石油週間展望=70ドル台乗せ、トランプ関税懸念とロシア供給懸念の綱引き

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
            [8月4日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     7 月 28 日〜 8 月 1 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   78,000    78,000(28)    78,000(28)   78,000         ±0
灯  油  先限   81,000    81,000(28)    81,000(28)   81,000         ±0
原  油 12月限  61,250    65,130( 1)    60,360(28)   64,510      +3,390
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                                        7 月 28 日〜 8 月 1 日
<海外原油> 週間4本値 始 値   高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油   9 月限    65.15    70.51(30)   65.05(28)  67.33       +2.17
ブレント原油  10 月限    67.70    72.83(30)   67.55(28)  69.67       +2.01
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1日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 150.61 前週末比 3.67円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油9月限は半値押しの65.00ドル〜38.2%
押しの67.59ドルのレンジ内でのもみ合いが続いている。目先はこのもみ合いレン
ジをどちらに放れるのか、あるいはさらにもみ合いが続くのかがチャート上の焦点とな
るとした。

【NY9月限は上放れて6月23日以来の70ドル台乗せ】
 ニューヨーク原油9月限は結局、レンジを上放れた。ここまでの高値は30日に付け
た70.51ドルと、9月限自体としても、期近つなぎ足ベースとしても6月23日以
来の70ドル台乗せとなった。4月9日の一代安値54.01ドルから6月23日の一
代高値75.98ドルまでの上げ幅に対する38.2%押し(67.59ドル辺り)を
上抜けて、23.6%押し(70.80ドル辺り)を目指す展開となってきた。また6
月の暴落(75.98ドルから62.84ドル)の下げ幅に対しては、半値戻し
(69.41ドル辺り)を達成して、61.8%戻し(70.96ドル辺り)が上値目
標となっている。ひとまず70ドル台を達成して、利食い売りの出やすい状況となって
おり、本稿執筆時の1日午後には69ドル台半ばで推移しているが、目先はこれらを消
化してさらに上値を目指すのか否かに注目したい。

 材料的には、「トランプ関税」の発動が世界経済への悪影響が懸念される一方、同時
にトランプ政権がウクライナ攻撃を続けるロシアに対する制裁強化、とくに中国とイン
ドのロシア産原油の二大輸入国に「二次関税」をちらつかせて同国からの原油輸入を止
めさせる動きに出ていることには注意を要する。市場がどちらに焦点を当てるかによっ
ても大きく変わって来るが、9月限の納会までにまだかなり時間があることを考える
と、買いバイアスのかかった展開になりやすいと見ておきたい。これに中東地域の地政
学的リスクの新たなニュースが加わると、さらに買いやすくなるだろう。
 いずれにせよ、米国がロシアに対してウクライナとの停戦合意を10日以内に求めて
おり、応じなければ追加制裁を発動する意向を示しているものの、今のところロシアが
攻撃を続行しているため、猶予期限となる8月8日辺りに向けてさらに波乱含みとなり
そうだ。

 ただ、その一方で後述するようにドル高が進展してダウ平均株価も高値から崩れ始め
るなど、外部市場は必ずしも原油の強気筋の追い風にはなっていないことには注意した
い。その意味では、1日に発表される7月の米雇用統計や、7月の米ISM製造業景況
指数などで、ドルや米株がどう動くのかも確認したいところ。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万4000ドル台後半から同台前
半まで下落して、これまでの高値圏のもみ合いから崩れ始めている。
 ドルインデックスはこのところ大きく戻しており、96ポイント台後半から100ポ
イント手前まで急伸している。

【米国の原油在庫が急増=EIA週報】
 米国内に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報がややサプライズ
なものとなった。原油在庫が前週比769万8000バレル増と予想外の急増となっ
た。なおガソリン在庫は同272万4000バレル減少したが、留出油は同363万
5000バレル増となっていた。
 原油処理量は同1690万バレルと、前週比同2万5000バレル減、稼働率も
95.4%と、今年最高だった先週の95.5%から若干低下したものの、引き続き高
水準となっており、ガソリン中心に製品需要は好調とみられる。したがって今週の原油
在庫の急増は週間ベースでのイレギュラーな上振れの可能性が高いと思われるが、これ
は来週以降の数値に注目したい。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である12月限はこのところボリンジャーバンドの2シグマ(6万
4280円辺り)に沿った戻り高値更新となっており、1日は高値で一時6万5000
円台に乗せた。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油9月限は上昇して、このところボリンジャーバンドの2シグマ
(69.21ドル辺り)を上抜いているが、直近は70ドル台達成で31日は上値が重
くなった。

 ブレント原油10月限もほぼ同様の展開。上昇でボリンジャーバンドの2シグマ
(71.60ドル辺り)を上回って推移している。

<当面の予定>
 4日【経済】米耐久財受注 2025年6月確報値(商務省)
   【経済】米製造業新規受注 2025年6月(商務省)

 5日【経済】金融政策決定会合議事要旨公表 6月16-17日分(日本銀行)
   【経済】中国サービス業購買担当者景況指数 2025年7月(財新)
   【経済】ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年7月確報(Markit)
   【経済】ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2025年7月確報(Markit)
   【経済】ユーロ圏生産者物価指数 2025年6月(EUROSTAT)
   【経済】仏鉱工業生産指数 2025年6月(INSEE)
   【経済】米貿易収支 2025年6月(商務省)
   【経済】米非製造業景況指数 2025年7月(ISM)
   【工業】米週間石油統計(API)

 6日【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【経済】ユーロ圏小売売上高 2025年6月(EUROSTAT)
   【経済】独製造業受注 2025年6月(経済技術省)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

 7日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 7月27日-8月2日(財務省)
   【経済】景気動向指数 2025年6月速報(内閣府)
   【経済】中国貿易収支 2025年7月(税関総署)
   【経済】独貿易収支 2025年6月(連邦統計庁)
   【経済】独鉱工業生産指数 2025年6月(経済技術省)
   【経済】仏国際収支 2024年6月(フランス銀行)
   【経済】仏貿易収支 2025年6月(INSEE)
   【経済】英政策金利公表(BOE)
   【経済】英金融政策委員会議事録 8月6日分(BOE)
   【経済】英金融政策報告(BOE)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米卸売在庫 2025年6月確報値(商務省)
   【経済】米消費者信用残高 2025年6月(FRB)

 8日【経済】全世帯家計調査・消費支出 2025年6月(総務省)
   【経済】国際収支(経常収支) 2025年6月(財務省)
   【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 2025年7月(財務省)
   【経済】景気ウォッチャー調査 2025年7月(内閣府)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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