金・銀週間展望=調整局面、米FRB議長は利下げに慎重姿勢

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [9月22日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2026 年  8 月限  9 月 16 日〜 9 月 19 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          17,468    17,646 (16)   17,370 (18)     17,495         +24
  銀           199.0     199.9 (16)    199.0 (16)      199.8        +3.8
 プラチナ       6,217     6,300 (17)    6,101 (18)      6,210         -11
 パラジウム     5,600     5,600 (16)    5,600 (16)      5,600        +100
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        19  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12)  3,705.8    +19.4   | ドル・円    147.68      0.22 円安
  銀       (12)  4,295.2    +12.2   | 日経平均  45,045.81       +277.69
 プラチナ   (10)  1,416.5     +4.8   | NY原油 (11)  62.40         -0.02
 パラジウム (12)  1,169.60   -81.10  |* ドル・円は15時45分現在、原油は 19日
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【前回のレビュー】
 金は米連邦公開市場委員会(FOMC)後の動きを確認、とした。
 金は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受け、内外で史上最高値を更新し
たのち、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高を受けて調整局面を迎えた。現
物相場は史上最高値3702.37ドルを付けた。金先限は上場来高値1万7646円
を付けた。
 9月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は55.4と2カ月連続で低下し、5月
以来の低水準となった。事前予想は58.0。前月は58.2。1年先の期待インフレ
率は4.8%と前月から横ばい。5年先は3.9%と前月の3.5%から上昇した。8
月の米小売売上高は前月比0.6%増加した。3カ月連続で増加し、事前予想の0.2
%増を上回った。物価上昇が売上高押し上げの一因となっている可能性があるものの、
消費が全般的に勢いを維持している様子を示した。米新規失業保険申請件数は3万
3000件減の23万1000件となった。事前予想は24万件。エコノミストらは申
請件数の減少を経済の耐性の表れと評価した。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を
0.25%ポイント引き下げ、4.00〜4.25%とした。FOMC声明で、雇用の
伸びは鈍化し、失業率はわずかに上昇したと指摘した。パウエル米連邦準備理事会(F
RB)議長はFOMC後の会見で「関税による持続的なインフレへのリスクを管理・評
価する必要がある」と述べ、今後の利下げに慎重姿勢を示した。ただCMEのフェドウ
ォッチでは、10・12月の米FOMCでの利下げが織り込まれている。新たにFRB
理事に就任したミラン氏は、0.25%の利下げに反対票を投じて0.50%の利下げ
を主張した。ボウマン氏とウォラー氏がミラン氏の大幅利下げに同調しなかったのは、
FRBの独立性を支持する姿勢を示しているとみられた。トランプ米政権は、クック理
事解任の差し止めを命じた下級審判決を不服として、連邦最高裁判所に上告した。
【金ETF残高は小幅増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は18日時点で
1164.49トンとなり、前週末比1.06トン増加した。米国で0.86トン、英
ETFSで0.18トン、オーストラリアで0.09トン増加、英GBSで0.06ト
ン減少した。1168.78トンまで増加したのち、利食い売りが出た。一方、米商品
先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月9日時点のニューヨーク金
の大口投機家の買い越しは26万1740枚となり、前週の24万9530枚から拡大
した。今回は新規買いが9079枚、買い戻しが3131枚入り、1万2210枚買い
越し幅を拡大した。
 北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は、ロシアのドローン(無人機)が
ポーランドの領空を侵犯したことを受け、ロシアに近い欧州東部で防衛態勢を強化する
と表明した。ルーマニアでもロシアのドローンが領空侵犯した。欧州連合(EU)欧州
委員会のフォンデアライエン委員長は、「欧州委がまもなくロシア産化石燃料の輸入の
段階的撤廃を加速させる提案をする予定だ」と述べた。ロシアがウクライナに対して本
格的な侵攻を開始してから3年以上が経過したが、米国とEUは依然として、液化天然
ガス(LNG)から濃縮ウランに至るまで数十億ユーロ規模のロシア産エネルギーとエ
ネルギー商品を輸入している。EUは当初、ロシア産石油・ガスの購入を2028年1
月1日までに終了する計画だった。一方、トランプ米大統領がロシアの最も近い同盟国
ベラルーシとの関係を深めるなか、米軍将校らが、ロシアとベラルーシの合同軍事演習
「ザパド(西部)2025」を視察した。米大統領は、ロシア・ウクライナ戦争の解決
は想定より複雑との認識を示し、ロシアのプーチン大統領に失望させられたと述べた。
【銀は2011年9月以来の高値もドル高で上げ一服】
 銀の現物相場は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて2011年9月
以来の高値42.93ドルを付けたのち、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル
高を受けて上げ一服となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が今後の利下
げに慎重姿勢を示したことを受け、ポジション調整の売りが出やすい。ただ利下げ見通
しに変わりはなく、今後発表される経済指標を確認したい。
 18日のニューヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比145.43
トン増の1万5205.16トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)
の建玉明細報告によると、9月9日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは
5万3937枚となり、前週の5万5923枚から縮小した。手じまい売りが買い戻し
を上回った。
当面の予定(イベント・経済統計)
22日 加鉱工業製品価格指数 2025年8月(カナダ統計局)
23日 ●秋分の日
    中国製造業購買担当者景況指数 2025年9月速報(Markit)
    中国サービス業購買担当者景況指数 2025年9月速報(Markit)
    米経常収支 2025年4-6月期(商務省)
    米中古住宅販売統計 2025年8月(全米不動産協会)
24日 ●南ア(文化遺産記念日)
    独景況感指数 2025年9月(ifo)
    米新築住宅販売 2025年8月(商務省)
25日 金融政策決定会合議事要旨公表 7月30-31日分(日本銀行)
    政策金利公表(スイス国立銀行)
    米国内総生産 2025年4-6月期確報値(商務省)
    米卸売在庫 2025年8月速報値(商務省)
    米耐久財受注 2025年8月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
26日 米個人所得・支出 2025年8月(商務省)
    米消費者信頼感指数 2025年9月確報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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