22日からの週は、週の後半にかけてドル高が強まる展開となった。16日、17日の米FOMC、18日、19日の日銀金融政策決定会合を経て、それまでのドル高円安に復する動きとなった。先々週、FOMC直後の145円49銭から148円台まで上昇した後、週明け高値をいったん更新も、週前半は利益確定売りなどが入って、上値が抑えられた。もっとも押し目は147円台半ば前後に留まり、24日の独Ifo景況感指数の弱さを受けたユーロ売りドル買いや、英財政赤字警戒を受けたポンド売りドル買いなどからのドル全面高に149円近くまで上昇。さらに25日の米第2四半期GDP確報値が予想外に改定値から大きく上方修正されたことなどを材料に米利下げ期待が後退。ドル買い加速する形で149円90銭台を付けている。150円手前のドル売り注文が上値を抑得たが、その後も149円台後半推移が続くなど地合いの強さが目立っている。 (22日) 東京市場では、ドル円が午前中に148.38付近まで上昇し、先週の高値を更新した。先週の米FOMCや日銀会合を経て、従来からのドル高・円安基調に戻す動き。日経平均の上昇も円売りを促した。午後にロンドン勢参入すると、ドル円は148円台を割り込む調整局面に入った。日本国債利回りが2008年以来の高水準を付けたにもかかわらず、午前中はドル高が優勢だったが、自民党総裁選の告示と小泉農水大臣の優勢が円買い材料として意識されたことが、ドル円の上値を抑えたものと見られる。ユーロドルとポンドドルは、ロンドン勢の参入とともにドル安が進み、午前中の下げ幅をほぼ解消した。一方、ユーロ円とポンド円は、ドル円と同様に午前中に円安が進んだが、午後には円買いが優勢となり、やや調整の動きが見られた。 ロンドン市場は、東京市場でのドル高からドル安へと流れが転じている。週明けは特段の注目経済統計発表はみられず、材料難。先週の米FOMC後に強まったドル高の流れに対して調整が入る格好になっている。ドル円は148円台前半から147.80台へと軟化、本日の安値を広げている。ユーロドルが堅調。1.17台前半から後半へと買われている。ポンドドルも1.34台半ばから1.35台乗せまで買われている。クロス円はまちまち。ユーロ円が174円台乗せと堅調も、ポンドドルは199円台半ばから後半で売買が交錯。豪ドル円やカナダドル円は欧州株や米株先物・時間外取引の軟調な動きに上値重く推移している。ロシアのドローンがポーランドなど東欧諸国にたびたび越境していることや、フランス債のさらなる格下げが懸念されるなど、やや警戒ムードもあるようだ。 NY市場ではドル高が一服。ドル円は147円台に下落した。先週の中央銀行会合を通過したものの、ドル円は依然として100日線と200日線の間で推移している。日銀が年内追加利上げの可能性を示唆したことで、円に一時的な追い風が吹いたものの、その効果はすぐに失われた。短期金融市場では年内の日銀の利上げ確率が75%程度まで上昇しているが、強い確信には至っていないようだ。一方、ユーロドルとポンドドルは買い戻しが優勢となった。ユーロドルは1.18ドル付近まで回復し、21日線がサポートとして機能している。アナリストは、ユーロが短期的な適正価値を下回っており、今後さらに上昇する可能性があると指摘している。パウエル議長の発言で押し上げられたドル高は剥落する可能性があり、ユーロドルには上昇余地が残されている。ポンドドルは1.35ドル台に戻し、100日線を維持。ポンド円は199円台前半で下げ渋る動きを見せ、21日線を堅持している。今後の焦点は英国の秋季予算案であり、増税の可能性が英経済を悪化させ、利下げを加速させる可能性があるとの見方が出ている。 (23日) 東京市場は、秋分の日の祝日で休場。 ロンドン市場は、パウエル米FRB議長の講演を控え、全体的に揉み合いとなった。