ドル円、142円台半ばに下落 関税の話題が再浮上 ドル安は根強い=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、142円台半ばに下落 関税の話題が再浮上 ドル安は根強い=NY為替概況

 きょうのNY為替市場でドル円は142円台半ばに下落。序盤はリスク回避の雰囲気が広がった。鳴りを潜めていた関税の話題が再び浮上している。トランプ大統領がアップルへの25%超の関税を課す可能性を示唆したほか、EUに6月1日から50%の関税を課すことを表明した。関税については楽観的なムードが広がっていただけに、本日のトランプ大統領の投稿はショックを与えていたようだ。

 しばらくすると市場も落ち着きを取り戻していた。EUとの交渉は難航しているようだが、他のアジア各国とは順調に進んでいるとの見方もあり、市場も冷静に見ていたようだ。トランプ大統領の交渉戦術との指摘も出ていた。

 一方、米財政への懸念によるドル安の動きは根強い。ベッセント財務長官はドル安ではなく、他の通貨高が原因と発言していたが、市場からは、米債務問題に関する不安がドル安の要因との見方が強い。エコノミストからは、減税法案はドル資産にとってジレンマとなっているとの指摘も出ている。法案が可決されれば、10年間で数兆ドルの債務が追加される可能性があり、可決されなければ減税がなく、米景気後退リスクを助長する恐れがあると述べていた。

 関税、そして地政学リスクや財政懸念から、米経済の見通しに対する懸念が依然として根強く、現在の市場環境は依然としてドル安傾向にあるという。一時的に米経済指標が予想を上回ったとしても、その傾向が持続しない限り、ドルに対するネガティブなセンチメントが変わる可能性は低いとも述べている。

 ユーロドルは1.13ドル付近まで急速に売りに押されたものの1.13ドル台はサポートされ、買い戻されている。投資家の中でには米財政への懸念も根強くあり、ドル離れを警戒する中、下値での押し目買い意欲も強いようだ。

 一方、本日の関税のニュースでECBの6月理事会での利下げ期待はさらに確実なものとなっており、0.25%ポイントならば100%の確率で織り込んでいる状況。本日はECBが1-3月のユーロ圏の妥結賃金を公表していたが、前年比2.4%の上昇と前四半期の4.1%から大幅に伸びが鈍化しており、ECBの利下げ期待を正当化する内容となっている。

 トランプ関税のニュースで序盤は市場が不安定になったものの、ポンドドルは上昇の流れを継続し、1.35ドル台に上昇。来週以降、1.35-1.40ドルの領域にレベルシフトできるか注目の展開が見られている。

 本日は4月の英小売売上高(数量ベース)が発表になっていたが、前月比1.3%増と予想を大きく上回った。前回分も0.5%増に上方修正されている。一部、暖かい天候が要因となったようだ。4月は家計費の急増、金融市場の変動、関税による不確実性という背景にもかかわらず、英経済は力強い個人消費を示している。

 エコノミストからは、英国では5月に消費者信頼感が回復しており、今後数カ月は経済が予想よりもやや良いパフォーマンスを示す可能性がある。その場合、英中銀の利下げペースは鈍化する可能性があるとの指摘も出ていた。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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