石油週間展望=レンジ取引続く、EUや中国との貿易交渉に注目

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
           [7月28日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     7 月 21 日〜 7 月 25 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   78,000    78,000(21)    78,000(21)   78,000         ±0
灯  油  先限   81,000    81,000(21)    81,000(14)   81,000         ±0
原  油 12月限  60,300    61,780(22)    59,600(24)   61,120        +720
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                                        7 月 21 日〜 7 月 25 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値     安 値     終値   前週末比
  NY原油  9 月限     66.04    66.74(25)   64.71(23)  65.16    -0.89
ブレント原油  9 月限     69.21    69.86(25)   68.00(23)  68.44    -0.84
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25日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 146.94 前週末比 1.84円の円高
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油9月限は4月9日の一代安値54.01ドルから
6月23日の一代高値75.98ドルまでの上げ幅に対する半値押しがちょうど
65.00ドルとなっており、このところはその上の38.2%押し(67.59ドル
辺り)との間でのもみ合いで推移している。したがって、目先はこのもみ合いレンジを
どちらに放れるのか、あるいは当面このもみ合いが続くのかがチャート上の焦点となる
とした。

【NY9月限は半値押し〜38.2%押しの間のもみ合い続く】
 ニューヨーク原油9月限は、前回の当欄で指摘した半値押しの65.00ドル〜
38.2%押しの67.59ドルのレンジ内でのもみ合いが続いている。直近は下限レ
ンジの65ドルを試した(安値は64.71ドル)後に戻しており、本稿執筆時の25
日午後時点で66ドル台前半で推移している。
 引き続き目先はこのもみ合いレンジをどちらに放れるのか、あるいはさらにもみ合い
が続くのかがチャート上の焦点となる。

 材料的には、中東地域の地政学的リスクは新たなニュースの報道がないという意味で
ひとまず材料としては沈静化しているが、これは火種が燻っているため、新たなニュー
スがあればいつでも材料視される状況にある。

 ただ差し当たり最大の焦点となるのは、8月1日からの米国の関税発動を前にした交
渉で、米国と他国の動向、とくに欧州連合(EU)と中国との交渉状況である。
 トランプ米大統領がEUとの通商協議はうまくいっているとの認識を示し、中国に関
しても合意の最終段階にあると述べたことが直近の支援材料になっており、これについ
ては成り行きを見守りたい。EUに対しては基本関税率を15%に設定することで合意
する可能性が指摘されている。

 中国関連では、ベセント米財務長官が28〜29日にストックホルムで予定されてい
る中国との貿易交渉で「中国が制裁対象のイラン産原油やロシア産原油を購入している
事実を議論の俎上に載せる」として、購入停止を求めることを示唆していることにも注
目したい。同長官は 「中国が原油購入を3〜6カ月やめれば、ロシアの軍事力は停止
し、イランとの交渉も容易になる」と述べている。
 中国側が簡単にこれに従うとは考えにくいが、仮に同国がこれらの国からの原油購入
停止を発表すれば、原油の供給減少につながるため、原油にとっては大きな上昇要因に
なり得る。7月最終週はこの動向にも注目したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は引き続き4万4000ドル台で高値
圏のもみ合いとなっている。
 ドルインデックスはこのところ下落していたが、直近は97ポイント台割れで底入れ
した後で97ポイント台前半まで戻している。

【ロシア、ガソリンの輸出規制を発表へ】
 ロイター通信によると、ロシア政府は国内のガソリン価格の高騰に対応するため、同
国のガソリンの輸出規制をここ数日間のうちに導入する見込み。関係筋によると、28
日に発表される可能性が高いという。
 なお、旧ソ連5カ国のグループであるユーラシア経済連合(EAEU)加盟国や、ロ
シアが燃料供給に関する政府間協定を結んでいるモンゴルなどへの供給は規制対象から
除外される見込み。。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である12月限は引き続き21日移動平均線でもあるボリンジャー
バンドの中心線(5万9430円辺り)を下値支持として、その上の1シグマ(6万
0940円辺り)の間のもみ合いが続いている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油9月限はボリンジャーバンドの中心線(65.72ドル辺り)を挟
んだもみ合いが続いているが、直近は上昇して1シグマ(66.53ドル辺り)を試し
ている。

