<金> NY金期近8月限は今月2日に大きく値を伸ばし3400ドル台に達した。その後、 5日に5月8日以来の高値となる3427.7ドルまで上昇したが、利食い売りを浴び 反落となり、3375.1ドルで取引を終えた。 米トランプ大統領は中国の習近平との間で行われている電話会談は、話し合いは難航 したとされたものの、5日の電話会談後に両国にとり前向きだったと伝えられている。 米トランプ政権にとっては中間選挙、中国政権にとっては国内経済政策に対処する必要 から、米中間の協議については今後も話し合いが進められるなか、前向きな動きが続く と予想される。 一方の米経済に関しては、次第に米トランプ政権による関税引き上げの影響が強まっ ている。4月の米供給管理協会(ISM)非製造業総合指数は50を下回り、2024 年6月以来の低水準まで落ち込んだ。輸入関税の引き上げによる原材料価格の上昇に加 え、トランプ政権による関税政策が安定していないことで計画的な製造、発注が難しく なっていることが背景となっている。 また、4月の個人消費支出(PCE)は米トランプ政権の関税引き上げ、移民政策に よる見通し不透明感が強まるなか個人消費意欲が後退している様子を窺わせている。米 国内総生産(GDP)は多くが個人消費で占められているだけに、個人消費意欲の停滞 は米経済成長にとって足かせとなってくることが見込まれる。 特に関税引き上げ前の駆け込み需要が一段落したうえ、今後も引き上げられた関税が 小売価格に転嫁されていくことが予想されるだけに、今後も個人消費の拡大は期待し難 い。また、6月4日から50%に引き上げられた鉄鋼・アルミの輸入関税の影響も、今 後、米物価を更に引き上げる要因になってくると見られる。 米中通商協議とその進展に対する期待は金市場にとっての重石になってくると予想さ れるものの、依然として不確実性の高い米トランプ政権の政策に対する懸念は強い。変 動率(ボラティリティ)が高く、乱高下しやすいが、今後10日間程度は3350〜 3430ドルのレンジで推移が続くと予想される。目先は6日に発表される5月の米雇 用統計に対する反応に見極めが必要だ。 <銀> NY銀7月限は今月2日以降は大きく値を伸ばす動きが見られ、5日には3627 セントと5月終了時点での3300セント台から昨年10月以来となる3600セント 台まで値を伸ばした。 高止まりする金に比して上値を抑制されていたが、金が再び地合いを引き締めたこと に加え、ドル売り傾向が強まったことが値を伸ばす背景となっている。 急伸後の反動が見られる可能性はあるが、米政権の不確実性を受けて金の高止まりが 見込まれるだけに、今年3月末から4月上旬にかけてもちあった水準が目標となっての 高もみとなるか。 <白金> NY白金7月限は5月21日から今月4日まで1100ドルを上値抵抗線にして高下 していたものの、5日の取引では急速に値位置を切り上げて1152.5ドルまで浮上 した。 この日は欧州中央銀行(ECB)の利下げや米新規失業保険申請件数の増加を受けた 米経済不安が背景となって浮上したが、米トランプ政権の不確実性を受けてNY金の高 止まりが見られることも引き続き買い支援要因になってくると見られる。 また、米中通商協議に進展が工業用としての白金需要の増加を期待させることも強気 材料。 米中通商協議の行方次第では大きく高下する可能性があるなか、1100ドルを下値 支持線として意識する高値圏で往来が見込まれる。 <パラジウム> NYパラジウム9月限は6月3日以降、1020ドル前後での高下が続いている。 5日には白金の堅調な足取りに追随する場面も見られたが、上げ幅を縮小して取引を終 えており、上げ一巡の可能性も窺わせている。 独自の材料に乏しいなか、金・白金に連動した底堅い足取りが見込まれるが、5月 21日に1061.5ドルを記録した後に軟化に転じたことで目先の上げ一巡感も強い ため、1020ドル前後でのもちあいが想定される。 MINKABU PRESS
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