[5月12日からの1週間の展望] −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 週間高低(カッコ内は日) 2026 年 4 月限 5 月 5 日〜 5 月 9 日 始 値 高 値 安 値 帳入値 前週末比 金 15,290 15,843 ( 8) 14,992 ( 6) 15,618 +353 銀 154.0 158.0 ( 7) 154.0 ( 5) 155.3 +0.3 プラチナ 4,368 4,443 ( 9) 4,327 ( 5) 4,432 +42 パラジウム 4,400 4,400 ( 5) 4,400 ( 5) 4,400 +100 ====================================== NY貴金属(カッコ内は限月) | 東京外為・株式/NY原油 8 日終値 前週末比 | 終 値 前週末比 金 ( 6) 3,306.0 +62.7 | ドル・円 145.28 0.09円安 銀 ( 7) 3,261.7 +35.8 | 日経平均 37,503.33 +1457.95 プラチナ ( 7) 979.5 +13.4 | NY原油 ( 6) 59.91 +1.62 パラジウム ( 6) 982.60 +31.50 |* ドル・円は15時45分現在、原油は 8日 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【前回のレビュー】 金は米中の貿易戦争の改善期待などが圧迫要因、とした。 金はドル安再開を受けて押し目を買われたが、米中の通商協議が週末に予定されたこ とや米英の貿易合意を受けて戻りを売られた。現物相場は4月22日以来の高値 3433.65ドルを付けたのち、戻りを売られた。金先限は上場来高値1万5843 円を付けたのち、上げ一服となった。 トランプ米大統領は5日、今後2週間で貿易相手国とのディールの可能性を精査し、 どれを受け入れるかを決定すると明らかにした。米関税の不透明感を受けてドル安が再 開した。米中は6日、両国間の貿易摩擦を巡って週末にスイスで高官協議を行うと発表 した。世界経済を混乱させている貿易戦争の解決に向けた第一歩となる可能性がある。 米中ともに強気姿勢を示したことで押し目を買われる場面も見られたが、米大統領が英 国との貿易合意を発表する予定が伝えられると、利食い売りが出て急落した。米大統領 は8日、英国との貿易協定に署名したと発表した。米国は英国への10%の相互関税は 維持するものの、英国製自動車への関税を大幅に引き下げ、鉄鋼、アルミニウムは撤廃 する。英国は牛肉など農産物や産業用機械などの市場を開放する。米国は日本やイン ド、韓国、ベトナムなどとも協議を進めている。これを受け、世界的な通商摩擦が緩和 するとの期待が広がった。 4月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は17万7000人増加し、事前予 想の13万人増を上回った。失業率は4.2%で前月と変わらず。事前予想も4.2% だった。4月の米ISM非製造業総合指数は51.6と前月の50.8から上昇した。 投入価格指数が約2年ぶりの高水準となり、関税措置によるインフレ圧力の高まりを示 唆した。事前予想は50.2だった。3月の米貿易赤字は前月比14.0%増の 1405億ドルと過去最大となった。関税導入を前にした企業の駆け込み輸入が背景。 事前予想は1370億ドル赤字。米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファ ンド(FF)金利の誘導目標を4.25〜4.50%に据え置くとした。決定は全会一 致。インフレと失業率の上昇リスクが高まっているとしたほか、トランプ米政権の関税 の影響に対応する中で、経済見通しが一段と不透明になっているとの認識を示した。 【金ETF残高は減少】 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は8日時点で 1129.24トンとなり、前週末比4.53トン減少した。米国で4.58トン減 少、英ETFSで0.04トン、オーストラリアで0.01トン増加した。一方、米商 品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月29日時点のニューヨー ク金の大口投機家の買い越しは16万3318枚となり、前週の17万5378枚から 縮小した。今回は手じまい売りが1万8519枚、買い戻しが6459枚入り、1万 2060枚買い越し幅を縮小した。 4月末の中国の金準備は2295トンとなり、前月から3トン増加した。6カ月連続 で増加した。上海金のプレミアムが4月後半から大幅に上昇し、中国勢の買い意欲が強 い。米中の通商協議の結果とプレミアムの動向も確認したい。一方、各地での紛争が続 いている。ロシアが一方的に宣言したウクライナとの3日間の停戦が8日に発効した が、双方が互いに攻撃を続けていると非難した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、 米国が3月に提案した30日間の停戦の実施は和平に向けた動きの「真の指標」になる としている。トランプ米大統領は、ロシアとウクライナに対して30日間の無条件停戦 を求めた。イスラエル軍は6日、イエメンの首都サヌアの国際空港などを空爆した。イ エメンの武装組織フーシ派が利用していたという。フーシ派は米国と船舶攻撃停止で合 意したが、イスラエル攻撃は継続と表明している。イスラム組織ハマスは、パレスチナ 自治区ガザ南部のラファ近郊でイスラエル軍との「激しい戦闘」が行われていると表明 した。中国の習近平国家主席は8日、訪問先のモスクワでロシアのプーチン大統領と会 談した。西側諸国との対立が高まるなか、両首脳は協力関係を新たな段階に引き上げ、 米国の影響力に「断固として」対抗していくと表明した。 【銀はドル高や金軟調が圧迫】 銀の現物相場は4月29日以来の高値33.23ドルを付けたのち、ドル高や金軟調 を受けて戻りを売られた。米英の貿易合意を受けて貿易摩擦の緩和に対する期待感が高 まった。週末に米中の通商協議が予定されており、今後の見通しを確認したい。 8日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比51.03トン 減の1万3958.74トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建 玉明細報告によると、4月29日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは4万 9943枚となり、前週の4万4726枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回っ た。 当面の予定(イベント・経済統計) 12日 国際収支(経常収支) 2025年3月(財務省) 米財政収支 2025年4月(財務省) 13日 英雇用統計 2025年4月(国立統計局) 独景況感指数 2025年5月(ZEW) 米消費者物価指数 2025年4月(労働省) 14日 企業物価指数 2025年4月(日本銀行) 独消費者物価指数 2025年4月確報(連邦統計庁) 15日 英国内総生産 速報値 2025年1-3月期(国立統計局) 英貿易収支 2025年3月(国立統計局) 英鉱工業生産指数 2025年3月(国立統計局) ユーロ圏国内総生産 2025年1-3月期改定(EUROSTAT) ユーロ圏鉱工業生産 2025年3月(EUROSTAT) 米小売売上高 2025年4月(商務省) 米新規失業保険申請件数(労働省) 米生産者物価指数 2025年4月(労働省) 米製造業景況指数 2025年5月(ニューヨーク連銀) 米製造業景況指数 2025年5月(フィラデルフィア連銀) 米鉱工業生産・設備稼働率 2025年4月(FRB) 米企業在庫 2025年3月(商務省) 16日 国内総生産 2025年1-3月期1次速報(内閣府) ユーロ圏貿易収支 2025年3月(EUROSTAT) 米住宅着工・許可件数 2025年4月(商務省) 米輸出入物価指数 2025年4月(労働省) 米消費者信頼感指数 2025年5月速報値(ミシガン大) 対米証券投資 2025年3月(財務省) 建玉明細報告(CFTC) MINKABU PRESS 東海林勇行 ※投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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