 ブレント原油9月限もほぼ同様の展開。70ドルの節目に近いボリンジャーバンドの
1シグマ(69.79ドル辺り)を上値抵抗として、中心線(68.95ドル辺り)に
支持される展開が続いている。

<当面の予定>
27日【経済】中国工業利益 2025年6月(国家統計局)

28日【発会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油
             2026年2月限(東京商品))

29日【経済】英マネーサプライ 2025年6月(BOE)
   【経済】米卸売在庫 2025年6月速報値(商務省)
   【経済】米住宅価格指数 2025年5月(連邦住宅金融局)
   【経済】米ケース・シラー住宅価格指数 2025年5月(S&P)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年7月(カンファレンスボード)
   【経済】米連邦公開市場委員会(FRB)
   【工業】米週間石油統計(API)

30日【経済】貿易収支 2025年6月確報(財務省)
   【経済】金融政策決定会合(日本銀行)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】ユーロ圏国内総生産 2025年4-6月期速報(EUROSTAT)
   【経済】独国内総生産 2025年4-6月期速報(連邦統計庁)
   【経済】仏国内総生産 2025年4-6月期速報値(INSEE)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米雇用統計 2025年7月(ADP)
   【経済】米国内総生産 2025年4-6月期速報値(商務省)
   【経済】米中古住宅販売仮契約指数 2025年6月(全米不動産協会)
   【経済】米FOMC声明文公表(FRB)
   【経済】米連邦公開市場委員会(FRB)
   【工業】米週間石油統計(EIA)
31日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 7月20日-7月26日(財務省)
   【経済】鉱工業生産指数 2025年6月速報(経済産業省)
   【経済】小売業販売額 2025年6月速報(経済産業省)
   【経済】自動車生産・輸出実績 2025年5月(JAMA)
   【経済】総裁記者会見(日本銀行)
   【経済】金融市場調節方針公表(日本銀行)
   【経済】金融政策決定会合(日本銀行)
   【決済】プラッツドバイ原油 2025年7月限(東京商品)
   【経済】中国製造業購買担当者景況指数 2025年7月(中国物流購買連合会)
   【経済】中国非製造業購買担当者景況指数 2025年7月(中国物流購買連合会)
   【経済】ユーロ圏雇用統計 2025年6月(EUROSTAT)
   【経済】独雇用統計 2025年7月(連邦雇用庁)
   【経済】独消費者物価指数 2025年7月速報(連邦統計庁)
   【経済】仏消費者物価指数 2025年7月速報(INSEE)
   【経済】仏生産者・輸入物価指数 2025年6月(INSEE)
   【納会】英ブレント原油 2025年9月限(ICE EUROPE)
   【経済】米個人所得・支出 2025年6月(商務省)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米雇用コスト指数 2025年4-6月期(労働省)
   【経済】米シカゴ購買部協会景気指数 2025年7月(シカゴ購買部協会)
   【納会】米ヒーティングオイル・改質ガソリン 2025年8月限(NYMEX)
 1日【経済】労働力調査(失業率) 2025年6月(総務省)
   【経済】一般職業紹介状況(有効求人倍率) 2025年6月(厚生労働省)
   【経済】新車登録台数 2025年7月(自販連)
   【経済】軽自動車新車販売速報 2025年7月(全軽自協)
   【発会】プラッツドバイ原油 2026年10月限(東京商品)
   【経済】中国製造業購買担当者景況指数 2025年7月(財新)
   【経済】ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年7月確報(Markit)
   【経済】ユーロ圏消費者物価指数 2025年7月速報(EUROSTAT)
   【経済】米雇用統計 2025年7月(労働省)
   【経済】米建設支出 2025年6月(商務省)
   【経済】米製造業景況指数 2025年7月(ISM)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年7月確報値(ミシガン大)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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