株価指数先物 【週間展望】―リバランス想定も、中銀イベント通過後はロング対応

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は、先週の大幅な上昇に対する過熱感が警戒され、利益確定に伴うロングの解消や短期的なショートを誘い込む一方で、中銀イベントを背景に押し目待ち狙いのロングが入りやすいだろう。先週の日経225先物(12月限)は12日に4万4720円まで買われる場面もみられ、週間(8~12日)の上昇率は一時4.3%を超えている。

 先週は石破茂首相の辞意表明を受け、新政権では財政拡張的な政策へ転換するとの思惑が広がり、買いが先行して始まった。その後、利益確定売りに押される場面もあったが、米国市場で利下げ観測が強まり、半導体や人工知能(AI)関連株への資金流入が強まるなか、東京市場でもソフトバンクグループ<9984>[東証P]やアドバンテスト<6857>[東証P]など、日経平均型を中心に資金流入が目立った。

 12日に9月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控えていたことも影響した。週初からの強い値動きによってレンジを切り上げるなかで、ヘッジ対応に伴うロングも指数を押し上げる形になった。なお、SQに絡んだ商いは金額ベース(推定)で、日経平均型が1000億円超の買い越し、TOPIX型は510億円超の買い越しだった。この需給もあって9月限のSQ値は4万5016.28円と、節目の4万5000円台に乗せている。

 12日の日経平均株価はSQを超えられず幻のSQの形ではあったが、4万4800円台とギャップアップで始まった後に4万4500円台まで上げ幅を縮めたものの、その後は4万4800円を挟んで高値圏での推移が続いた。また、日経225先物は12日の取引終了後のナイトセッションで日中比80円安の4万4400円だった。一時4万4320円まで下げる場面もみられたが、その後4万4570円とプラス圏を回復。買い一巡後は終盤にかけて軟化したものの、4万4400円~4万4500円辺りでの底堅さがみられた。15日(敬老の日)はJPXグループ全体でのBCPテスト(DR切替)を行うため、祝日取引は行われない。

 今週は16日~17日に米国で米連邦公開市場委員会(FOMC)、18日~19日には日銀の金融政策決定会合が開催される。米国の金融政策に関して市場では9月FOMCでの0.25%の利下げを含め、年内3会合連続での利下げがほぼ織り込まれている。FOMCメンバーによる経済見通しが発表されるほか、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見で先々の利下げに消極的な姿勢が示されれば、米国市場はネガティブに反応する可能性がある。そのため、FOMCの結果判明を前にロング解消や短期的なショートが入りやすいだろう。

 日銀については金融政策の据え置きが広く予想されており、市場の関心は会合後の植田和男総裁会見に集まりそうだ。先週は年内の利上げ観測が強まるなかで長期金利の上昇がみられた。ただし、10月4日の自民党総裁選を控えて、9月の利上げはないと考えられる。

 FOMCの結果を受けて米国市場で利食いが強まる局面では、東京市場も影響を受けることになろうが、既に米国では成長が期待される半導体やAI関連株に物色が集中。他のセクタ-は利食いの動きをみせているため、米国市場が下落した場合には押し目狙いの好機になりそうだ。日経225先物は先週の上昇率が一時4%を超えており、買い遅れているファンドにとっては調整が待たれるところであろう。

 日経225先物はボリンジャーバンドの+2σ(4万4350円)と+3σ(4万5080円)とのレンジでの推移が意識される。過熱感が警戒されてこようが、バンドが上向きで推移していることもあり、これに沿ったトレンドを形成する可能性がある。+2σを割り込む局面では、押し目狙いのロングでの対応に向かわせよう。

 そのため、オプション権利行使価格の4万4000円から4万5000円のレンジを想定する。一気に4万5000円を捉えてくるとピーク感の醸成につながる可能性はあるが、バンドに沿った上昇ではピーク形成を見極めにくいため、ショートに傾ける戦略は避けておきたい。

 12日の米VIX指数は14.76(11日は14.71)に上昇した。週間(5日は15.18)では低下となった。下向きで推移する25日移動平均線に上値を抑えられる形で低下を続けており、12日には一時14.41まで下げる場面もみられた。FOMC前にいったんは上昇する場面もありそうだが、FOMCを無難に通過すれば、8月28日の直近安値である14.12を割り込んでくる可能性があり、リスク選好に向かわせそうだ。

 週末のNT倍率は先物中心限月で14.18倍(11日は14.10倍)に上昇した。週間(5日は13.85倍)でも上昇した。NT倍率は3日から9営業日連続で上昇している。米国市場の流れを受けて半導体やAI関連株に資金が集中しており、日経平均型優位の展開となった。+3σ(14.20倍)に接近してきたことで、リバランスの動きが入りやすくなりそうだ。

