ドル円は一時146円台に急伸 米英合意を受けてリスク選好が広がる=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円は一時146円台に急伸 米英合意を受けてリスク選好が広がる=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、米英貿易合意に関するトランプ大統領の会見を受けて、市場にはリスク選好の雰囲気が広がった。為替市場はドル高が強まり、円相場は円安が強まった。その中でドル円は一時146円台に急伸。

 貿易協定の詳細については、今後数週間に渡り交渉が行われるという。また、トランプ大統領は中国について、協議が順調に行けば、中国への関税引き下げも有り得るとの認識も示したこともムードを押し上げていた。

 ドル円は145円台での売りオーダーも多数観測されていたが、ストップを巻き込んで上昇。円ロングの解消も活発に出て、ユーロ円やポンド円といったクロスも急上昇していた。

 ドル円は本日の上げで21日線を上放れしており、明日以降の動きが注目されるが、目先は1月から4月にかけての下降波のフィボナッチ38.2%戻しが147.15円付近に来ている。

 ユーロドルは売りが強まった。ユーロは対ポンドでも下落。これまでドル離れの資金が流入していた分、逆の動きが出ていたようだ。ユーロドルは1.12ドル台前半まで下落し、21日線を下放れる展開を見せている。明日以降、戻りを試しに行くか注目される。

 米英が大枠で合意に至ったものの、EUとの協議は難航しているようだ。EUは交渉に失敗した場合に備えて、米国への追加関税を950億ユーロ規模に拡大する計画を明らかにしていた。米国とEUの協議は、いまのところほとんど進展しておらず、米国の関税の大部分が維持される見込み。

 ポンドドルはNY時間に入って戻り売りに押され、1.32ドル台半ばまで値を落とした。この日は英中銀の金融政策委員会(MPC)の結果が発表され、それを受けてポンドは買いが強まっていた。ポンドドルは一時1.33ドル台半ばまで上昇。

 そのMPCだが、大方の予想通りに政策金利を0.25%引き下げた。ただ、委員の投票行動は3分割し、9名の委員のうち5名は0.25%の利下げを支持し、2名は0.50%の大幅利下げを主張した。残りの2名は据え置きを主張。また、英中銀は、トランプ関税による世界経済の変動を踏まえ、「利下げは段階的かつ慎重に継続すべき」との方針を維持した。ベイリー総裁も「段階的で慎重なアプローチを堅持する必要がある」と述べていた。市場からは予想以上に利下げに慎重な姿勢を示したとの受け止めも出ていた。

 今回の決定に英米貿易合意がどの程度織り込まれていたかは定かではない。しかし、詳細については協議を継続して行くということで、英中銀もそれを待ちたい姿勢と思われる。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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