金・銀週間展望=堅調、米国のイラン攻撃の行方を確認

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [6月23日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  4 月限  6 月 16 日〜 6 月 20 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          15,890    16,131 (16)   15,729 (20)     15,729         -158
  銀           168.0     168.8 (20)    168.0 (16)      168.0          0.0
 プラチナ       5,475     5,902 (19)    5,238 (16)      5,645         +155
 パラジウム     4,900     4,900 (16)    4,900 (16)      4,900            0
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        19  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 8) 3,408.1     -44.7   | ドル・円    145.37      1.79 円安
  銀       ( 7) 3,691.3     +55.8   | 日経平均  38,403.23      +568.98
 プラチナ   ( 7) 1,313.1    +101.2   | NY原油 ( 7)  75.14        +2.16
 パラジウム ( 9) 1,059.80    +13.50  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 19日
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【前回のレビュー】
 金は中東情勢の緊張が支援要因、とした。
 金はイスラエルとイランの戦闘激化を受けて買い優勢となったが、リスク選好の動き
が出ると利食い売りが出て上げ一服となった。ただ米国のイラン攻撃の可能性が示され
たことが下支えになった。現物相場は4月22日以来の高値3450.97ドルを付け
たのち、上げ一服となった。金先限は上場来高値1万6131円を付けたのち、上げ一
服となった。
 イスラエルの攻撃に対し、イランは大量の弾道ミサイルを発射した。イスラエルはイ
ランの石油・ガス部門も攻撃し、戦闘が激化した。イランがカタール、サウジアラビ
ア、オマーンに対し、トランプ米大統領がイスラエルに即時停戦に合意するよう圧力を
かけるよう要請すると、リスク選好の動きとなった。カナダで開催された主要7カ国首
脳会議(G7サミット)でイスラエル支持を表明、イランを中東の不安定要因とする声
明を発表した。米大統領はG7サミットを途中で退席し、ワシントンに戻った。米軍が
中東地域での戦力を増強するために同地域により多くの戦闘機を配備するなか、米大統
領はイランに対して「無条件降伏」を呼びかけ、米国の忍耐は限界に近づいていると警
告した。イランの最高指導者ハメネイ師は無条件降伏を拒否した。市場では米国が週末
にもイランを攻撃するとの見方が強まったが、ホワイトハウスは米大統領が今後2週間
以内にイスラエルとイランの紛争に米国が介入するかどうかを決定すると発表した。米
大統領はイランとの外交的解決を追求することに関心があるとした。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を
4.25〜4.50%に据え置き、当局者は年内に利下げが実施される公算が依然大き
いとの見通しを示した。最新の金利・経済見通しによると、年末までに計0.5%ポイ
ントの利下げが実施されるとの中央値が示された。しかし、年内の利下げは不要との見
方を示したのは7人と、前回3月の4人から増加した。パウエル米連邦準備理事会(F
RB)はこの見方に過度に重きを置くべきではないと釘を刺し、トランプ政権の関税措
置によって今後、かなりのインフレが見込まれるとした。5月の米小売売上高は前月比
0.9%減少した。4カ月ぶりの大幅な減少となった。関税を控えた駆け込み需要の反
動による自動車販売の不振が影響し、予想以上に減少したものの、堅調な賃金上昇が消
費者支出を支えている。市場予想は0.7%減。
【金ETF残高は増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は19日時点で
1134.07トンとなり、前週末比6.95トン増加した。米国で6.88トン、英
GBSで0.03トン、英ETFSで0.02トン、オーストラリアで0.03トン増
加した。中東情勢の緊張の高まりを受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引
委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月10日時点のニューヨーク金の大口
投機家の買い越しは18万7481枚となり、前週の18万7905枚から縮小した。
今回は手じまい売りが987枚、買い戻しが563枚入って、424枚買い越し幅を縮
小した。
 シティバンクは、金の短期及び長期の目標価格を引き下げた。投資需要の減少と世界
的な成長見通しの改善により、2025年後半か26年初めまでに3000ドルを下回
る可能性があると予想した。16日付のノートによると、今後3カ月の目標価格を
3500ドルから3300ドルに、6〜12カ月の目標価格を3000ドルから
2800ドルに下方修正した。基本シナリオとして、第3四半期は地政学リスク、米関
税政策変更の可能性、米国の財政懸念を背景に3100〜3500ドルの間で値固めす
るが、その後は下落トレンドに入ると予想した。
【銀は13年ぶり高値後に上げ一服】
 銀の現物相場は012年2月以来の高値39.29ドルを付けたのち、利食い売りな
どが出て上げ一服となった。中東情勢の緊張の高まりによる原油高を受けて買い戻し主
導で上昇したが、利食い売りが出て上げ一服となった。
 18日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比87.64ト
ン増の1万4763.00トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の
建玉明細報告によると、6月10日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
6万6650枚となり、前週の6万0770枚から拡大した。新規買い、買い戻しが入
った。
当面の予定(イベント・経済統計)
23日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年6月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年6月速報(Markit)
    米中古住宅販売統計 2025年5月(全米不動産協会)
    建玉明細報告(CFTC)
24日 独景況感指数 2025年6月(ifo)
    米経常収支 2025年1-3月期(商務省)
    米ケース・シラー住宅価格指数 2025年4月(S&P)
    米消費者信頼感指数 2025年6月(カンファレンスボード)
25日 米新築住宅販売 2025年5月(商務省)
26日 米国内総生産 2025年1-3月期確報値(商務省)
    米卸売在庫 2025年5月速報値(商務省)
    米耐久財受注 2025年5月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2025年5月(全米不動産協会)
27日 労働力調査(失業率) 2025年5月(総務省)
    小売業販売額 2025年5月速報(経済産業省)
    中国工業利益 2025年5月(国家統計局)
    英国内総生産 確報値 2025年1-3月期(国立統計局)
    米個人所得・支出 2025年5月(商務省)
    米消費者信頼感指数 2025年6月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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