石油週間見通し=下値余地に注目、OPECプラスの増産が焦点

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油10月限は半値戻し達成後は65ドル水準を上値
抵抗として伸び悩み模様。この水準を明確に抜けると、61.8%戻しの66.53ド
ル辺りが目先の上値目標となるとした。

【NY原油10月限は再び反落、6月の暴落後の安値61.29ドルが下値目標か】
 ニューヨーク原油10月限は2日に66.03ドルの戻り高値を付けた後に急落し
て、4日には62.72ドルの安値を付けた。本稿執筆時の5日の午後には63ドル台
前半で推移している。高値は前回の当欄で記した一代安値から一代高値までの上げ幅の
61.8%戻しの66.53ドルには及ばす、66ドルの節目やそれに近い一目均衡表
の転換線(65.98ドル辺り)に跳ね返られる形となった。
 納会までにはまだ日柄があることもあり底入れ感には乏しく、目先は下値余地がどの
程度あるのかが注目されるが、差し当たり6月の暴落以降の安値である8月13日の
61.29ドル辺りが下値目標となりそうだ。

 材料的には、7日に予定されている石油輸出国機構(OPEC)プラスの主要8カ国
会合で10月にさらに増産するという観測が圧迫要因となっている。したがって、少な
くとも5日まではこのまま軟調地合いが続く可能性が高く、週明けの8日以降はそのニ
ュースを受けた動きとなりそうだが、事前に弱気を織り込んでいる感も強く、実際に増
産が決定されてもその後の値動きは不透明だ。

 もう一つ注目したいのは、ロシア産原油や石油製品に対する制裁強化の動きだが(た
だウクライナの度重なるロシアの石油施設攻撃でロシアの供給能力は日量120万バレ
ル失われているとの観測もあるが)、トランプ米大統領が4日、欧州各国首脳との電話
会談で、ロシア産原油の購入を断つよう欧州側に求めた。すでに欧州は原則としてロシ
ア産原油や石油製品を締め出しているが、ロシア依存度の高いハンガリーやスロバキア
にパイプライン経由の輸入を認めて来た。これがさらに制裁が厳しくなるのか対中国も
含めて注目したい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去高値の4万5000ドル台まで
のもみ合いが続いている。
 ドルインデックスは引き続き97〜98ポイント台でのもみ合いとなり、こう着感が
強まっている。

【米国の原油在庫、予想外の増加=EIA週報】
 米国内に目を移すと、米エネルギー情報局(EIA)が発表した最新週報によると、
原油在庫は前週比241万5000バレル増の4億2071万バレルと予想に反して増
加していた。ただガソリン在庫はドライブシーズンの最後の祝日で駆け込み需要があっ
たためか、同379万5000バレル減の2億1854バレルと大きく減少していた。
また留出油は座右168万1000バレル増の1億1592万バレルだった。
 なお、米国の製油所ではガソリン需要がピークアウトする9月〜10月にかけ秋の定
期修理シーズンを迎えるため、今後10月にかけては稼働率がやや低下することにな
る。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である2月限はボリンジャーバンドの2シグマ(6万1980円辺
り)を試した後に崩れて、直近は21日移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心
線(6万0110円辺り)や6万円の節目を試す展開となっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油10月限もボリンジャーバンドの2シグマ(65.22ドル辺り)
から4日には中心線(63.34ドル辺り)を割り込んだが引けでは何とか維持した。

 ブレント原油11月限もまったく同様の展開。ボリンジャーバンドの2シグマ(6
8.91ドル辺り)から中心線(66.75ドル辺り)割れまで下落したが、引けでは
回復した。

MINKABU PRESS

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