<金> NY金期近6月限は5月1日に3209.4ドルまで値を落としていたが、その後、 米景気後退に対する警戒感を受けた逃避買い需要から反発した。4月22日に付けた一 代高値3509.90ドルに迫る3448.2ドルに達した後に反落となり、9日は続 落し、3310ドル台で終えた。 米トランプ政権による関税政策を受けた米国と世界の景気見通し不透明感が金を支え る要因となる一方、米国と他国との間で貿易協議が行われ、米英間で合意が見られたこ とが景気不安を後退させる一因になっている。 その一方で米トランプ政権による輸入関税の引き上げにより米自動車大手のフォー ド・モーターは5月2日生産分からメキシコで生産する3車種の値上げを決定したほ か、今後もその他の自動車メーカーによる値上げが続くことが見込まれる。 輸入関税の引き上げは、これから生産される物の値上がりを促すが、その値上がりを 警戒した駆け込み需要も価格上昇を促した結果、4月の米中古車平均価格は1年半ぶり の高水準まで上昇している。 米国の米雇用統計は米国の雇用の堅調さを示しているものの、賃金の上昇率は鈍化し ているだけに、物価の上昇を許容できなくなる可能性もある。 今後も英国・米国との貿易交渉に合意が見られるケースが続くようであれば、貿易摩 擦に対する警戒感も和らごう。同時に金に対する安全資産を求める動きも落ち着きを見 せ、金市場の重石になってくると見られる。 特に週末に行われる米中間の協議においてお互いに100%を上回る関税を賦課して いる状況が変化する可能性が高まるようであれば、NY金にも下押し圧力が高まりそう だ。 一方、米中間の協議も物別れに終わるなど、何らかの進展が見られなければ、貿易摩 擦が長期化することによる経済への影響が警戒され、NY金6月限は3300ドル台を 維持する足取りが見込まれる。 <銀> NY銀期近7月限は3300セントを前後する足取りが続いている。NY金の底固い 足取りが下支え要因となる一方、米国の関税政策が世界景気に与える影響が懸念されて いる。 米国ではトランプ政権による関税政策を受け設備投資が控えられるなか、製造活動が 控えられている様子が見られている。米英間での貿易協議に合意が見られたことは工業 用としての銀需要を刺激する要因になり得るものの、同時にドル買いの動きが見られて いることで上値は重そう。 NY金と同様に米中間の協議が注目されるところで、協議に進展が見られるようであ れば景気見通し不透明感が後退し上方への圧力が高まる可能性がある。 <白金> NY白金7月限は時折1000ドルに迫る動きを見せながらも、これを突破できず、 4月11日以降は950〜1000ドルのレンジを中心にした高下が続いている。 米国と他諸国との間では米関税政策をめぐる話し合いが行われ、米英間で合意が見ら れたと伝えられている。 これは貿易摩擦に対する警戒感を和らげるものながら、米国で自動車輸入関税が引き 上げられた影響が米国内の自動車価格の上昇につながることで、今後の米国の自動車需 要が停滞する可能性がある。 自動車触媒としての需要見通し不透明感が重石となり、引き続き7月限は1000ド ルを上値抵抗線にして高下することになりそうだ。 <パラジウム> NYパラジウム6月限は今月7日、8日の取引で990ドル台に達しているが、依然 として1000ドルの上値抵抗の強さをうかがわせる足取りとなっている。 NY白金との値開きが意識される展開が続くなか、960〜1000ドルのレンジを 中心にしての往来継続が予想される。 MINKABU PRESS
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