<金> NY金12月限は10月28日以降、4000ドル前後での推移が続いている。10 月下旬に開催された公開市場委員会(FOMC)で予想通りの追加利下げとなったこと や、10月30日に開催された米中首脳会談などのイベントを消化した。10月20日 に4398ドルの史上最高値を付けた後に軟化に転じたことで、目先の強気材料には織 り込み感が強いうえ、チャート面でも買い一巡感が強い。 米国内では米政府機関の一部閉鎖が続くなか、トランプ関税を巡る最高裁の審理が進 められるなど、米財政および金融政策のみならず、米政権による政策の見通しに対する 不透明感も浮上している。 米政府機関の一部閉鎖は過去最長となっているが、長期に渡る政府機関の閉鎖のな か、経済指標の発表がごく一部にとどまっている、米国の最新の雇用情勢や経済活動の 状況の把握が限られた状態にある。 5日に発表されたADP10月全米雇用統計では、民間雇用者数の前月比は事前予想 を上回る伸びを見せたものの、ADP雇用統計は調査の対象となる民間企業が限られて いることから、労働省による雇用統計とは結果が異なるケースがたびたび見られてい る。そのため、ADPの雇用統計のみを手掛かりにして米雇用情勢の現状を判断するの は困難となる。5日のNY金市場が軟化に転じなかったのも、ADP雇用統計を参考程 度としている様子を示している。 つなぎ予算案の可決に至るまでにどの程度の日数を要するか、見通しには不透明感 が強いなかで米政府機関の一部閉鎖が続いていることは、米財政および金融政策に対す る不安感を強めるものとなり、NY金市場には引き続き逃避買い需要が見られると予想 される。 また、10月30日に開催された米中首脳会談を受けて米中貿易摩擦に対する警戒感 は和らいでいるが、今回の首脳会談では期限付きの合意が見られるうえ、半導体サプラ イチェーンに関する両国の合意の不一致の可能性が指摘されるなど、米中間の貿易摩擦 が今後も再燃する可能性を示唆する内容となっている。 12月の追加利下げに関し否定的な見解も聞かれるなか、追加利下げ期待が後退して いることが重石となっているうえ、すでに買い一巡感が強いことから、今後、再び上値 を目指す可能性は低いながらも、米国内外の不安要素が意識される状況が続いているだ けに、NY金12月限は4000ドルを前後する底堅い動きが続くと予想される。 <銀> NY銀12月限は4800セント前後での小動きが続いている。NY金が4000ド ルを前後する動きが続くなか、これに追随する動きとなっている。 工業用需要が意識されながらも、金と同様に10月下旬にかけての上昇後に値を落と したことで上げ一巡感が強い。 チャート面が重石となる一方で、需要の根強さや金市場の底意の強い動きが意識さ れ、引き続きもちあうことになりそうだ。 <白金> NY白金1月限は10月末までは1600ドル前後で高下していたが、11月に入っ てからじり安となり、1550ドル前後に値位置を切り下げている。 電気自動車(EV)用などの工業用需要の増加が見込まれるうえ、世界的な需給の引 き締まりも意識されるものの、9月下旬から10月下旬にかけて1400ドル前後から 1750ドル前後へと大きく値を伸ばした後の修正が続いている。 一方で1500ドル割れに抵抗を見せる動きを複数回見せてきているだけにここから 先の下げ余地も限られると見られる。1510ドルから1560ドルのレンジを中心に 乱高下しやすい環境が続くと予想する。 <パラジウム> NYパラジウム12月限は1400ドルを下値支持線にしての小動きが続いている。 他非鉄貴金属に追随する動きであり、比価が意識されるNY白金が1500ドル台前半 で下げ渋れば、6日の安値1375.50ドルが支持線になると予想。」 MINKABU PRESS
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