ゴム週間展望=下値模索、米中通商協議の停滞や上海安など弱材料が重なる

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
              [6月2日からの展望]
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     週間高低(カッコ内は日付)         5月26日〜5月30日
<国内>         始 値     高 値       安 値       帳入値    前週比
 25年10月限      318.9      330.8(27)    295.5(30)    296.4    - 23.6
 RSS先限      315.0      323.0(27)   296.0(30)     296.0     - 25.0
 TSR20    241.0      246.0(27)    228.0(30)    247.0     - 19.0
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東京外為市場 円相場(本日 15:15現在) 143.80円  前週末比 0.27 円安
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【前週までのレビュー】トランプ米大統領の「メガ減税」が金融不安を招く可能性があ
り、上値の重い展開になるとみた。
【下値模索】
 JPXゴムRSS3号は、売りが先行した。活発限月の10月限は、30日の取引で
節目300円を下抜く場面があった。目先、4月23日に付けた一代の安値285.0
円を試す展開となる可能性がある。
 現在、米中通商協議が停滞しているうえ、中国には自動車販売台数のカサ増し問題が
クローズアップされるなど、弱材料が重なっている。また、上海ゴムの中心限月の9月
限は、レンジから下放れし、連日の一代の安値更新場面となっている。目先、JPXゴ
ムRSS3号は、下値を模索する展開となりそうだ。
【中国走行距離ゼロの中古車】
 中国国務省は走行記録がない乗用車を中古車として販売する、いわゆる「走行距離ゼ
ロの中古車」問題について、業界団体と協議する方向を示したようだ。これは、ディー
ラーなどが販売ノルマを達成するために自社で買い取ったりして、中古車として販売す
るケースなどが挙げられる。販売支援策として注目されていた。中国の自動車生産能力
は4000万〜5000万台と見られているが、2024年の新車販売台数は3143
万6000台であり、過剰な生産能力を持っている。自動車工場の稼働率は5割を上回
る程度であり、過剰生産になりやすい。中国の自動車販売台数のカサ増しは、かねてか
ら周知の事実であったが、ここにきて中国国務省が動き出したことで、天然ゴム相場で
は、弱材料視されている。
【上海ゴムは下値模索】
 上海ゴムの中心限月の9月限は、4月中旬から続いた1万4500〜1万5000元
前後のレンジ相場から下放れた。28日には4月9日に付けた一代の安値1万4035
元を下抜くと、節目の1万4000元も割り込み、30日に1万3585元まで水準を
引き下げた。現状、特に目立った支持線はなく、節目の1万3500元や1万3000
元を意識した展開になりそうだ。
【上海天然ゴム先物が上場】
 26日、大阪取引所が海先物取引所に上場している天然ゴム先物を対象とする上海天
然ゴム先物を上場した。決済は現金で行われ、受け渡し等を行われない。これにより、
中国国内で保有する天然ゴム在庫の価格変動をヘッジすることが可能となる。また、J
PXゴムRSS3号との裁定取引(アービトラージ)も可能だ。ただ、上海ゴム市場の
参加者の多くは投機家であり、実需家は少ない。同市場が拡大するには、実需家を取り
込むことが必要だろう。
【東京ゴム活発限月の10月限のテクニカル要因】
 ゴムRSS3号の活発限月の10月限は、売りが先行する展開となっている。4月下
旬からの値動きをみると、上海高などを背景に4月28日から10連騰となり、5月1
5日には320.5円まで上昇した。19日に306.9円まで押し目を形成後、20
日には328.5円まで上値を伸ばした。315〜325円前後でのレンジ相場を経
て、27日には330.8円の高値を付けた。だが、同水準では売り圧力が強く、その
後、上海ゴムが下値を模索する展開になったこともり、売りが先行している。30日に
は投げとみられる売りもあり、300円を割り込む場面があった。
 続落となれば、終値ベースでの300円の攻防に注目したい。同水準をしっかり割り
込むと、4月23日に付けた一代の安値285.0円が視野に入る。一方、再び地合い
を引き締めると、320円台回復が最初の関門、これに成功すれば、27日の高値33
0.8円を目指そうとみる。高値更新となれば、現状、特に目立った抵抗線が見当たら
ないことから、節目の335円を意識した展開になるとみる。
【今週の注目ポイント】
 トランプ大統領の動向に注目したい。ベッセント米財務長官は「中国との通商交渉は
停滞しているが、今後数週間に進展を見込んでいる」とやや希望的な観測を述べてい
る。実際に交渉が進まない場合、ゴム相場にとって弱材料となる。
【相場予想レンジ】
 6月2〜6日のJPXゴムRSS3号10月限の中心レンジ予想は280〜330円
前後。テクニカルの支持線は285.0円(一代の安値)、抵抗線は320.0円(節
目)。
<当面の予定(イベント・経済統計)>
2日 ●ニュージーランド(女王誕生日)、中国(端午節)
   ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年5月確報(Markit)
   米建設支出 2025年4月(商務省)
   米製造業景況指数 2025年5月(ISM)
3日 中国製造業購買担当者景況指数 2025年5月(財新)
   ユーロ圏消費者物価指数 2025年5月速報(EUROSTAT)
   ユーロ圏雇用統計 2025年4月(EUROSTAT)
   米耐久財受注 2025年4月確報値(商務省)
   米製造業新規受注 2025年4月(商務省)
4日 ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年5月確報(Markit)
   ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2025年5月確報(Markit)
   全米雇用報告 2025年5月(ADP)
   米非製造業景況指数 2025年5月(ISM)
   米地区連銀経済報告・ベージュブック(FRB)
   政策金利発表(カナダ銀行)
5日 中国サービス業購買担当者景況指数 2025年5月(財新)
   独製造業受注 2025年4月(経済技術省)
   ユーロ圏生産者物価指数 2025年4月(EUROSTAT)
   理事会結果公表(ECB)
   米貿易収支 2025年4月(商務省)
   米新規失業保険申請件数(労働省)
6日 全世帯家計調査・消費支出 2025年4月(総務省)
   上海ゴム指定倉庫在庫(上海期貨交易所)
   独貿易収支 2025年4月(連邦統計庁)
   独鉱工業生産指数 2025年4月(経済技術省)
   ユーロ圏域内総生産 2025年1-3月期確報(EUROSTAT)
   ユーロ圏小売売上高 2025年4月(EUROSTAT)
   米雇用統計 2025年5月(労働省)
   建玉明細報告(CFTC)
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