コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は買い一巡感が強いが米国への信認低下で堅調】
 NY金4月限は1月29日に5626.8ドルまで上伸し、一代高値を更新した後、
急落に転じた。2月2日も軟調に推移し、一時4423.2ドルまで下落し、1月5日
以来の安値に沈んだ。ただ、その後は急反発に転じており、4日は5100ドル台まで
浮上している。
 NY金が1月30日と今月2日に暴落となったのは、トランプ米大統領が次期連邦準
備理事会(FRB)議長にタカ派のウォーシュ元理事を指名すると発表したことが背景
となった。トランプ米大統領は、これまでFRBに対し、再三、利下げを求めて圧力を
かけており、次期議長には利下げに積極的な人物が選出されるとの見方が強かった。そ
れだけにウォーシュ理事の選出は予想外のものとなった。
 予想外の人選により2月1日から2日にかけてNY金4月限は5626.8ドルから
4423.2ドルまで1203.6ドルの下げ幅を記録した。ただ、3日以降は急反発
に転じて5100ドル台を回復する場面も見られている。急落後の反動に加え、新たに
浮上した米政権に対する懸念がNY金を安全資産として求める動きを刺激している。
 米国では2026会計年度予算案が期日までに成立せず、1月31日から一部で政府
機関の閉鎖が生じた。今回、予算が成立しなかったのは、米中西部ミネソタ州で発生し
た移民・税関捜査局(ICE)による男性射殺事件を受け、民主がICEを管轄する国
土安全保障省の予算修正を要求したことが背景となっている。

 米国では昨年10月に予算が不成立となったことで43日間と過去最長の政府機関の
一部の閉鎖を経験したばかりだが、その後、わずか3か月で再び政府機関の一部が閉鎖
された。これにより米政権運営を懐疑視する向きはさらに強まり、同時に米国に対する
信認も低下すると見られる。
 また、米国家安全保障戦略(NSS)を基に西半球の安定を最優先するなか、トラン
プ米政権はベネズエラの首都を武力攻撃したうえ、グリーンランドの領有を主張して欧
州諸国との対立を深めている。世界秩序よりも自国の利益を優先する姿勢は、今後も他
国との衝突を誘発する可能性が高い。
 1月末からの米政府閉鎖は、予算案の大部分が成立するに伴い再開された。ただ、こ
の間に発表が予定されていた米雇用統計の発表は見送られている。度重なる政府閉鎖の
影響で、世界的にも注目される経済指標の発表がたびたび延期されてきたことも、米国
に対する信頼を後退させる要因となる。
 米トランプ政権による不確実な政権運営による米国離れの動きは、安全資産を求める
動きを今後も刺激すると見られる。とはいえ、世界的な地政学不安や米政権運営に対す
る懸念、不確実なトランプ米政権の政策運営などが引き続き米国離れ・ドル離れの動き
を促していることで、安全な資産として機能し続けることが期待されるのは金となって
いる。
 NY金は一時、大きく値を落としたとはいえ、不確実性を受けて米政権への信認が低
下から、引き続き逃避買いが入ると見られる。1月末の急落で目先の高値確認感が強い
うえ、4日の取引は高値からは大きく値を落とすなど上昇に対する抵抗の強さも窺われ
る。
 また、2月半ばには中国の春節を迎え、金価格上昇の一因となる中国市場の休場を控
えていることもあり、大きく価格が上昇する局面は控えられそうだ。目先は節目となる
5000ドルを上値抵抗線になると見られるが、根強い逃避買い需要に支えられ、堅調
な値動きになると予想。
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