石油週間見通し=乱高下、イスラエルとイランの軍事衝突を注視

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS

【前週のレビュー】ニューヨーク原油7月限はイスラエル軍によるイランの核施設攻撃
により急騰。77.62ドルの一代新高値を付けた。目先はこの両国間の軍事衝突懸念
を中心に乱高下する可能性が高まっている。さらに突発高もあり得るし、逆に打ち上げ
花火に終わる可能性もあり得るとした。

【NY原油は高値を付けた後に乱高下】
 ニューヨーク原油7月限は20日の納会するため、8月限が指標限月となるが、その
8月限のここまでの高値は16日に付けた75.50ドルで、昨年7月に付けた一代高
値の76.15ドルをまだ上抜けていない。したがって目先の上値目標は76.15ド
ル、さらに期近つなぎ足ベースでは、7月限が13日に付けた77.62ドル辺りとな
る。仮にこれらを上抜けるような事態となれば、80ドルの節目を目指している可能性
が高くなろう。
 なお、本稿執筆時の20日のアジアの時間帯の午後には73ドル台後半から74ドル
を伺う展開となっている。

 材料的には、当面はイスラエルとイランの軍事衝突の激化(実際にはイスラエル+米
国対イラン)が焦点となり、基本的にはイラン産原油の供給にどの程度障害が出ること
が注目されることになる。ただ4月7日からの週や4月14日からの週の当欄で指摘し
ているように、米国のイラン攻撃は既定路線であり、米メディアが報じていた5月の攻
撃が6月に1カ月延びたに過ぎない。ともあれ「公式」には、トランプ米大統領が2週
間以内にイスラエルのイラン攻撃に加わるかを決めるとしており、その行方を見守りた
い。これからは軍事行動の報道や関係者の発言で乱高下を繰り返す可能性があるので注
意して臨みたい。
 最も注目すべきは、前回の当欄で記したが世界の原油供給の約30%が通過するホル
ムズ海峡が封鎖されるか否かである。日本にとってもこれが原油輸入の死命を握ること
になる。その期間にもよるだろうが、ホルムズ海峡閉鎖で日本の国内総生産(GDP)
が3%弱下押されるという試算もある。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万2000ドル台を中心にこう着
感が強まって来た。
 ドルインデックスは、97ポイント台後半〜98ポイント台前半のもみ合いとなり、
底練の様相となってきた。

【イランの原油輸出、5週間ぶりの高水準で今のところ攻撃の影響なし】
 イスラエルからの攻撃を受けながらも、イランの原油輸出には今のところ影響は出て
いない。民間調査会社によると、同国の原油輸出はおおむね中国向けとなっているが、
6月16日からの週の原油積み込みは日量220万バレルと、5週間ぶりの高水準にな
っているという。ただカーグ島にある原油輸出施設は今のところ攻撃されていない。し
たがって、これが攻撃された場合、イランの原油輸出に深刻な影響を与えそうだ。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である11月限はボリンジャーバンドの2シグマ(6万4770円
辺り)に沿った上昇となり、高値更新を続けているが、20日は6万5000円達成と
ともに上ひげ十字線をつけており、目先の天井を示唆する形。14日の相対力指数も
72まで上昇して目先の買われ過ぎ感が強まっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油8月限は急騰後、ボリンジャーバンドの2シグマ(72.77ドル
辺り)を超えて陽線と陰線を繰り返す乱高下。ここまでの高値は75.50ドル。14
日の相対力指数も76を超えて買われ過ぎ感が強い。

 ブレント原油8月限もほぼ同様の値動きだが、ニューヨーク原油と違って、19日に
は79.04ドルまで上昇して直近高値を上回った。80ドルの節目も視野に入って来
たが、14日の相対力指数も79まで上昇して、ニューヨーク原油以上に買われ過ぎ感
が強まっている。


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