22日からの週は、日本当局の円安けん制などを受けて、日銀会合後の円安進行に対する調整が入ったが、クリスマス明け後は調整の動きが一服した。日銀会合後の植田日銀総裁会見を受けて追加利上げの期待が後退したことを受けて、ドル円は157円台後半で週の取引をスタート。行き過ぎ感への警戒もあって、やや上値が重くなると、片山財務相が「為替の過度な変動に対し、断固として措置を取る用意がある」「介入も含めフリーハンドがある」と発言し、強い円安けん制姿勢を見せたことを受けて、155円50銭台までドル売り円買いが出た。クリスマス前後のもみ合いを経て、26日の市場ではドル売り円買いが一服し、156円台後半を付けている。ユーロドルは週前半のドル円の下げをきっかけとしたドル安に1.1700台から1.1800台を付ける動き。1.1800超えのユーロ買いには慎重で、その後1.17台後半推移となった (22日) 東京市場では、円安の過熱感への警戒から調整が入った。先週末の日銀会合後の植田総裁会見を受け、追加利上げ期待が後退したことでドル円は157円78銭まで上昇したが、週明けは利益確定のドル売り円買いが優勢となった。午前中に157円23銭を付けた後は落ち着いた動きが続き、157円割れを試す勢いは見られなかった。クリスマスウィーク入りで海外勢の取引量が減少していることも要因。一方、円債利回りは上昇し、指標となる10年債利回りは一時2.10%まで上昇したが、その後は2.07%台へ調整。ユーロ円は心理的節目の185円を前に売りが強まり、184円台前半まで下落。ポンド円も211円台から210円台半ばへと値を落とした。全体として、円安進行に対する高値警戒感と債券利回りの上昇が意識された展開である。 ロンドン市場では、ドル売りがやや優勢となり、先週までのドル高・円安の流れに調整が入った。クリスマス休暇を控えて市場参加者が減少しており、一方向への値動きが続きにくい状況であった。ドル円は157円台前半で上値の重い推移を続け、東京市場での下げが一服した後も157.50円付近での反発にとどまった。ユーロドルはドル売り圧力により高値を1.1738付近まで伸ばし、ポンドドルは地政学リスクに伴う原油・貴金属相場の高騰を背景に産油国通貨として買われ、1.34ドル台半ばを目指す動きを見せた。豪ドルも商品価格の上昇を受けて堅調に推移。クロス円は東京市場での円買いを打ち消す動きを見せ、ユーロ円は185円手前、ポンド円は211円台半ばまで買われた。欧州株は調整に押されたが、米株先物はプラス圏で推移するなど、市場ごとにまちまちな反応となった。 NY市場では、片山財務相のインタビュー発言を受け、円高が急加速した。財務相が「為替の過度な変動に対し、断固として措置を取る用意がある」「介入も含めフリーハンドがある」と介入を辞さない姿勢を示したことで、ドル円は156円台に下落。市場では口先介入の効果を限定的と見る向きもあるが、実弾介入への警戒感が急速に高まった。ドル自体も、来年の世界経済見通しの改善期待から売られやすい地合いとなっており、ユーロドルは1.1770ドル近辺まで上昇。ポンドドルも1.34ドル台半ばで堅調に推移し、11月以降のリバウンド相場を維持した。英GDP確報値は前期比0.1%成長と低空飛行ながらも、設備投資などが上方修正され、見かけよりは健全との評価も出た。クリスマス週特有の動意薄の中、当局の牽制発言が相場を支配する形となった。 (23日) 東京市場では、片山財務相による円安牽制発言が引き続き重石となり、円高優勢の展開となった。財務相が閣議後の会見で、前日の報道内容を繰り返す形で「足元の動きは投機的」「行き過ぎた動きには対応を取る」「私はフリーハンドだ」と述べたことで、市場では介入への警戒感がさらに強まった。ドル円は朝方の157円台からじりじりと値を下げ、午後には155.91銭まで下落。クロス円も全面安となり、ユーロ円は朝方の184円台後半から183円台半ばまで1円超の下落、ポンド円も1.20円近い大幅な下げを記録した。ドルは対ユーロやポンドでも軟調で、円買いが主導する形でのドル安が進行。植田総裁の経団連講演を25日に控え、日銀の政策スタンスへの警戒感も円買いを後押しする一因となった。クリスマス相場の様相を強めつつも、政策当局の言動に敏感な展開である。 ロンドン市場では、ドル安の流れが一段と進行した。東京市場からの円買いに加え、ドル売り圧力が加わり、ドル円は155.65円付近まで安値を広げた。その後156円付近まで下げ渋ったものの、上値の重さは継続。ユーロドルはドル安を受けて買われ、1.1800ドルと1週間ぶりの高値を回復。ポンドドルも1.3519ドルまで上昇し、10月以来の高値水準を付けた。背景には米利下げ期待が根強いことに加え、商品市場での原油価格上昇や金の最高値更新があり、資源国通貨や代替資産としての側面を持つ通貨に買いが入りやすかった。ドル指数は10月上旬以来の低水準まで続落。クロス円はドル円の動きに連れて安値圏での推移となったが、ユーロ円が183.44円から184円付近へ戻すなど、一部に下げ渋る動きも見られた。新規の材料に乏しい中、テクニカルなドル安とクリスマス前の調整が主導した。 NY市場では、発表が遅れていた米第3四半期GDP確報値が前期比年率4.3%と予想外に強い数字となり、ドルが急反発した。