石油週間見通し=60ドルから上抜けるか否か、米中の貿易交渉に注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油6月限は安値から切り返して38.2%戻し
(59.63ドル辺り)を達成して底入れする可能性が出て来た。目先は60ドルの節
目、そして半値戻し(60.63ドル辺り)が次の上値目標となるとした。

【NY原油は60ドル試しから上抜けるか否か】
 ニューヨーク原油6月限は結局、直近の2営業日は60ドル台を試したが、ここまで
の高値は8日の60.29ドルと、まだ前述の半値戻しには届かず明確に上抜けるとこ
ろまでは行っていない。本稿執筆時の9日午後の時点では60ドル台前半で推移してお
り、一段高となれば半値戻しは十分に達成できる状況だ。13日が満月のため、上抜け
ればその辺りで目先の戻り高値を付ける可能性も考えておきたい。

 材料的には、10日からの米中の貿易交渉の行方が週明けの最大の材料となりそう
だ。8日には米英の貿易交渉合意で米株が急伸したことで原油も地合いを引き締めてお
り、週末の交渉の結果次第では上下どちらにも波乱含みと言えそうだ。目先の原油は米
株の値動きに連動しやすくなろう。
 また11日にはもうひとつの焦点であるイランの核開発をめぐる4回目の米国とイラ
ンの協議も実施される予定のためそれにも注目したい。
 バンス米副大統領が「協議は正しい道筋にある」と述べるなど、合意に達するとの見
方も出ており、これを受けて、米シティ・リサーチは8日、北海ブレント原油の3カ月
価格見通しを従来の60ドルから55ドルに引き下げた。合意が成立すれば50ドルへ
向けた下落もあり得るとしているが、不調に終わると、再び70ドルへ向けて上昇する
可能性もあり、合意する可能性は60%としている。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万ドル台乗せから4万1000ド
ル台も回復して戻り高値を更新する展開となってきた。
 ドルインデックスは再び100ポイント台に乗せて戻り高値を更新する展開となって
きた。

【原油安で4月のテキサス州の新規掘削許可申請件数は4年振りの低水準】
 トランプ政権の「石油を掘りまくれ」」政策に暗雲が立ち込めて来た。ダラス連邦準
備銀行の調査によると、シェールオイルの生産が盛んなテキサス州南部で、新規掘削の
採算ラインは61〜70ドルとされており、すでに相場はその採算下限も下回ってい
る。
 それを映して、調査会社エンベラスによると、米国最大の原油生産州であるテキサス
州の4月の新規掘削許可申請件数は570件と前月の795件から減少し、2021年
2月以来の低水準となった。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である10月限は9日の大陽線で、このところ上値抵抗となってき
た5万5000円の節目を明確に上抜けるとともに、21日移動平均線でもあるボリン
ジャーバンドの中心線(5万5810円辺り)を試す展開となってきた。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油6月限は60ドルの節目を意識して陽線と陰線を繰り返しており、
まだボリンジャーバンドの中心線(60.79ドル辺り)には届いていない。

 ブレント原油7月限も戻り高値を更新しているものの、まだボリンジャーバンドの中
心線(63.76ドル辺り)には届いていない。



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