貴金属4品週間見通し=深まる米経済不安や財政不安からNY金は再上昇か

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金12月限は、10日以降は3650ドルが支持線となり17日に3744ドル
に達し一代の高値をつけた。その後、反落となり、18日に3660.5ドルまで修正
安が進んだ。
 米連邦準備理事会(FRB)は16〜17日にかけて開催した公開市場委員会(FO
MC)で事前予想通り0.25%の利下げを決定し、年内の利下げ見通しも前回6月見
通しよりも1回増加した3回(9月FOMCを含む)となり、利下げに対する姿勢も以
前より前向きとなっていることが示された。
 米国では雇用情勢がこれまでの想定より軟化していた可能性が示されているが、その
一方では8月1日からの相互関税の上乗せ分の発動の影響で物価に対する押し上げ圧力
が高まっている。
 急激な値上げによる顧客離れを嫌い、企業側は関税引き上げによる影響を企業努力に
よって吸収する姿勢を見せているが、コストの増加は雇用面で調整される傾向を見せ、
解雇数の増加や賃金上昇率の鈍化という形になって現れている。
 企業側が雇用情勢を改善させるためには、これまで企業側の努力によって吸収されて
きた輸入物価の上昇分を価格に転嫁させることが必要と見られるが、FOMCでの利下
げ決定や今後の継続的な利下げの可能性は物価が高止まりする可能性もあることを意味
するだけに、物価高が雇用情勢の軟化によって低下している購買力にさらなる追い打ち
となりかねない。
 一方で米トランプ関税の違法性については、現在最高裁で審議中だが、違法との判決
が下された場合には関税引き上げによる物価高が解消に向かう可能性はある一方、大型
減税によって縮小した歳入を補う手段が消滅するリスクもある。
 今後の米経済不安や財政不安が意識されやすい状況が続いており、金は安全資産を求
める動きが続き、投資資金が流入すると見られる。
 NY金12月限は3700ドル台に達したことで高値警戒感が強まった。FOMC終
了後、買い材料出尽くし感で短期的な調整局面入りしたが、3650ドルが支持線であ
ることを確認後に3700ドル台に再上昇か。
<銀>
 NY銀12月限はNY金の上昇に追随高となり9月16日には4343.50セント
の高値を付けたが、その後は値位置を落としている。
 米経済や財政に対する不安感が強まるなか、安全資産とされる金への需要が根強く見
られることはNY銀市場にとっても買い支援要因ながら、逃避用としての需要の弱さが
上値抑制要因になっている。
 4200セントを前後するもちあいとなりそうだ。
<白金>
 NY白金10月限は9月上旬に上伸した後は1400ドル前後でのもちあいが続い
た。17日には1354ドルまで急落したが、安値は買い拾われ、18日は終値で
1400ドル台を回復。
 NY金が一代の高値を更新する動きを見せたものの、これに追随する動きは乏しいな
がら、大きな値崩れは見られておらず底意の強さも窺わせている。
 独自の要因を織り込み感が強い一方で、米利下げが継続的に行われる可能性が高まっ
ていることが買い支援要因として意識されている。
 引き続き底固く動きを見せると予想され、25日移動平均線(1375ドル)を支持
線に、下値堅く推移か。金、銀市況の影響を受けやすく、金、銀市場の手じまい売りに
より下振れは警戒したい。
<パラジウム>
 NYパラジウム12月限は9月12日にかけて浮上し1277.50ドルの高値を記
録したが、その後は軟化に転じている。
 米利下げ観測の高まりを受けて浮上したものの、予想通りの利下げが実施されたこと
で材料を織り込んだ感が強い。
 その一方で米経済や財政不安を受けた金の高止まりが下支え要因となっているため下
落に対する抵抗も窺わせている。
 引き続き1150ドルを下値支持線にしての高下が続くと見られる。
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