日、70ドル台割れで推移した。
 チャート上は、前回の当欄で記した半値戻しの70.71ドルが次の上値目標となる
が、仮にそれを抜けると、61.8%戻しの72.09ドル、78.6%の74.06
ドル辺りが次の上値目標となる。なお本稿執筆の28日の午後時点には69ドル台後半
で推移している。

 材料的には、トランプ政権をきっかけにした各国の報復関税合戦による貿易摩擦、需
要減退懸念が引き続き上値抑制要因となる。米国は4月3日以降、これまで免除されて
きた「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」対象製品の輸入に25%関税を賦
課し、同様に米国への輸入自動車にも25%の関税を賦課する予定。

 一方、米国がベネズエラ産原油の輸入国々に関税を賦課したことや、さらにイラン産
に対する新たな制裁を科したことなとが逆に原油の供給不安が支援材料として浮上して
いる。
 またイランに関しては、3月初めにトランプ米大統領が最高指導者のハメネイ師に書
簡を送ったことが報道されており、それはイランの核開発に対する警告とみられている
が、イランがオマーン経由で米国に返信したことも報じられている。またイエメンのフ
ーシ派を攻撃した米国がその背後にいるといわれるイランに最後通牒を送ったとみる向
きもあり、米国がイランを攻撃するという地政学的リスクにも十分注意したい。

 その他の産油国側のニュースとしては、石油輸出国機構(OPEC)プラスが4月か
ら日量13万8000バレルの増産を実施する予定のため、これは圧迫要因となる。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は戻り基調となり、4万2000ドル
台前半で推移。
 ドルインデックスは3月に入ってからの急落も103ポイント水準でダブルボトムを
付ける形で、104ポイント水準まで戻している。
【インド、ロシア産原油の入港拒否】
 ロシアのウクライナ侵攻後、ロシア産原油輸入の二大国となっているインドと中国だ
が、そのインドがロシア産原油輸送船の入港拒否したことが報じられている。書類の不
備が原因とされているが、欧米のロシア制裁強化の動きに忖度したものか。
 ロシア石油大手、ルクオイルがインド国営石油会社、インディアン・オイルに売却し
たもので、ロシア産バランディ原油約10万トン。
 ロシア産原油は2024年のインドの原油輸入の35%を占めた。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である8月限はさらに戻り基調を継続して、ついにボリンジャーバ
ンドの2シグマ(6万7270万円辺り)を試す展開となっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル】
 ニューヨーク原油5月限も上昇トレンド。70ドルの節目とボリンジャーバンドの2
シグマ(70.40ドル辺り)を試す展開となっている。

 ブレント原油5月限も同様の展開。5日移動平均線がほぼ上昇トレンドラインとな
り、ボリンジャーバンドの2シグマ(74.40ドル辺り)にほぼ到達している。

<当面の予定>
    【経済】鉱工業生産指数 2025年2月速報(経済産業省)
   【経済】小売業販売額 2025年2月速報(経済産業省)
   【経済】自動車生産・輸出実績 2025年1月(JAMA)
   【決済】プラッツドバイ原油 2025年3月限(東京商品)
   【経済】中国製造業購買担当者景況指数 2025年3月(中国物流購買連合会)
   【経済】中国非製造業購買担当者景況指数 2025年3月(中国物流購買連合会)
   【経済】独小売売上高 2025年2月(連邦統計庁)
   【経済】独消費者物価指数 2025年3月速報(連邦統計庁)
   【経済】英マネーサプライ 2025年2月(BOE)
   【納会】英ブレント原油 2025年5月限(ICE EUROPE)
   【経済】米シカゴ購買部協会景気指数 2025年3月(シカゴ購買部協会)
   【納会】米改質ガソリン・ヒーティングオイル 2025年4月限(NYMEX)

   【経済】労働力調査(失業率) 2025年2月(総務省)
   【経済】一般職業紹介状況(有効求人倍率) 2025年2月(厚生労働省)
   【経済】短観 概要及び要旨 3月調査(日本銀行)
   【経済】新車登録台数 2025年3月(自販連)
   【経済】軽自動車新車販売速報 2025年3月(全軽自協)
   【発会】プラッツドバイ原油 2026年6月限(東京商品)
   【経済】中国製造業購買担当者景況指数 2025年3月(財新)
   【経済】ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年3月確報(Markit)
   【経済】ユーロ圏消費者物価指数 2025年3月速報(EUROSTAT)
   【経済】ユーロ圏雇用統計 2025年2月(EUROSTAT)
   【経済】米建設支出 2025年2月(商務省)
   【経済】米製造業景況指数 2025年3月(ISM)
   【経済】米新車販売台数 2025年3月(Autodata)
   【工業】米週間石油統計(API)

   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米雇用統計 2025年3月(ADP)
   【経済】米耐久財受注 2025年2月確報値(商務省)
   【経済】米製造業新規受注 2025年2月(商務省)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 3月23日-3月29日(財務省)
   【経済】中国サービス業購買担当者景況指数 2025年3月(財新)
   【経済】ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年3月確報(Markit)
   【経済】ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2025年3月確報(Markit)
   【経済】ユーロ圏生産者物価指数 2025年2月(EUROSTAT)
   【経済】米貿易収支 2025年2月(商務省)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米非製造業景況指数 2025年3月(ISM)

   【経済】全世帯家計調査・消費支出 2025年2月(総務省)
   【休日】中国清明節
   【経済】独製造業受注 2025年2月(経済技術省)
   【経済】仏鉱工業生産指数 2025年2月(INSEE)
   【経済】米雇用統計 2025年3月(労働省)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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