 ただし、バンドの切り上がりに沿ったトレンド形成が意識されるなか、6月30日につけた戻り高値14.24倍を捉えてくるようだと、1月23日の14.54倍が射程に入ってくる。リバランスを意識しつつも、押し目ではNTロングでのスプレッドを狙ったポジションの組成に向かわせよう。

 9月第1週(9月1日-5日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では2週ぶりの買い越しであり、買い越し額は1249億円(8月第4週は6352億円の売り越し)だった。なお、現物は1314億円の買い越し(同3031億円の売り越し)と3週ぶりの買い越し。先物は64億円の売り越し(同3321億円の売り越し)と2週連続の売り越しだった。個人は現物と先物の合算で1058億円の買い越しと3週連続の買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で4420億円の売り越しとなり、10週連続の売り越しだった。

 主要スケジュールでは、9月15日に中国8月鉱工業生産、中国8月小売売上高、米国9月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日に米国自動車関税引き下げが正式発効(見通し)、米国8月小売売上高、米国8月鉱工業生産指数、17日に8月貿易収支、米国8月住宅着工件数、FOMC終了後に政策金利、パウエルFRB議長が記者会見、18日に7月機械受注、イングランド銀行(BOE)が政策金利、米国8月コンファレンスボード景気先行指数、19日に8月全国消費者物価指数、日銀金融政策決定会合終了後に政策金利、植田和男日銀総裁記者会見などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98
04月限 日経225 32737.29  TOPIX  2418.70
05月限 日経225 37572.13  TOPIX  2733.00
06月限 日経225 38172.67  TOPIX  2776.06
07月限 日経225 40004.61  TOPIX  2830.46
08月限 日経225 41368.58  TOPIX  3004.82
09月限 日経225 45016.28  TOPIX  3175.61

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 09月12日  44290  44720  44260  44480  +310
25/09 09月11日  43880  44460  43690  44440  +570
25/09 09月10日  43580  43890  43080  43870  +310
25/09 09月09日  43600  44190  43430  43560  -100
25/09 09月08日  43050  43850  42590  43660  +590

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/12 09月12日  3130.0  3150.5  3127.5  3135.5  +8.5
25/09 09月11日  3145.5  3154.0  3128.5  3151.0  +5.0
25/09 09月10日  3128.5  3146.0  3105.0  3146.0  +19.0
25/09 09月09日  3135.0  3166.0  3119.5  3127.0  -12.5
25/09 09月08日  3108.0  3150.0  3078.0  3139.5  +30.0

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
09月12日(12月限) 44425 -55
09月11日(12月限) 44505 +335
09月10日(09月限) 43900 +30
09月09日(09月限) 43495 -65
09月08日(09月限) 43970 +310
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い      前週末比
09月05日    3753億円 +3230億円  2兆1417億円  -96億円
08月29日    523億円  +228億円  2兆1513億円  +238億円
08月22日    294億円  -596億円  2兆1275億円  -2億円
08月15日    891億円  -293億円  2兆1277億円  +3618億円
08月08日    1185億円  +370億円  1兆7658億円  +3508億円
08月01日    814億円  -103億円  1兆4149億円  -1366億円
07月25日    918億円  -423億円  1兆5515億円  +3049億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
09月10日  1億0178万株   -1369万株  8億1428万株   -943万株
09月09日  1億1548万株   +248万株  8億2371万株   -3586万株
09月08日  1億1299万株   +1533万株  8億5958万株   -3072万株
09月05日    9766万株   -196万株  8億9030万株   -3361万株
09月04日    9963万株   +130万株  9億2391万株   +757万株
09月03日    9832万株   +6382万株  9億1634万株   -464万株
09月02日    3450万株   +304万株  9億2099万株   +173万株
09月01日    3145万株   +1559万株  9億1925万株   -1613万株
08月29日    1586万株   +108万株  9億3538万株   -1726万株
08月28日    1477万株    -27万株  9億5264万株   +5174万株
08月27日    1505万株    -17万株  9億0089万株   +994万株
08月26日    1522万株   +509万株  8億9094万株   +149万株
08月25日    1013万株   -0.8万株  8億8945万株   -2241万株
08月22日    1014万株    -35万株  9億1187万株   +2506万株
08月21日    1050万株   -2501万株  8億8680万株   -535万株
08月20日    3551万株    +53万株  8億9216万株   +1444万株
08月19日    3498万株   +923万株  8億7771万株   -2120万株
08月18日    2575万株    +6万株  8億9891万株   -1249万株

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