その中では、ポンドが軟調に推移している。この日発表されたPMI速報値では、英国の製造業とサービス業がともに予想を下回る結果となった一方、ユーロ圏ではサービス業が予想以上に改善した。特にドイツのサービス業の回復が際立っていたため、ユーロは対ポンドで買われ、6月28日以来の高値水準となった。ドルは全体的に方向感に欠ける取引が続き、ユーロドルは1.18を挟んでの上下動、ポンドドルは一時1.35台を割り込んだものの下げ渋った。ドル円は147円台後半を中心とした取引に終始している。ドル指数は今週に入ってから低下傾向にあるが、この日の動きは小幅にとどまった。クロス円はまちまちの展開で、ユーロ円とポンド円は上値が重かったものの、豪ドル円はロンドン時間に入ってから堅調に推移している。欧州株高や金相場の最高値更新がリスク選好の動きを支えているようだ。 NY市場は、方向感に欠ける展開だった。パウエルFRB議長の講演は先日のFOMCとほぼ同様の内容だった。為替市場全体に明確な方向性はなかった。ドル円は147円台での推移が続き、講演後半に一時的にドル安の動きが見られた。先週の中銀ウィーク後、市場は手掛かりに乏しい状況。FRB幹部は労働市場の冷え込みを認識しつつも、インフレの粘り強さから利下げには慎重な姿勢を示している。しかし、FRBが利下げを進め、日銀が利上げに踏み切る可能性から、年末にかけてドル安が進み、ドル円が140円を下回るとの見方も出ている。日本のインフレ対応の必要性や、自民党総裁選後の政治環境が整えば、円高が進む可能性も指摘されている。ユーロドルは1.18ドル台前半に上昇し、ドル安期待から先高観は根強い。しかし、ユーロ圏の景気回復が緩やかなため、上昇ペースは緩やかになるとの見通し。ユーロ圏のPMIは高水準ながらも小幅な改善に留まった。ポンドドルは1.35ドル台前半で一進一退。英国では秋季予算案の内容が注目されており、被雇用者の税負担を増やさずに税収を増やす提案が出ているが、政治的な波紋を呼ぶ可能性もある。 (24日) 東京市場は、ドル高・円安の流れが優勢だった。ドル円は朝方の147.50付近から徐々に上昇し、午後には148円台を回復した。これは、先週の日米金融政策決定会合後の材料不足感に加え、ドル高・円安の方向感が市場に浸透したためと考えられる。また、午後から日本株が上昇に転じたことで、円安の勢いが強まった。午前中に発表された豪州の消費者物価指数(CPI)が予想を上回る強い内容だったことも、豪ドル円を押し上げ、これがドル円の上昇を支える一因となった。一方、ユーロドルとポンドドルは、ドル高の流れを受けて軟化している。ユーロ円とポンド円は、円安基調に引っ張られ、それぞれ174.65付近、199.89付近まで上昇、堅調な動きを見せた。この日の東京市場は、全般的にドルとクロス円が買われている。 ロンドン市場は、ドル買いが継続している。この時間帯に特徴付けられるのはユーロドルの下落だ。この日発表された9月独Ifo景況感指数が予想外に悪化したことがユーロ売りにつながっている。ユーロドルは1.17台半ばへと下落。対ポンドでも売られている。ユーロ円は174円台で売買が交錯するなかで、前日終値をやや下回っている。ドル買い優勢の中で、ポンドドルも1.34台後半へと軟化している。ただ、ポンド円は200円付近へと上昇、ユーロポンドではポンド買いと比較的堅調だ。このところ、英秋季予算案をにらんだポンド売りが市場テーマとなっているが、きょうはその動きは封印されている。ドル円は東京市場から継続して買われている。足元では148.40付近へと高値を伸ばしている。米10年債利回りは4.11%付近で小動き。欧州株の上値が重く、EUの対ロシア制裁の動きなどリスク警戒の面もあるようだ。 NY市場は、全般に手掛かり材料に乏しい中、ドル高が強まり、ドル円は148円台後半に上昇。