個人消費も3.5%と堅調で、米経済の底堅さが示されたことでFRBの早期利下げ期待が後退。短期金融市場では利下げ確率が低下し、ドルの買い戻しを誘発した。ドル円は一時156円台半ばまで上昇し、直近のサポートラインである21日移動平均線付近での攻防となった。ユーロドルは1.18ドル台から1.17ドル台へ押し戻され、ポンドドルも1.35ドル台から1.34ドル台へ下落。ただし、英経済については設備投資の上方修正などから、2026年に向けた先行きに楽観的な見方も一部で浮上している。金相場が史上最高値を更新するなどインフレ懸念も残る中、強い米経済指標がそれまでの円高・ドル安の流れを一時的に遮断し、ドルの力強さを再認識させる結果となった。 (24日) 東京市場で、ドル円は朝方156.28付近を付けた後155.98付近を付け、すぐに156.28付近まで反発も、再び155円台トライと振幅を見せる展開。取引が閑散となる中で不安定な動きを見せた。その後は一転してドル安円高が進行。月曜日の片山財務相による円安けん制発言に端を発した円高の流れが継続した。ドル円は昨日の安値155.65付近を下回り、155.56付近を付けている。その後昼過ぎにかけてドル円は買い戻しが入った。156.07付近までと156円台を回復する動き。もっともその後午後にかけて155.60付近を付けるなど、上値の重さが意識されている。ユーロドルは午前のドル安局面で1.1808付近まで上昇。その後1.17台に押されたが押し目は限定的で再び1.18台に乗せる動き。ポンドドルは午前のドル安局面で1.3534付近まで上昇、9月以来約3カ月ぶりの高値圏。 ロンドン市場では、クリスマスイブで静かな相場展開となっている。ドイツなどの主要市場が休場となっており、取引参加者は少ない。手掛かりとなるような英欧経済統計発表や金融当局者発言もみられていない。ドル円は東京市場で156円台前半から155円台半ば近くへと下落したあとは、一時156円台を回復。しかし、ロンドンタイムに入ると上値を抑えられ、155円台後半での揉み合いに終始している。クロス円も同様に下げ一服。ユーロ円は183円台後半、ポンド円は210円台半ばから後半で落ち着いた取引。ユーロドルは1.18挟みの水準で、ポンドドルは1.35台前半での揉み合いとなっている。ドル円は155円台後半での取引。東京朝方の156.28付近を高値に売られ、東京昼前には155.56付近に安値を広げた。介入警戒感が引き続き円高の動きを誘った。しかし、午後以降は下げ一服。一時156円台を回復もその後は上値を抑えられている。 NY市場でドル円は東京時間に一時155円台半ばまで下落していたものの買い戻される展開。ただ、一時156円台まで戻したものの上値を抑えられていた。本日の21日線が155.90付近に来ており、その水準が上値レジスタンスに変化した兆候も見られた。本格的にブレイクするようであれば、重要なチャート上のサポートと見られている154円台半ばの水準が視野に入る状況。さらにそこを下抜ければ、円はテクニカル的に買戻しを強める可能性があるとの見方も出ている。 (25日) 東京市場はややドル安が優勢となった。オセアニア市場が休場、アジアも日本と中国などごく一部を除いて休場という状況で参加者が少なく、閑散とした展開の中、今週の片山財務相による円安けん制を受けたドル売り円買いがやや優勢となった。ドル円は朝の155.97円から午後に155.65円を付けている。ユーロ円が183円台後半から183.28まで下げるなど、クロス円も上値の重い展開。もっとも値幅は限定的なものに留まった。 ロンドン・NY市場はクリスマスで休場 (26日) 朝に発表された12月の東京都区部消費者物価指数が生鮮除く前年比+2.3%と11月の+2.8%から一気に鈍化。予想の+2.5%も下回る低い伸びに、追加利上げの期待が後退し、円売りとなった。ドル円は発表前に155.76円まで下げていたが、発表を受けて156.49まで急騰。その後午後にかけて156.00円まで調整売り。欧州勢がボクシングデーの休場で取引参加者が少ないこともあり、持ち高調整の動きが広がった。ユーロ円は183.50円前後から184.43円まで上昇。その後183円80銭台を付けた。ユーロドルは1.17台後半での推移が続いた。 ロンドン市場はボクシングデーで休場。 NY市場でドル円はいったんドル安となった後、ドル高が優勢となり、東京朝の高値を超える展開となった。米長期債利回りが一時低下。ベンチマークとなる10年債利回りが4.15%前後から4.10%台まで下げる中で、ドルはほぼ全面安となった。その後利回りの低下が一服し、4.14%台まで戻す中でドルの買い戻しが広がった。ドル円は156.40円台から156.20円前後を付けた後、156.76円まで上昇している。ユーロドルは1.1770台から1.1797まで上昇。1.1800を付けきれず、その後のドル高に1.1762を付けた。ユーロ円は東京午後の183.80円台から東京朝の高値に近い184.40円前後まで上昇。その後は高値圏でもみ合った。
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