石油週間見通し=発表物で地合い悪化、底割れなら60ドルの節目が下値目標

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油10月限は66ドルの節目やそれに近い一目均衡
表の転換線(65.98ドル辺り)に跳ね返される形。目先は下値余地が注目される
が、6月の暴落以降の安値である8月13日の61.29ドル辺りが下値目標となりそ
うだとした。

【NY原油10月限は底割れなら60ドルが下値目標となる可能性】
 ニューヨーク原油10月限は5日にいったん61.45ドルの押し目底(前回の当欄
で指摘した61.29ドルの下値目標に近い水準)を付けた後に戻したが、その戻りも
10日に付けた64.08ドル(一代安値〜一代高値の半値64.14ドルに近い水
準)で、11日には急落している。すでに本稿執筆時の12日午後の時点で61ドル台
後半まで崩れており、前述の61.45ドル、61.29ドル(ボリンジャーバンドの
—2シグマ61.27ドルにも近い)などを割り込んだ場合、60ドルの節目が下値目
標となる可能性が出て来ている。

 材料的には、石油輸出国機構(OPEC)プラスの10月からのさらなる増産合意を
織り込んだ後、戻り場面ではイスラエルがカタールの首都ドーハにいたハマス幹部を標
的に空爆を実施したことや、ポーランドが自国領内でロシアからのドローンを撃墜した
ことでロシアと北大西洋条約機構(NATO)との対立が激化するなど、地政学的リス
クの高まりが強材料視された。
 しかしそれを織り込むと、今度は米エネルギー情報局(EIA)の週報や国際エネル
ギー機関(IEA)の月報などが弱材料視されて崩れる展開。チャート悪化により現状
は弱気のセンチメントが優勢となっている。

 発表物により現状は弱基調となっているものの、今後もイスラエルやロシアなどを巡
る地政学的リスク要因となるような新たなニュースが出れば再び上昇要因となり得る。
とくにそれが原油や石油製品の供給懸念を引き起こす場合には市場はより神経質なるだ
ろう。
 とくに今のところあまり材料視されていないが、ロシアはウクライナによる度重なる
石油施設攻撃で供給能力の30%を失っているとの見方があり、戦争が続く限り、これ
が拡大する可能性があり注意して見て行きたい。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は終値ベースで4万6000ドル台に
乗せて過去最高値を更新している。
 ドルインデックスは引き続き97〜98ポイント台でのもみ合いとなり、方向感に乏
しい値動きとなっている。

【2026年の世界原油、日量333万バレルの供給過剰見込み=IEA月報】
 発表物では、国際エネルギー機関(IEA)が発表した11日の月報では、2026
年度の世界原油生産見通しが前年比日量210万バレルの同1億0790万バレルとな
り、供給過剰が同333万バレルに達する見込みとされた。供給過剰は前月から同36
万バレル上方修正されて同300万バレル台に乗せた。
 また米国内の需給も緩んで来た。最新の米エネルギー情報局(EIA)の週報による
と、原油在庫は前週比393万9000バレル増の4億2465万バレルと前週に続き
急増。ガソリン在庫も同145万8000バレル増の2億2000バレルと増加に転じ
た。留出油在庫も冬季用の在庫を貯める時期であることもあり、同471万5000バ
レル増の1億2064万バレルと急増していた。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である2月限はこのところ21日移動平均線でもあるボリンジャー
バンドの中心線(6万0100円辺り)を挟んで、1シグマ(6万0880円辺り)と
−1シグマ(5万9310円辺り)の間の高下となっているが、12日の大陰線で直近
は−1シグマを試す値動きとなってきた。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油10月限もボリンジャーバンドの中心線(63.24ドル辺り)を
挟んだもみ合いとなっているが、11日の大陰線で−1シグマ(62.21ドル辺り)
を試している。

 ブレント原油11月限も似た展開となり、11日にはボリンジャーバンドの中心線
(66.90ドル辺り)を割り込んだが、−1シグマ(65.89ドル辺り)には到達
していない。
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