先週は100日線を一時割り込んだが、今度は148円台半ばに来ている200日線を突破している。明日以降、維持できるか注目される。今週の市場はFRB幹部の発言を注視しているが、先週のFOMCで示された金利見通し(ドット・プロット)が示すほど、FRB幹部は利下げに前向きにはなっていないようだ。労働市場の冷え込みは認識しているものの、根強い高インフレが利下げ姿勢にブレーキをかけている模様。それがドルを底堅くしている。 (25日) 東京市場は前日にドル円が148円90銭台を付けるなど、ドル高に進んだことに対する調整もあり、午前中に148円56銭を付けた。もっとも押し目は限定的でドル高基調が継続。前日のドル高で1.1728を付けたユーロドルも、ドル高の調整で少し戻したが1.1754までにとどまっており、ドル高を意識する展開が継続した。クロス円も落ち着いた動き、ユーロ円は174円台後半での推移が続いた。ドル主導の展開ではっきりした方向性が出なかった。 ロンドン市場は米国朝の米第2四半期GDPや新規失業保険申請件数などの指標発表をにらみ、やや様子見ムード。東京市場同様にドル高の流れを意識も、値幅は限定的で、ドル円は148円台後半推移が続いた。ユーロドルも1.1730-1.1754の限定的なレンジに留まっていた。先週のFOMCをうけてドル高基調再開が意識されているものの、積極的なドル高トライにも慎重な姿勢が見られた。 NY市場はドル高が強まり、ドル円は一時149円台後半に上昇。前日突破した200日線を上放れる展開を見せ、心理的節目の150円を試しに行くか注目された。この日発表の第2四半期の米GDP確報値が上方修正となり、個人消費も大幅な上方修正となった。同時刻に発表になった米新規失業保険申請件数も予想を下回るなど強い内容となったことで米国債利回りの上昇とともに、ドル円を押し上げた。 (26日) 東京市場は前日の米第2四半期GDP確報値の上方修正などを受けたドル高の勢いが続き、朝に149円96銭とNY市場の高値を更新。しかし、150円手前の売りを崩せず、その後はいったん調整が入った。午前中に149円64銭を付けた後、少し戻すも午後に149円62銭を付けるなど、150円を前にドル高に慎重な動きが見られたが、値幅は限定的で、ドル高基調の継続が意識された。前日のドル高で一時1.1646を付けたユーロドルは朝の1.1650台から1.1680台までユーロ高ドル安。こちらもドル高進行にやや慎重な動きも、限定的な調整に留まっている。 ロンドン市場でも149円95銭前後を付けるなど、150円トライの動きが見られたが、大台手前の売りに上値が抑えられた。ユーロドルも上下ともに大きな動意を見せず、ドル高基調を意識するものの、積極的な動きにつながらなかった。ユーロ円は朝方円安が優勢となり175円台を付けたが、大台を維持できず。ポンド円が200円20銭台まで上昇しており、一時クロス円の買いが目立った。ドル主導の展開が続く中で、クロス円の動きは続かず、ポンド円も200円割れまで調整が入っている。 NY市場は前日の急速なドル高が一服し、ドル円は149円台半ばに伸び悩んだ。FRBが重視しているインフレ指標で注目となっていたPCE価格指数が発表になったが、コア指数は前年比2.9%と、パウエル議長の言及通りの内容となった。市場予想とも一致。これを受けて為替市場はドル安の反応が見られた。一部には今週発表の米経済指標が強い内容が相次いだこともあり、予想を上回るのではとの警戒も出ていただけに、予想通りの内容に安心感が広がった模様。ただ、状況に変化はなく、10月FOMCでの利下げ確率は88%程度、12月までなら100%だが、2回の確率は64%程度で推移している。
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